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コラム
厚生年金未加入リスク 損害賠償請求 判決 豊國工業事件
2014年12月30日
社会保険未加入問題がクローズアップされています。
先日、スタッフからもこの件について相談を受けたのですが
厚生年金に未加入の場合、従業員が不利益を被ることに
なります。
従業員の中には社会保険の基本的な知識がない人も
いますし、会社もきちんと法律どおりやっていないところも
あります。
従業員が厚生年金に加入手続きしてもらえないということで
年金事務所にその旨を相談に行くと当然未加入は
法律違反なので加入するように企業側に指導します。
法律では2年遡及となります。
年金事務所に指摘されても、未加入は合意の上で雇用関係を結んでいる
から、大丈夫とか、逆に入りたくないからということでこちらとしても
加入させようと思ったけど、年金手帳を出してこないから手続できなかった
などという言い訳をする人がいます。
当たり前ですが、そんなことが許されるはずありません。
仮に労使間で加入しないことにお互い同意して異議を
述べないと記載していても、会社側に法律で加入義務が
あるわけですから、ダメです。本人の意向や希望など
関係ないのです。
これは法律での決まりですので当然違反すれば
「6ヶ月以上の懲役、または、50万円以下の罰金」
となっていますが、最近はそれだけではすまないことになっていて
損害賠償されて会社側が敗訴して支払っているケースもあります。
数百万または数千万円の賠償請求されたらどうします?
会社つぶしますか?
気になる裁判例があります。
弊社スタッフもいろいろ調べてこちらの判決にたどり着いたようですが
結構有名なものですから、知っている関係者も多いようです。
実際に従業員で被害にあって、困った際に戦う際に根拠となる
下記の判決を調べている人もいるようで、会社側が
とんでもないリスクを負ってしまっていることもあるのです。
豊國工業事件 奈良地裁 平成18年9月5日
(実はこの会社のことは知っています、私は、〇〇〇〇だから。)
社員が入社したが、社会保険に加入させなかった
社員は国民年金、国民健康保険に加入しており、6年程度で退職
(退職直前に2年遡及して加入した)
その後、社会保険に加入していたら支給されていたはずの金額を
損害賠償として裁判所に訴えて請求した
そして、裁判所は加入義務があるのに加入させなかったことは違法
損害賠償請求を認めました。賠償額は387万円と結構高額です。
「労働契約上の債務不履行」にあたるということがポイントです。
こちらでは社員は退職後に裁判を起こし、損害賠償請求しており、
裁判ではその支払いを認めています。
ドラマ同様、後半の最後のところで何かが起きるわけです。
そして、ドラマは終わっても忘れたころに、未加入期間だった
社会保険の期間を遡って加入して期間をうめてくださいといわれる
こともあって、こういうケースは今後は増えるかもしれません。
社員が退職したとしても、未加入リスクはずっとついてまわる
わけですし、退職後にそんなことをいわれてもという理由は
通じません。
厚生年金に未加入の際には、いざというときに従業員が障害厚生年金を
もらえないということになり、これもまた従業員が会社を提訴する
こともあるわけです。
ある日、従業員が急に交通事故に遭って、障害になってしまうかも
しれないのですし、現に思っている以上に
多くの人が日本国内で障害厚生年金を
受給して、生活をしているわけですから・・・。
どんなに従業員と仲良かったとしても、いざというときは
会社を訴えることもあるわけです。お金はやはり大事です。
本来もらえるものがもらえないということは理不尽で
会社が最終的に責任をとらないといけないわけです。
安心して働くことができるよう、そして経営者がリスクに
おびえて不安な毎日の中、経営を続けていくのは
大変なので、社会保険未加入のところは
早めに新規適用手続をしたほうがいいです。
1箇月遅かったということであとで後悔しないよう
ちょっと意識してみてください。
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