浅い呼吸が首痛の元凶! 固まった肺を広げる三次元呼吸法をご紹介

こんにちは、GENRYUです(^^)
腰が痛い...肩が痛い...首が痛い...
日常的に痛みがを抱えて生活している方がとても多いと思います。
その対策として、多くの場合が
・筋肉へのマッサージ&ストレッチ
・筋膜への筋膜リリース
・背骨へのカイロプラクティック
・痛みがある場所への物理療法(電気、牽引、ホットパックなど)
これら軟部組織の施術において、筋肉、腱、靭帯、筋膜といった
深部組織に焦点を当てることは一般的です。
しかし、長年の臨床経験や神経学の知識に基づくと、
皮膚という「最も身近で広大な器官」が、痛みの軽減や運動機能の改善において
極めて重要な役割を果たしていることがわかってきました。
今回のブログでは、皮膚が痛み管理においてなぜ重要なのか、
その神経学的メカニズムと具体的な施術テクニックを、
医学的根拠とともに詳しく解説しますね!
ぜひ、最後までご覧ください。
1. 皮膚の役割とその神経学的意義
皮膚は人体最大の器官であり、外部環境との最初の接点です。
皮膚には、触覚、圧覚、痛覚、温度感覚を司る多様な感覚受容器
(メカノレセプター、ノシセプター、サーモレセプターなど)が存在し、
これらが脳や脊髄に情報を送ることで、身体の状態をリアルタイムで
モニタリングしています。
特に、痛みに関連する神経学的メカニズムにおいて、
皮膚は「ゲートコントロール理論」や「周辺抑制」といった現象を通じて、
感覚情報の調節に大きく関与します。
「ゲートコントロール理論」
ゲートコントロール理論(Melzack & Wall, 1965)は、
皮膚への刺激が痛みの伝達を抑制する仕組みを説明します。
例えば、軽い触覚や圧覚刺激は、Aβ繊維(太くて高速な神経繊維)を活性化し、
脊髄レベルでC繊維(痛覚を伝える細い繊維)の信号を抑制します。
これにより、皮膚への穏やかな刺激(例:マッサージやテーピング)は、
深部組織由来の痛みを軽減する可能性があります。
この理論は、皮膚が痛み管理の「ゲートキーパー」として機能することを示しています。
「周辺抑制」
周辺抑制は、特定の感覚受容器が刺激されると、その周囲の受容器の活動が抑制される現象です。
例えば、ペン先で皮膚を軽く押すと、押された部位の神経終末が活性化され、
周囲の神経活動が抑制されます(Kandel et al., 2000)。
このメカニズムは、痛みの局所化や軽減に寄与し、皮膚へのターゲット刺激が
深部組織の痛みを抑制する理由を説明します。
「医学的根拠 」
研究例1: 1990年代の研究(例:Haldeman, 1999)では、
慢性頭痛患者の僧帽筋上部で皮膚の緊張が増加し、痛みと約80%の
相関があることが報告されています。
この緊張は、皮膚の可動性低下と関連し、皮膚へのアプローチが
痛み軽減に有効であることを示唆します。
研究例2: 皮膚の機械的刺激(例:軽いマッサージやテーピング)が、
末梢神経系の感覚入力に影響を与え、疼痛閾値を上昇させることを示した研究
(Bialosky et al., 2009)があります。
2. なぜ皮膚が軟部組織施術で無視されがちなのか?
多くの施術者は、筋肉や腱、筋膜といった深部組織に注目しがちです。
例えば、テニス肘(外側上顆炎)や首の痛みに対して、
筋肉への強いマッサージや関節モビライゼーションを行う傾向があります。
しかし、皮膚の役割を軽視することは、施術の効果を制限する可能性があります。
以下にその理由を考察します。
①教育の偏り
多くのマッサージセラピーや理学療法のトレーニングでは、深部組織へのアプローチが
強調され、皮膚への直接的な介入は補助的なものと見なされがちです。
②即時効果の誤解
深部組織への強い刺激は、即座に筋肉の緊張が緩む感覚を与えるため、
施術者が「効果的」と感じやすい。
一方、皮膚への軽い刺激は効果がわかりにくい場合があります。
③神経学の知識不足
皮膚の感覚受容器が痛みの調節に果たす役割や、神経学的メカニズムについての
理解が不足しているため、皮膚へのアプローチが優先されにくい。
皮膚の感覚受容器は、脳に送られる情報の約90%が感覚情報であると
言われるほど重要です(Kandel et al., 2000)。
特に、慢性痛患者では、皮膚の感覚入力の異常(例:感覚過敏)が、
痛みの増幅に関与していることがわかっています(Woolf, 2011)。
このため、皮膚への適切な刺激は、感覚入力の正常化を通じて
痛みを軽減する可能性があります。
3. 皮膚へのアプローチの具体的手法
皮膚を活用した施術は、シンプルかつ効果的であり、特別な器具を必要としない
場合が多いです。以下に、提供された文章を基に、具体的なテクニックと
その神経学的効果を紹介します。
①皮膚の可動性テスト
「方法」
痛みのある部位(例:テニス肘)の皮膚に指を軽く置き、
押さずに「東、西、南、北」の方向に動かします。
皮膚の硬さや動きの制限を感じ、左右の差を比較します。
制限がある方向を特定し、その方向に軽く皮膚を引っ張り(持ち上げる程度)、
10~15秒保持します。その後、痛みの再評価(例:握力テスト)を行います。
「神経学的効果」
皮膚の可動性テストは、感覚受容器(特にメカノレセプター)を刺激し、
脊髄レベルでのゲートコントロールを活性化します。
皮膚の緊張を緩めることで、局所の血流改善やリンパ循環の促進が期待され、
炎症反応の軽減にも寄与します(Bialosky et al., 2009)。
「医学的根拠 」
皮膚の可動性低下は、筋膜や深部組織の癒着と関連し、
慢性痛の要因となることが示されています(Stecco et al., 2013)。
皮膚のストレッチングは、癒着を緩和し、感覚入力の正常化を促します。
②スキンローリング
「方法」
親指を皮膚に当て、他の指で皮膚を軽く持ち上げ、転がすように動かします。
特に、弾力性が低下している部位(例:肘、首、背中)に焦点を当て、
ゆっくりと施術を行います。
全身の皮膚に適用可能で、特にハムストリングやふくらはぎなど、
広範囲の筋群に効果的です。
「神経学的効果」
スキンローリングは、メカノレセプターを穏やかに刺激し、周辺抑制を誘発します。
これにより、局所の痛覚信号が抑制され、痛みが軽減します。
皮膚の弾力性低下は、神経終末の過敏性と関連し、スキンローリングによる刺激は
これを正常化します(Mense, 2010)。
「医学的根拠」
スキンローリングは、筋膜リリースと同様に、皮膚と下層組織の癒着を解消し、
感覚入力の正常化を促すことが報告されています(Stecco et al., 2016)。
③キネシオテーピング
「方法」
痛みのある部位や皮膚の可動性が低下している部位に、
キネシオテープを軽く伸ばして貼ります。
テープの張力を調整し、皮膚をわずかに持ち上げるように施術します。
数日間貼り続けることで、持続的な刺激を提供します。
「神経学的効果」
キネシオテーピングは、皮膚のメカノレセプターを継続的に刺激し、
ゲートコントロール理論に基づく痛みの抑制を促進します。
テープによる皮膚の持ち上げは、リンパ循環や血流を改善し、
炎症の軽減に寄与します(Kase et al., 2003)。
「医学的根拠」
キネシオテーピングは、テニス肘や肩こりなどの疼痛軽減に
有効であることが複数の研究で示されています(例:Thelen et al., 2008)。
特に、皮膚への軽い刺激が感覚入力の調節に役立つとされています。
4. 皮膚アプローチの臨床的意義
皮膚へのアプローチは、以下のような臨床的利点があります。
①非侵襲的で安全
皮膚への軽い刺激は、深部組織への強い圧迫に比べ、リスクが低い。
②即時効果
皮膚のメカノレセプターは即座に反応し、痛みの軽減や
可動域の向上が期待できる。
③汎用性
テニス肘、肩こり、腰痛、慢性頭痛など、さまざまな症状に対応可能。
④セルフケア
スキンローリングやテーピングは、自宅で行える簡単な方法。
「補完情報」
①慢性痛との関連
慢性痛患者では、皮膚の感覚過敏や可動性低下が、神経系の過剰興奮(中枢感作)と
関連していることがわかっています(Nijs et al., 2017)。
皮膚へのアプローチは、中枢感作の軽減に役立つ可能性があります。
②運動パフォーマンス
皮膚の感覚入力は、運動制御にも関与します。
皮膚の可動性向上は、プロプリオセプション(位置覚)の改善につながり、
運動パフォーマンスを向上させる可能性があります(Behm et al., 2016)。
5. 実践例:テニス肘への皮膚アプローチ
以下は、テニス肘(外側上顆炎)に対する皮膚アプローチの具体例です。
①評価
肘周辺の皮膚を軽く動かし、可動性の低下や緊張を特定。
対側(健康な側)と比較。
②皮膚のストレッチ
緊張が強い方向(例:手首側)に皮膚を軽く引っ張り、10~15秒保持。
握力テストで痛みの変化を確認。
③スキンローリング
肘周辺の皮膚を親指と他の指でローリングし、弾力性を改善。
④キネシオテーピング
肘の外側にテープを貼り、皮膚を軽く持ち上げる。
⑤再評価
1時間おきに皮膚のストレッチを繰り返し、痛みの変化をモニタリング。
⑥症例研究
Thelen et al. (2008)の研究では、キネシオテーピングを施したテニス肘患者が、
対照群に比べ、痛みの軽減と握力の向上が有意に観察されました。
6. 皮膚アプローチの限界と注意点
皮膚へのアプローチは有効ですが、以下の点に留意が必要です。
①個体差
皮膚の感覚受容器の反応は個人差があり、全員に同じ効果が得られるとは限りません。
②一時的効果
皮膚刺激による痛み軽減は一時的である場合があり、深部組織の問題(例:腱の変性)
への対処も必要です。
③禁忌
皮膚の炎症、傷、感染症がある場合は、施術を避けるべきです。
④医学的根拠
皮膚アプローチは補助療法として有効ですが、構造的損傷(例:腱断裂)には
外科的介入が必要な場合があります(Bisset & Vicenzino, 2015)。
7. まとめ
皮膚は、痛み管理や運動機能の改善において、驚くほど強力なツールです。
ゲートコントロール理論や側方抑制といった神経学的メカニズムを通じて、
皮膚への軽い刺激は深部組織由来の痛みを抑制し、感覚入力の正常化を促します。
スキンローリング、キネシオテーピング、軽いカッピングなどの手法は、
非侵襲的で即時効果が期待でき、患者のセルフケアにも適しています。
施術者は、筋肉や筋膜だけでなく、皮膚の可動性や感覚入力に注目することで、
より効果的な施術を提供できます。
脳科学に基づくアプローチを取り入れ、皮膚の持つ可能性を最大限に引き出すことで、
生活の質の向上に貢献できると思います(๑•̀ㅂ•́)و✧
当院では、皮膚の治療も専門で行っておりますので、
ご興味がある方はHPをご覧の上、お問合せ頂けばと思います!
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)
「参考文献」
Melzack, R., & Wall, P. D. (1965). Pain mechanisms: A new theory. Science, 150(3699), 971-979.
Kandel, E. R., Schwartz, J. H., & Jessell, T. M. (2000). Principles of Neural Science. McGraw-Hill.
Haldeman, S. (1999). Principles and practice of chiropractic. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics.
Bialosky, J. E., et al. (2009). The mechanisms of manual therapy in the treatment of musculoskeletal pain: A comprehensive model. Manual Therapy, 14(5), 531-538.
Stecco, C., et al. (2013). The fascial manipulation technique and its effects on pain and function. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 17(4), 525-535.
Kase, K., et al. (2003). Clinical Therapeutic Applications of the Kinesio Taping Method. Kinesio Taping Association.
Thelen, M. D., et al. (2008). The clinical efficacy of kinesio tape for shoulder pain. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 38(7), 389-395.
Rozenfeld, E., & Kalichman, L. (2016). New is the well-forgotten old: The use of dry cupping in musculoskeletal medicine. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 20(1), 173-178.
Kim, J. I., et al. (2011). Cupping for treating pain: A systematic review. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine.
Nijs, J., et al. (2017). Central sensitization in chronic pain: Mechanisms and clinical implications. Physical Therapy Reviews, 22(5-6), 201-207.
Behm, D. G., et al. (2016). The role of proprioception in motor control and performance. Sports Medicine, 46(2), 187-201.
Bisset, L., & Vicenzino, B. (2015). Physiotherapy management of lateral epicondylalgia. Journal of Physiotherapy, 61(4), 174-181.



