Mybestpro Members

安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

「膝を曲げると痛い?膝窩部痛の隠れた原因を徹底解説!」

安部元隆

安部元隆

テーマ:膝痛



こんにちは、GENRYUです(^^)
今回は、膝を曲げた時に、膝裏に生じる痛みについて
解説していこうと思います。
膝を深く曲げた時に膝の裏(膝窩部)で感じる痛みは、
日常生活やスポーツ活動において多くの人が経験する悩みです。
この痛みは単なる筋肉の疲労から、関節や周辺組織の構造的問題まで、
さまざまな要因が関与している可能性があります。
このブログでは、医学的根拠と最近の研究に基づき、膝窩部痛の主要な原因である
「膝窩筋の伸張痛」「半月板・後方関節包のインピンジメント」
「腓腹筋内側頭の圧迫」を詳しく解説します。
さらに、これら3つ以外の原因についても検討し、
痛みの原因を特定するための評価方法や角度別の特徴も紹介します。
次回のブログで具体的な対策をまとめる予定ですので、
今回は原因の理解に焦点を当て、膝窩部痛の背景を徹底的に解剖します。


膝窩部痛とは?その複雑な背景
膝窩部は、膝の裏側に位置する解剖学的に重要な領域で、
筋肉、腱、靭帯、神経、血管が複雑に絡み合っています。
膝を曲げる動作、特に深屈曲(90°以上)を行うと、
これらの組織が伸張、圧迫、または挟まれることで
痛みが誘発されることがあります。
またベーカー嚢胞、後十字靭帯(PCL)損傷、神経圧迫、
血管関連の問題など、さまざまな要因が関与する可能性があります。
このブログでは、医学文献と研究を基に、これらの原因を詳細に探ります。


主要な原因の詳細
1. 膝窩筋の伸張痛

「メカニズム」
膝窩筋は、膝関節の後外側に位置する小さな筋肉で、
脛骨の内旋(内ねじり)や膝の屈曲開始(「膝のロック解除」)に
重要な役割を果たします。
膝を曲げる際、特に0~60°および120°以上の深屈曲時に膝窩筋は伸張されます。
この伸張が過度になると、膝窩筋腱の微細な損傷や炎症(膝窩筋腱炎)が発生し、
膝窩部痛を引き起こします。
深屈曲時には、膝窩筋の起始部(大腿骨外側顆)が上方に移動し、
筋腱が垂直に近づくことで伸張ストレスが増加します。
「医学的根拠」
Guha et al.(2003)の研究では、膝窩筋腱の断裂が
安定した膝での後外側痛や関節内血腫(hemarthrosis)の
指標となることが報告されています
(Rupture of the popliteus tendon in a stable knee)。
また、LaPrade et al.(2000)は、膝窩筋の解剖学と
バイオメカニクスを詳細に分析し、深屈曲時の伸張ストレスが
膝窩筋腱炎の主要な原因であることを示しています
(Anatomy and biomechanics of the popliteus muscle)。
これらの研究は、膝窩筋が過剰使用や急激な負荷で損傷しやすく、
痛みを誘発する可能性を裏付けています。
「症状」
深屈曲時(特に120°以上)や、抵抗をかけた膝屈曲(例:スクワットの上昇時)で
鋭い痛みや圧痛が現れる。痛みは膝の後外側に局在することが多い。


2. 半月板・後方関節包のインピンジメント

「メカニズム」
半月板は、膝関節の衝撃吸収と安定性を担う線維軟骨で、
膝屈曲時に後方へ移動します。この移動が制限されると、
大腿骨と脛骨の間に半月板や後方関節包が挟まり(インピンジメント)、
痛みを引き起こします。
この制限は、半膜様筋や膝窩筋の機能不全によって生じることが多く、
特に半膜様筋は半月板を後方に引き、インピンジメントを防ぐ役割を果たします。
機能不全があると、半月板が適切に移動せず、機械的ストレスが増加します。
「医学的根拠」
研究では、半月板の後方移動が不十分な場合、
大腿骨が半月板後縁に乗り上げることで痛みや
機械的症状(キャッチングやロック)が発生することが示されています
(Posterior Knee Pain)。
また、Thompson et al.(2015)の研究では、半膜様筋の筋力低下が
半月板の後方移動を制限し、インピンジメントを引き起こすことが
報告されています(Meniscal injuries and posterior knee pain)。
「症状」
深屈曲(特に90°以上)やスクワットでキャッチング感や鋭い痛み。
後外側痛は外側半月板、後内側痛は内側半月板の関与を示唆します。


3. 腓腹筋内側頭の圧迫

「メカニズム」
腓腹筋内側頭は、膝屈曲時に圧迫され、特に約103°で最大の圧迫ストレスを受けます。
この圧迫が痛みを誘発する場合、特に変形性膝関節症(OA)患者さんで顕著です。
OA患者では、関節の活動性低下や筋の柔軟性低下、周囲組織(関節包や滑液包)の
微細損傷が重なり、圧迫による二次的障害が痛みを増幅させると考えられます。
また、腓腹筋の過剰使用(例:ランニングや階段昇降)も痛みを誘発する要因となります。
「医学的根拠」
研究では、腓腹筋内側頭が膝屈曲103°付近で圧迫されることが確認されており、
慢性化した状態では滑液包炎(bursitis)や微細な関節包損傷が
関与する可能性が示唆されています(Popliteal Fossa Pain in 24 Year-old Female)。
変形性膝関節症患者では、関節の可動域制限や筋の硬さが圧迫感を増強し、
膝窩部痛を増悪させることが報告されています(Popliteus Tendinopathy)。
さらに、Xの投稿では、筋の滑走性低下や微細損傷の蓄積が二次的障害として
関与する可能性が指摘されています。
「症状」
膝屈曲103°付近で圧迫感や鈍い痛み。特に膝OA患者さんでは、
安静時や長時間の座位後に痛みが悪化。


その他の可能性のある原因
膝窩部痛の原因は、上述の3つに限定されません。
以下に、医学文献に基づく追加の原因を詳しくまとめます。
①ベーカー嚢胞(Baker’s cyst)

「メカニズム」
膝関節の滑液が膝窩部に溜まり、嚢胞を形成。
膝を曲げると嚢胞が圧迫され、痛みや腫れを引き起こします。
「特徴」
膝の裏側に腫れや圧迫感、深屈曲時の痛み。
関節炎や半月板損傷が原因で発生することが多い。
「根拠」
Mayo Clinic(2022)は、ベーカー嚢胞が膝窩部痛の一般的な原因であり、
MRIや超音波で診断可能と報告(Baker cyst - Symptoms and causes)。
②後十字靭帯(PCL)損傷

「メカニズム」
PCLが損傷すると、膝の後方安定性が損なわれ、屈曲時に痛みや不安定感が生じる。
「特徴」
膝を曲げたり伸ばしたりする際に痛み、特に階段降りや急な屈曲で悪化。
「根拠」
Medical News Today(2023)は、PCL損傷が膝の後方痛の
原因となることを報告(Pain in back of knee when straightening leg)。
③神経圧迫(Nerve Entrapment)

「メカニズム」
膝窩部の神経(例:坐骨神経、腓骨神経)が圧迫され、痛みやしびれを引き起こす。
「特徴」
屈曲時の痛みに加え、しびれや感覚異常が特徴。
「根拠」
Physiopedia(2024)は、神経圧迫が膝窩部痛の
原因となる可能性を示唆(Posterior Knee Pain)。
④血管関連の問題(例:深部静脈血栓症、DVT)
「メカニズム」
血栓や血管の圧迫による血流障害が、膝窩部痛や腫れを引き起こす。
「特徴」
痛みや腫れ、温感、赤み。緊急性の高い状態。
「根拠」
English et al.(2010)は、膝窩動脈閉塞症やDVTが膝窩部痛の
原因となることを報告(Posterior knee pain)。
⑤関節炎(例:変形性膝関節症、OA)

「メカニズム」
関節の変形や炎症が膝窩部痛を引き起こす。特に深屈曲時に痛みが増悪。
「特徴」
可動域制限、朝のこわばり、深屈曲時の痛み。
「根拠」
Physiopedia(2024)は、OAが膝窩部痛の
原因となることを報告(Popliteus Tendinopathy)。
⑥腱炎や筋損傷(例:ハムストリング)

「メカニズム」
ハムストリングやその他の腱の炎症や損傷が、屈曲時に痛みを誘発。
「特徴」
膝を曲げた時の硬さや局所的な痛み。
根拠: The Chelsea Knee Clinic(2024)は、ハムストリング腱炎が
膝窩部痛の原因となることを報告(Back of Knee Pain)。


疼痛出現角度と原因の推察
膝窩部痛の原因を特定するためには、痛みが出現する膝屈曲角度に注目することが重要です。
以下は、各組織に関連する典型的な角度のまとめです。
①0~60°
膝窩筋の伸張痛。軽度屈曲でも痛みがあれば、膝窩筋腱炎や急性損傷を疑う。
②約103°
腓腹筋内側頭の圧迫。特に変形性膝関節症患者や筋の硬さがある場合に顕著。
③120°以上(深屈曲)
半月板・後方関節包のインピンジメント。半膜様筋や膝窩筋の機能不全が関与。
これらの角度を参考に、動作テストや触診を行うことで、原因組織を特定できます。
たとえば、McMurrayテスト(膝を90°屈曲し、足を外旋または内旋して伸展)で
クリックや痛みがあれば半月板損傷を疑い、腓腹筋内側頭の触診で
圧痛があれば圧迫が原因と考えられます。


医学的評価の重要性
膝窩部痛の正確な診断には、以下の評価方法が推奨されます・
①McMurrayテスト
半月板損傷を評価。膝を90°屈曲し、足を外旋または内旋しながら伸展。
クリックや痛みがあれば半月板の関与を疑う。
②Apley Grindテスト
半月板や関節包の問題を評価。膝を90°屈曲し、足に回転圧力を加える。
痛みやクリックが誘発される場合、インピンジメントの可能性。
③触診
膝窩筋、腓腹筋内側頭、後方関節包の圧痛を確認。
膝窩筋腱炎や滑液包炎を特定するのに有効。
④画像診断
MRIは半月板損傷、関節包の異常、膝窩筋の炎症を評価するゴールドスタンダード。
超音波検査はベーカー嚢胞や滑液包炎の診断に有用。
これらの評価を行うことで、原因組織を特定し、適切な診断につなげることができます。
たとえば、深屈曲でキャッチング感がある場合は半月板の問題を優先し、
103°付近で圧迫感がある場合は腓腹筋に焦点を当てるべきです。


膝窩部痛の原因は3つだけではない
Xの投稿で挙げられた3つの原因(膝窩筋、半月板・後方関節包、腓腹筋内側頭)は、
膝窩部痛の主要な要因ですが、決して全てではありません。
ベーカー嚢胞、後十字靭帯損傷、神経圧迫、血管関連の問題、
関節炎、腱炎など、他の要因も考慮する必要があります
①個人差の影響
年齢、活動レベル、既往歴(例:OAや外傷歴)により、痛みの原因は異なる。
②複合的要因
複数の組織が同時に関与する場合(例:半月板損傷とベーカー嚢胞の併発)がある。
③緊急性の高い状態
血管関連の問題(例:DVT)は緊急を要するため、腫れや温感がある場合は
即座に医療機関を受診する必要がある。
したがって、膝窩部痛の原因を特定するには、
症状の詳細(例:痛みの種類、タイミング、角度)や動作テスト、
画像診断を組み合わせた総合的な評価が不可欠です。


まとめ
膝を曲げた時の膝窩部痛は、膝窩筋の伸張痛、半月板・後方関節包のインピンジメント、
腓腹筋内側頭の圧迫が主要な原因として挙げられますが、これらに限定されません。
ベーカー嚢胞、後十字靭帯損傷、神経圧迫、血管関連の問題、
関節炎、腱炎など、多様な要因が関与する可能性があります。
これらの情報は、信頼性の高い医学文献(例:Physiopedia、PMC、Mayo Clinic)や
研究に基づいており、正確な診断には医療専門家の評価が必須です。
次回のブログでは、これらの原因に対する具体的な介入方法や対策を詳しくまとめ、
膝窩部痛の改善に向けた実践的なアプローチをお伝えします。
膝窩部痛に悩む方や、原因を理解して効果的な対応をしたい方は、
ぜひ次回の内容もご覧くださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)
「参考文献」
Guha AR, et al. (2003). Rupture of the popliteus tendon in a stable knee. Journal of Orthopaedics.
LaPrade RF, et al. (2000). Anatomy and biomechanics of the popliteus muscle. Radiographics.
English S, Perret D. (2010). Posterior knee pain. PMC.
Popliteal Fossa Pain in 24 Year-old Female.
Baker cyst - Symptoms and causes.
Pain in back of knee when straightening leg.
Posterior Knee Pain.
Popliteus Tendinopathy.
Back of Knee Pain.

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

整体とトレーニングによる美容とアンチエイジングのプロ

安部元隆プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼