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コラム
社員は、残業命令を断ることができるのか?
2017年2月20日 公開 / 2020年11月27日更新
社員50人の工場の製造ライン部門で納期を急ぐ案件で
残業が続いているのですが、先日ある社員が
疲労がたまっているということで残業を断ってきました。
会社としては大変困っており、組織の輪を乱すことになるので
この社員にはなんとか残業を強制的にやらせたいという
相談について広い視野で考えてみたいと思います。
答えとしては、就業規則の規定、36協定が有効に成立して
労働基準監督署に届出されている場合、残業を命じることが
できますので、原則としては拒否することはできません。
さて、会社が法定労働時間を超えての残業の命令をして働いてもらうには
就業規則により残業を行わせる旨の定めが必要で、さらに時間外・休日労働
に関する労使協定(36協定)の締結および労働基準監督署への届出を
行っていないといけません。
そうしなければいくら残業代を払っていたとしても働かせること自体が
法律違反となってしまいます。36協定が正しく提出されているとすれば、
従業員は残業命令を拒否することは原則できないものと考えられていま
すが、必ずしも規定にあるからといって残業を強制的にさせることができる
かというと、過去の判決ではそれを否定するものもあります。
やむを得ない事由があれば残業を拒否することもできるということで
診断書などが出されていた場合などがこれに該当します。
人間らしさという点で心身ともに健全にまず働いてもらうことが大事ですし
やはり労働者の意思をできるだけ尊重し、また本人の事情や体調面
などには十分に配慮しなければなりません。今回のケースでは相当疲労がたまって
おり、もしかすると体調不良だったのかもしれないのでよく話し合い、会社の事情も
説明して、36協定の限度時間以内であれば協力してもらえるように話すのも
いいと思います。
また今まさに、「働き方改革」があちこちで叫ばれている中では
企業側にも私生活との調和を図ることも求められます。
最後に36協定の有効性についてポイントとなるところですので
少しだけふれておきます。
いいかげんに結んだ36協定はリスクが大きく、あとから36協定の
有効性を求めてトラブルになった際に、36協定自体が無効になり、
そもそも残業そのものを命じることはできなかったということもあり得ますので、
36協定の締結については、軽く考えないでいただきたいと思います。
社員代表の選出に不備があり、残業命令そのものが無効となった
ケースが過去にあります。残業命令を拒否して解雇された従業員が訴えて
解雇無効とされた有名な判決がありますが、そもそもの36協定が有効で
なかったということがポイントになっていましたので、また近いうちに
関連する判決についてもご紹介できればと思います。
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