肩が痛くて挙げにくい、肘の痛みを解消する「オススメエクササイズ」
この記事の要点
・腕を上げると肩が詰まる・高く上げるとズキッとする方は、肩の関節の「下」と「後ろ」の組織が硬くなっていることがあります。
・日常生活で必要な腕の上がる角度は、前からも横からも約130度が目安です。
・下と後ろの組織をのばす4つのストレッチを、研究で分かっていることとあわせて紹介します。
※次のような場合は、ストレッチより先に整形外科を受診してください。
・転んだり、重い物を持ち上げたりしたあとから腕が上がらない
・夜も痛みで目が覚める、じっとしていても強く痛む
・腕や手のしびれ、力の入りにくさがある
・発熱がある、肩が赤く腫れて熱をもっている
・左肩や腕の痛みと一緒に、胸の痛みや息苦しさ、冷や汗がある(心臓の病気のこともあるため、すぐに受診してください)
「腕を上げると肩がつまる」
「服を着るのが一苦労」
「高く上げるとズキッとする」
そんな肩の悩み、つらいですよね。
前回のブログでは、腕を上げる動きをじゃまする原因(肩甲下筋、大円筋、四辺形間隙など)を解説しました。
今回は、その解決策としてのストレッチを、研究で分かっていることと、まだ分かっていないことを分けながらお伝えします。
腕はどこまで上がればいい?
まず、目安になる数字を一つ紹介します。
健康な人が日常生活の動作をするときの腕の角度を調べた研究をまとめた報告では、
前から腕を上げる動き(屈曲)も、横から上げる動き(外転)も、約130度
が必要だとされています。
髪を洗う、棚の物を取る、といった動作です。
130度は、腕を前からまっすぐ上げて、耳の少し手前くらいの高さです。
真上(180度)まで上がらなくても、日常生活の多くの動作はできる、ということでもあります。
なぜ肩が上がりにくくなるの?
腕を上げていくとき、肩の関節の中では、上腕骨の頭(骨頭)が下や後ろへ少しずつすべりながら回っています。
このとき、関節の「下」と「後ろ」にある組織が硬くなっていると、骨頭のすべりがじゃまされて、途中で詰まったり、痛みが出たりしやすくなります。
関わる組織は、主に次のとおりです。
- 肩の前下:肩甲下筋(とくに下のほうの線維)
- わきの後ろ:大円筋、上腕三頭筋の長頭
- 肩の後ろ:小円筋、棘下筋、後ろ側の関節包
ただし、どこが硬くなっているかは人によって違います。
そのため、ストレッチの前後で「腕がどこまで上がるか」を確かめながら進めることが大切です。
始める前に:今の腕の上がり方を確かめる
1. 壁に向かって立ち、手のひらを壁につけます
2. 指先で壁をなぞるように、腕を前からゆっくり上げていきます
3. 痛みや詰まりが出る手前の、指先の高さを覚えておきます(付せんを貼ってもOKです)
ストレッチのあとに、同じ方法でもう一度確かめます。
4つのストレッチ
どのストレッチも、痛気持ちいい程度で30秒キープ、を数回が基本です。
鋭い痛みが出たら、すぐに弱めるか中止してください。
① 肩の後ろ:クロスボディストレッチ
1. 立つか座って、のばしたい側の腕を肩の高さで胸の前に出します
2. 反対の手で肘を持ち、腕を胸のほうへ引き寄せます
3. このとき、肩甲骨が一緒に前へ出ないように、肩を少し下げて胸を張っておきます
4. 肩の後ろ側がのびるのを感じながら、30秒キープします
このストレッチでのびるのは、肩の後ろ側(小円筋・棘下筋・後ろ側の関節包)です。
肩の後ろが硬い人を対象にした研究では、このストレッチを1日1回、30秒×5回、4週間続けると、腕を内側にひねる動きの範囲が平均で約20度広がりました。何もしなかったグループは約6度でした。
② 肩の後ろ:スリーパーストレッチ(やさしく)
1. のばしたい側を下にして、横向きに寝ます
2. 下になった腕を、肩の高さより少し低い位置で前に出し、肘を90度に曲げます(指先は天井向き)
3. 反対の手で手首を持ち、手のひらが床に近づく方向へ、ゆっくり倒していきます
4. 肩の後ろがのびるところで、30秒キープします
肩の前や上に鋭い痛みが出る場合は、腕の高さを下げるか、中止してください。
先ほどの研究では、このストレッチでも腕を内側にひねる範囲は広がりました(平均約12度)。ただし、何もしなかったグループとの差ははっきりしませんでした。
まずは①のクロスボディストレッチを中心に行い、②は痛みが出ない方だけ追加するのがおすすめです。
③ わきの後ろ:大円筋・上腕三頭筋のストレッチ
1. 机や台の前に立ち、両手を台の上に置きます
2. 腕を前に伸ばしたまま、お尻を後ろに引いて、上半身を床と平行に近づけていきます
3. わきの下から、わきの後ろ側がのびるのを感じたら、30秒キープします
4. 余裕があれば、肘を曲げて手を後頭部のほうへ近づけると、二の腕の裏(上腕三頭筋の長頭)がよりのびます
腰が反りすぎないように、お腹に軽く力を入れておきましょう。
④ 肩の前下:横に上げた位置で外にひねるストレッチ
1. 壁の横に立ち、のばしたい側の腕を横に上げて、肘を90度に曲げます(ガッツポーズの形)
2. 前腕と手のひらを壁につけます
3. 腕は動かさずに、体だけをゆっくり壁と反対の方向へひねります
4. 肩の前の奥がのびるのを感じたら、30秒キープします
肩がすくんだり、腰が反ったりしないように注意してください。
このストレッチは、肩シリーズの第2回でくわしく解説しています。
→第2回「腕を真横から上げると90度で詰まる方へ」を読む
終わったら、もう一度確かめる
最初と同じように、壁に手をつけて腕を前から上げてみてください。
指先の高さは変わりましたか?
結果は、
- 上がった(楽になった)
- 同じ
- 悪くなった
- 分からない
のどれかで残しておきましょう。
①〜④のうち、どのストレッチのあとで変化が大きかったかを見ていくと、自分の肩でどこが硬くなっているかのヒントになります。
どのくらい続ければいい?
先ほどの研究では、1日1回、30秒×5回を4週間続けていました。
まずは、変化が大きかったストレッチを中心に、1日1回から始めてみてください。
なお、五十肩(凍結肩)の診療ガイドラインでは、痛みが強い時期は弱く短いストレッチを、痛みが落ち着いてきたら少しずつ強く長いストレッチを、という段階に合わせた進め方がすすめられています。
痛みが強い時期に無理にのばすと、かえって長引くことがあります。
よくある質問
Q.どのストレッチから始めればいい?
まずは①のクロスボディストレッチと、③のわきの後ろのストレッチがおすすめです。
どちらも安全に行いやすく、前後で腕の上がり方を比べやすいからです。
Q.痛みが出たらどうする?
鋭い痛みが出たら、そのストレッチは中止してください。
痛気持ちいい程度の張り感は問題ありませんが、ストレッチのあとに痛みが強く残る場合は、強さや時間を減らしましょう。
Q.真上まで上がらないといけない?
いいえ。日常生活の多くの動作は、約130度あればできるとされています。
大切なのは、あなたの生活で困っている動作が、楽にできるようになることです。
まとめ
- 日常生活で必要な腕の角度は、前からも横からも約130度が目安
- 腕を上げにくい原因の一つは、肩の関節の「下」と「後ろ」の組織の硬さ
- ストレッチは、クロスボディ・スリーパー(やさしく)・わきの後ろ・横に上げて外にひねる、の4つ
- ストレッチの前後で、腕の上がり方を確かめる
- 痛みが強い時期は、弱く短く
ストレッチを続けても腕が上がりにくい、詰まりが変わらない方は、
肩の関節だけでなく、肩甲骨や背中(胸椎)の動きが関わっていることがあります。
大分駅から歩いて15分ほどの当院(大分市金池町)では、
腕を上げる動きを一緒に確かめながら、
どこから見ていくかを整理しています。
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肩の痛みについて、当院の考え方・検査・セルフケアをホームページにまとめています。
肩の痛みのページ(綜合整体 GENRYU)
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)
参考文献
日常生活に必要な肩の角度
Oosterwijk AM, et al. Shoulder and elbow range of motion for the performance of activities of daily living: A systematic review. Physiotherapy Theory and Practice. 2018;34(7):505-528. PMID: 29377745
クロスボディストレッチとスリーパーストレッチの比較
McClure P, et al. A randomized controlled comparison of stretching procedures for posterior shoulder tightness. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2007;37(3):108-114. PMID: 17416125
五十肩(凍結肩)の診療ガイドライン
Kelley MJ, et al. Shoulder pain and mobility deficits: adhesive capsulitis. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2013;43(5):A1-A31. PMID: 23636125
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