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『腰痛の真実』痛みは「目」から来ているかもしれない?眼球運動と腰痛の意外な関係

安部元隆

安部元隆

テーマ:腰痛



こんにちは、GENRYUです(^^)
早速ですが、あなたは「慢性的な腰痛」に悩まされていませんか?
マッサージやストレッチ、運動療法など、様々な方法を試しても
なかなか改善しない、という声もよく聞かれます。
もしかしたら、その腰痛の原因は、腰そのものではなく、
「目」にあるかもしれません。
「え?腰痛と目に何の関係があるの?」と思われるかもしれません。
しかし、近年の研究により、眼球運動と腰痛には密接な関係が
あることが明らかになりつつあります。
今回は、この意外な関係性について、医学的な視点から詳しく解説していきます。



第1章:腰痛と眼球運動:なぜ関係があるのか?
私たちが日常生活を送る上で、視覚情報は非常に重要な役割を果たしています。周囲の状況を把握し、障害物を避け、スムーズに動くためには、正確な視覚情報が不可欠です。眼球運動は、この視覚情報を効率的に収集するために重要な機能を担っています。

1-1. 眼球運動の種類と役割
眼球運動には、主に以下の3つの種類があります。
①滑動性追跡眼球運動(Smooth Pursuit Eye Movement)

動いている対象物を、視線を外さずに滑らかに追いかける運動です。
例えば、飛んでいる鳥を目で追うときなどに使われます。

②衝動性眼球運動(Saccade Eye Movement)

視線をある対象物から別の対象物へと素早く移動させる運動です。
例えば、本を読んでいるときに視線を行から行へと移動させるときなどに使われます。

③輻輳・開散運動(Vergence Eye Movement)

近くの物体を見るときに両目が内側に寄る(輻輳)、遠くの物体を見るときに
両目が外側に開く(開散)運動です。
距離感の把握や、立体視に重要な役割を果たします。
これらの眼球運動は、脳の様々な領域によって制御されており、
私たちが無意識のうちに行っている非常に複雑な運動です。

1-2. 眼球運動と姿勢制御
眼球運動は、単に視覚情報を収集するだけでなく、姿勢制御にも深く関わっています。
私たちの体は、視覚情報、内耳からの平衡感覚情報、筋肉や関節からの
固有受容感覚情報などを統合し、常にバランスを保っています。
眼球運動がスムーズに行われないと、視覚情報が不正確になり、
脳は体のバランスを崩しやすくなります。
すると、脳は転倒を防ぐために、無意識のうちに体の各部の筋肉を緊張させ、
姿勢を安定させようとします。
この過剰な筋緊張が、慢性的な腰痛の原因となることがあるのです。

1-3. 慢性腰痛と眼球運動障害の研究
実際に、慢性的な腰痛を持つ人では、眼球運動に異常が見られることが
多いという研究結果が報告されています。
①滑動性追跡眼球運動の低下
慢性腰痛患者では、動く対象物をスムーズに追跡する能力が
低下していることが報告されています。
対象物の動きに目が追いつかず、遅れたり、ガクガクとした動き
(サッケードの混入)が見られたりすることがあります。

②衝動性眼球運動の精度低下
慢性腰痛患者では、視線を素早く正確に移動させる能力が低下していることも
報告されています。
目標とする位置に視線が正確に定まらず、行き過ぎたり、
手前で止まったりすることがあります。

③輻輳・開散運動の障害
慢性腰痛患者では、輻輳・開散運動がスムーズに行われない、
あるいは輻輳近点(両目を寄せられる限界の距離)が遠くなるといった報告もあります。
これらの研究結果は、慢性的な腰痛と眼球運動障害の間に密接な関連があることを示唆しています。



第2章:眼球運動障害が腰痛を引き起こすメカニズム
では、具体的にどのようにして眼球運動障害が腰痛を引き起こすのでしょうか?
そのメカニズムは完全には解明されていませんが、いくつかの説が考えられています。

2-1. 姿勢制御の乱れと筋緊張の増加
前述のように、眼球運動がスムーズに行われないと、視覚情報が不正確になり、
姿勢制御が不安定になります。
脳は転倒を防ぐために、無意識のうちに脊柱起立筋や腹筋などの
体幹の筋肉を緊張させ、姿勢を安定させようとします。
この持続的な筋緊張が、腰痛の原因となると考えられています。
特に、滑動性追跡眼球運動の低下は、体の重心動揺を増加させ、
姿勢を不安定にすることが知られています。
この不安定さを補うために、腰部の筋肉が過剰に働くことで、
腰痛が引き起こされる可能性があります。

2-2. 脳の可塑性と痛みの慢性化
慢性的な痛みは、脳の可塑性(変化する能力)によって、
痛みの回路が強化されることで生じると考えられています。
眼球運動障害は、脳の特定の領域(例えば、小脳や脳幹)の
機能低下を示唆しており、これらの領域は痛みの処理にも関与しています。
眼球運動障害が持続すると、脳の痛みの処理に関わる回路に影響を与え、
痛みが慢性化しやすくなる可能性があります。
また、眼球運動障害による視覚情報の入力異常が、
脳の痛みの認識に影響を与える可能性も考えられます。

2-3. ストレスと自律神経系の影響
眼球運動障害は、視覚情報の処理に負担をかけ、脳にストレスを与える
可能性があります。
ストレスは交感神経系を活性化させ、全身の筋肉を緊張させます。
この慢性的なストレスと筋緊張が、腰痛を悪化させる要因となる可能性があります。



第3章:「腰痛改善のための眼球運動アプローチ
慢性的な腰痛に悩んでいる場合、眼球運動の評価とトレーニングを行うことで、
症状が改善する可能性があります。

3-1. 眼球運動の評価
まずは、眼球運動に問題があるかどうかを評価する必要があります。
以下のような簡単なチェックを行うことができます。
①滑動性追跡眼球運動テスト

指やペンなどを目の前で左右、上下、斜めにゆっくりと動かし、視線を外さずに滑らかに追跡できるかを確認します。目が対象物の動きに追いつかない、ガクガクとした動きが見られる場合は、問題がある可能性があります。

②衝動性眼球運動テスト

目の前に2つの対象物(例えば、左右の親指)を置き、視線を交互に素早く移動させます。
視線が目標物に正確に定まるか、行き過ぎたり手前で止まったりしないかを確認します。

③輻輳・開散運動テスト

ペンなどを目の前に持ち、ゆっくりと鼻に近づけていきます。
ペン先が二重に見えるまでの距離(輻輳近点)を測定します。
また、遠くの物体と近くの物体を交互に見ることで、スムーズにピントが合うかを確認します。
これらのテストは、自分で行うこともできますが、正確な評価のためには、
専門家(医師、理学療法士、スポーツトレーナーなど)に相談することをお勧めします。

3-2. 眼球運動トレーニング
眼球運動に問題がある場合は、トレーニングを行うことで
機能を改善することができます。
以下のようなトレーニングが効果的です。
①滑動性追跡眼球運動トレーニング

指やペンなどを目の前でゆっくりと動かし、視線を外さずに滑らかに追跡します。
慣れてきたら、速度を上げたり、動かす範囲を広げたりします。

②衝動性眼球運動トレーニング

目の前に2つの対象物を置き、視線を交互に素早く移動させます。
正確さとスピードを意識して行います。

③輻輳・開散運動トレーニング

ペンなどを目の前で前後に動かし、視線を合わせ続けます。
また、遠くの物体と近くの物体を交互に見るトレーニングも効果的です。
これらのトレーニングは、毎日少しずつでも継続することが重要です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、継続することで徐々に
眼球運動がスムーズになり、腰痛の改善につながる可能性があります。



第4章. まとめ
慢性的な腰痛の原因は、腰そのものだけでなく、眼球運動障害にある
可能性があります。
眼球運動障害は、姿勢制御を乱し、筋緊張を増加させることで、
腰痛を引き起こすと考えられています。
慢性的な腰痛に悩んでいる方は、一度眼球運動の評価を
受けてみることをお勧めします。
眼球運動に問題がある場合は、トレーニングを行うことで、症状が改善する可能性があります。
今回の記事が、長年腰痛に苦しんでいる方々の解決の糸口となれば幸いです(๑•̀ㅂ•́)و✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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