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コラム
横領した社員の懲戒解雇は有効か?
2016年10月21日 公開 / 2020年11月27日更新
少し前に、横領で懲戒解雇した際に解雇予告手当が必要かどうかの
話を書きましたが、そもそも懲戒解雇が有効にならないかもしれない
可能性もあって、実はそこを軽く考えて実務をやっていると懲戒解雇
があとから無効となってしまうということもあるわけです。
横領しておいて会社を訴えるとはなんてやつだと思うかもしれませんが
そういうことは過去たくさんあるわけです。
まずは職種でみた場合、過去の判例をみると金品の着服・横領がタクシーや
バスの運転手によるものは、金額の多寡を問わずに懲戒解雇が有効と
されていることが多いです。
ただ絶対というわけではありませんのでご注意ください。
それでは、同じ横領でも回数や金額による、横領の目的、会社の管理体制
なども含めてその人の勤続年数やポジション、仕事内容なども含めて
総合的に判断されますが、確実な証拠や本人の弁明の機会
を設けて、しっかり確認できている場合、ほぼ大丈夫です。
しかしながら懲戒解雇は死刑扱いと同じようなものでその後の就職や
生活にも影響が出ますので、安易に懲戒解雇を下すと認めら
れないこともあります。
たとえば通勤費の虚偽申請、飲食代の交際費の
経費の不正などであればそれだけで懲戒解雇などは
有効にはならないこともあります。
また社内でつじつまあわせのため、上司への報告との
ズレをカバーするためのようなものも懲戒解雇にならない
可能性があります。自分のミスの穴埋めのため正直に
報告できずやむを得ず、預かったお金に手をつけて
あとから調整しようと考えていたケースなどは無効になる
かもしれません。
その他には生命保険会社の営業社員が顧客から返済を受
けた金員を着服したことを理由とする懲戒解雇が有効とされた
判例もありますが、お客さんから預かったお金を会社に
入れないケースは悪質ですから当然です。ましてお金を預かる
ことなど会社で認めていないなかでそういうことをしたらかなり
悪質です。
また現金商売をしているところについてはレジ金の横領なども
多いのですが、証拠をもとにやはり自白させて、本人が認める
だけの完璧な証拠もあり、そうしなければならなかった理由
その従業員の権限や立場などから考えて懲戒解雇も妥当だと
考えられるケースはいいのですが、証拠が少し弱いケースなどは
要注意で、あとになって本人が認めないことがありますので
そうなると厄介です。
過去の私のブログで懲戒解雇関連で紹介したものを
探してみました。
たった千円の着服でも懲戒解雇 JR西日本グループ
http://iwave.blog73.fc2.com/blog-entry-2301.html
共同通信 前人事部長懲戒解雇へ
http://iwave.blog73.fc2.com/blog-entry-1536.html
解雇の無効認めず バスカード着服の元運転手
http://iwave.blog73.fc2.com/blog-entry-215.html
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