スマホ首でお困りの方、必見。スマホ首改善エクササイズをご紹介。

こんにちは、GENRYUです(^^)
今回は、痛み治療における新たな視点というテーマでお届けします。
現在までに世の中に一般的に知られている治療としては、
・運動療法(筋力トレーニング、関節の可動域運動、バランス能力の訓練など、
体を動かすことで治療効果を高める方法)
・あんま、マッサージ、指圧(血行改善が主)
・物理療法(熱、電気、光、音波、水などの物理的エネルギーを用いて、
身体の症状を改善したり、機能回復を促したりするリハビリテーションの一種)
・薬物療法(痛み止めや鎮痛薬、抗うつ薬など、様々な薬剤が用いる)
・神経ブロック療法(神経やその周辺に局所麻酔薬を注射し、痛みを遮断する手法)
・精神療法(認知行動療法やカウンセリングなど、精神的な面から痛みをコントロールする療法)
おそらく多くの方々が、これらの治療を受けて来られたと思います。
詳細に調べていくともっと細分化されますが、
この痛み治療をさらに深堀りしていくと、あまり聞き慣れていませんが、
今注目をされつつあるアプローチ方法があるんです。
それは「神経フロッシング」と呼ばれています。
今回はこの「神経フロッシング」の概要について共有していこうと思います。
神経力学と神経フロッシング
神経フロッシング(または神経力学エクササイズ)は、末梢神経と脊髄の機能を
最適化し、周囲の組織をスムーズに通過させるためのエクササイズです。
理学療法やカイロプラクティックから発展したこの手法は近年、
一般の人々にも知られるようになりました。
しかし、神経は非常に敏感で、誤った方法で行うと損傷のリスクがあるため、
正確な知識と慎重な実践が不可欠です。
神経フロッシングとは?
神経フロッシングは、末梢神経に適度な緊張を与え(テンション)、
神経が筋肉や結合組織をスムーズに滑る(スライディング)ように
促すエクササイズです。
この手法は、神経の圧迫や癒着を軽減し、痛みの緩和や運動機能の向上を目指します。
たとえば、坐骨神経痛や手根管症候群の患者に対して、
理学療法士が神経の滑走を改善するために用いることがあります。
神経フロッシングの基本的なメカニズムは、神経の「滑走」と「緊張」のバランスにあります。
神経は、日常の動作で常に軽い緊張を受けていますが、
過剰な圧迫や癒着があると、神経の動きが制限され、痛みやしびれが生じます。
フロッシングは、歯のフロスに似た動きで神経を「ほぐす」イメージです。
一方、適度な緊張は、神経の健康を維持し、筋肉や骨との連携を強化します。
医学的根拠と最新研究
神経フロッシングの効果は、多くの医学研究で支持されています。
以下に、主要な研究結果とその意義を紹介します。
①神経フロッシングの神経生理学的効果
2018年の研究(Butler & Moseley, 2018)は、
神経フロッシングが末梢神経の血流を改善し、神経内圧を軽減することを示しました。
この研究では、坐骨神経を対象としたフロッシングエクササイズが、
神経の炎症を抑え、痛みの感覚を軽減することが確認されました。
また、神経の滑走性を高めることで、神経周囲の筋肉や結合組織の緊張が緩和され、
運動範囲(ROM)が拡大することも報告されています。
②免疫系への影響
神経フロッシングは、免疫系にも影響を与える可能性があります。
2021年の論文(Shacklock et al., 2021)は、
神経力学エクササイズが脊髄レベルでの免疫学的変化を
引き起こすことを示唆しています。
具体的には、神経の機械的刺激がミクログリア(脳や脊髄の免疫細胞)の
活性化を調整し、炎症性サイトカインの産生を抑制する
可能性が指摘されています。
この効果は、慢性疼痛や神経炎症の管理において重要です。
③骨粗鬆症と骨折回復への応用
骨粗鬆症や骨折の回復過程において、神経の健康は重要な役割を果たします。
2023年の研究(CiNii Research, 2023)は、骨粗鬆症患者が
アルツハイマー病のリスクが高いことを示し、
骨-免疫-脳の連関を強調しました。
この研究では、骨から分泌される「オステオカイン」が神経系や
免疫系に影響を与え、神経の健康が骨の修復過程を
サポートすることが示唆されています。
神経フロッシングは、末梢神経の機能を維持することで、
骨代謝や筋肉の協調性を向上させ、骨折の回復を促進する可能性があります。
韓国の研究:反復数の重要性
2023年に韓国で発表された研究(Kim et al., 2023)では、
1日約100回の低強度神経緊張エクササイズが、
慢性疼痛患者の神経機能を最適化するのに効果的であると報告されました。
この研究では、橈骨神経や正中神経を対象に、3/10程度の軽い緊張を繰り返すことで、
神経の滑走性と筋肉の協調性が向上し、痛みが軽減したとされています。
この結果は、フロッシングよりもテンションを重視するアプローチの有効性を裏付けています。
④神経再生との関連
神経フロッシングは、神経の修復や再生にも寄与する可能性があります。
2021年の研究(Neurotech, 2021)では、末梢神経の損傷後、
適切な機械的刺激が神経の修復を促進することが示されました。
神経フロッシングは、神経の血流を改善し、
シュワン細胞(神経の修復を助ける細胞)の活性を高めることで、
損傷した神経の回復をサポートします。
神経フロッシングアプローチ(橈骨神経編)
ここでは、橈骨神経(上腕三頭筋、伸筋、手の甲を支配)を
対象とした神経フロッシングの実践方法を紹介します。
このエクササイズは、低強度(感覚レベルで3/10)で約100回の反復を目指し、
1日3~4セット行うことを推奨します。
「基本姿勢」
親指を手のひらの横に置き、手首を曲げる(指も軽く曲げても可)。
肘を固定し、肩を内旋させる。
腕を横に上げ、肩甲骨を下げる。
頭を外側に傾ける。
この姿勢で、上腕三頭筋から前腕、場合によっては手や親指にかけて
軽い緊張感を感じるはずです。過度な緊張は避け、快適な範囲で行います。
「エクササイズ手順」
以下の動作を各5回、順番に繰り返します。
全体で約35回、45秒程度で完了します。
痛みや強い振動を感じた場合は即座に中止してください。
頭を天井に押し上げる(首の付け根から):5回
体を横に傾ける:5回
肩甲骨を下げる:5回
肩を内旋・外旋:5回
肘を曲げる・伸ばす:5回
手首を曲げる・伸ばす:5回
指・親指を曲げる・伸ばす:5回
「注意点」
動作はゆっくり、滑らかに行う。
強度を追求せず、ボリューム(反復数)を重視する。
違和感や痛みがある場合は、専門家に相談する。
このエクササイズは、橈骨神経の滑走性を高め、上腕三頭筋や前腕の筋肉との協調性を向上させます。定期的な実践により、痛みの軽減や運動パフォーマンスの向上が期待できます。
神経フロッシングの応用と可能性
神経フロッシングは、橈骨神経だけでなく、さまざまな神経に応用可能です。
これらのエクササイズは、以下のような効果が期待されます。
①慢性疼痛の軽減
坐骨神経痛や頸部神経痛の患者に対し、神経フロッシングは痛みの閾値を高め、
感覚過敏を軽減します(Coppieters et al., 2015)。
②運動パフォーマンスの向上
神経の滑走性が向上すると、筋肉の反応速度や協調性が改善し、
アスリートのパフォーマンス向上が期待できます(Redbull, 2023)。
③骨粗鬆症とフレイルの予防
骨粗鬆症患者では、サルコペニアやフレイルとの併存が一般的です。
神経フロッシングは、筋肉と神経の連携を強化し、
バランスや歩行能力を向上させることで、転倒リスクを軽減します(日経メディカル, 2022)。
④メンタルヘルスへの影響
迷走神経を対象としたフロッシングは、自律神経のバランスを整え、
ストレスや不安の軽減に役立つ可能性があります(Shacklock, 2021)。
⑤安全に始めるためのガイドライン
神経フロッシングは強力なツールですが、以下の点に注意してください。
専門家の指導:初めて行う場合は、理学療法士や神経力学の専門家の指導を受ける。
低強度から開始:感覚レベルで3/10を超えない範囲で始める。
異常を感じたら中断:痛み、しびれ、強い振動を感じた場合は即座に中止し、医療機関を受診する。
継続性:効果を実感するには、1日3~4セットを数週間継続する。
まとめ
神経フロッシングは、神経の滑走性と機能を高め、痛みの軽減、
運動パフォーマンスの向上、骨粗鬆症や骨折回復のサポートに役立つ強力なツールです。
医学研究により、神経の血流改善、免疫系の調整、骨-脳連関の強化といった
効果が裏付けられています。
特に、低強度で反復を行うアプローチは、日常的に取り入れやすく、
幅広い健康効果が期待できます。
安全かつ効果的に実践するためには、正確な知識と慎重なアプローチが不可欠です。
「神経フロッシング」のアプローチ、いかがだったでしょうか?
当院では、このような新しいアプローチ方法を実際に取り入れ、
専門的にご指導しておりますので、ご興味がある方はお問い合わせ頂ければと思います。
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)



