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庄司英尚

現場を大事にする社会保険労務士

庄司英尚(しょうじひでたか) / 社会保険労務士

株式会社アイウェーブ(アイウェーブ社労士事務所 併設)

コラム

休職期間満了でも、特別な事情があれば休職期間を延長できる? 

2015年11月9日

テーマ:休職

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 退職 手続き

弊社では就業規則の休職期間の延長に関する定めがあるのですが
2日前にメンタル不調で休職期間満了で退職した従業員から

「就業規則には、特別な事情に該当する場合には
休職を延長する場合があると書いてあるが私はこの特別な事情に
該当するのではないか?」

といってきて、休職満了による退職の撤回と休職の延長について求めてきました。
今回のような場合、延長を認めないといけないのでしょうか?
そもそもこの特別な事情とはどういうことを想定しているのでしょうか?


休職については解決しにくいトラブルがたくさんあります。

なぜそれだけ難しいのかといえば、休職は法律上では何も
定められていないからです。独自の会社のルールで設けることに
なりますし、逆にそのほうが面倒なこともあります。

法律で義務となっていないので休職制度そのものを設けていない会社も
たくさんあります。

休職は、解雇を猶予するための特別な様子見の期間という位置付け
になっていますので、従業員にとってはとても助かる期間です。

メンタル不調で休職になる方もいますし、交通事故で勤務できなくなり
休職になる方もいます。また一方で、かなり重い病にかかり、復職がほぼ
不可能になる方もいます。

このように病気休職でもいろいろありますので
そのルールもある程度、状況を考えて規定するべきといえます。

さて、今回はメンタル不調という理由で休職期間満了で退職に
なった方が自分はどうして延長できないのかということで、質問
があったということです。

特別な事情に該当しないと説明するには、根拠が必要です。


「特別な事情(事由)がある場合、延長する場合がある・・・・」
というような規定はみかけますが、想定している状況は
なんとなく想像できます。

(会社の都合でどうにでも操作できることになってしまうので
なんともいえないのですが)

例えば、あと1ヶ月で復帰できることが医者から承認されていて
満了のタイミングでは復帰できないけど、そのあとわずかで復職が確実なので
それであれば、休職期間を延長しようということを会社側も判断して決める
ことになるかと思いますが、このような場合は特別な事情といえます。

あとはかなり優秀な社員で、遅くなっても復帰できるタイミングで
いいからとにかく働いてほしいくらいの大事な社員の場合、規則に規定も
あるし、延長ということがされるかもしれません。

ただし、メンタル不調に関連する病気だといくら優秀でも会社も期待しなく
なっていることもあるかもしれません。

あとは想定されるのは、会社に少し負い目というか弱みがある
かもしれない場合も該当します。労災ではないが、会社側に理由が
なにかあって、それがきっかけだといわれることがあってもおかしくない場合、
揉めることは避けたいので延長するからもう少しだけ様子をみていこうと
いう判断がされるかもしれません。

このように法律での定めがないということは、会社側に有利に運用できる
と思いがちですが、基準がわからない場合、過去の実績なども関係してきて
過去に休職満了で終了せず、ほとんどの人が期間延長しているようなことだと
この人だけ休職期間満了で終了する妥当性がないと判断されてもおかしく
ありません。

会社が柔軟に取り扱えるように規定をつくったのが裏目に出ることも
あります。規定を作成した方は今はいなくてその本当の意味合いも
わからないから、人事部の人でもその判断ができないということも
あるわけです。

とにかく事例として目安となるものを記載しておき、不平等な取扱いを
していると従業員側に思われることがないようにしておけば
トラブルはある程度避けることができ、今回のような本人からの
申し出はされないものと思います。

さて、今回の場合、普通にメンタル不調ということで期間内に
復職できなかったということのようです。メンタル不調になった原因は
わかりませんが、普通の状況なので特別な事情があったとはいえないような
気がします。

復帰可能ということも約束をされていることはないでしょうし、なかなか難しい
と思います。しかしながら、本人がいろいろ動いた場合、少しはリスクはあると
いうことは覚えておいてください。

会社の風土にもよりますし、過去のこの会社の対応にもよりますので
それは各社さまざまなので私の書いてることがすべて正しいとは
いえませんが、規則を作成した本意は誰もわからなくなるので
規則の見直しや、休職期間を延長をするかしないかを決める
委員会などをつくるのもいいかもしれません。

この記事を書いたプロ

庄司英尚

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