労働条件の不利益変更を甘くみないこと

庄司英尚

庄司英尚

テーマ:雇用契約・労働契約

社会保険労務士という仕事をしている以上、労働トラブルに
遭遇することは仕方ないものであるが、大きなトラブルになる前に、
きちんと対処すればここまでひどくならなかったはずなのに、
どうして判断を誤ったのだろうと思うときがあります。

社長は、これまで会社を大きくするために必死でやってきて
営業も社員マネジメントも強気で行ってきて
これまでの成功体験に自信があるのか
思い通りにならないと腹がたつのか

ごくまれに
「従業員が訴えようとしているなら、こちらもとことんやってやる」
といって、子どもみたいにけんかをする気満々でいる
経営者がいます。気持ちはわからないわけではないのですが、
あまり得策ではないと説得するのですが、なかなか簡単ではありません。

自分の価値観や業界の慣習ではそれが当たり前で
これまでは正しくても、法律に照らしたり裁判になったらどうみても
社労士の私が見て不利と思うようなことはできれば、そこまで
争わないほうが賢いと思うわけです。

戦うことに意味がないとまではいいませんが、お互いに
ぶつかりあっても誰も幸せにはなりません。

特に労働条件の不利益変更などを甘く見ていると
痛い目にあいます。

例えば来月から賃金を一律で全員
40%減額するなどという一方的な発表をしても、
トラブルになればよほどの合理的な理由が
なければまず無効になってしまうわけです。

それでは、最後に労働条件の不利益変更に関
する法律条文を確認しておきます。

労働契約法9条では、
「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変
更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容で
ある労働条件を変更することはできない」と規定しています。

したがって合意があれば、変更も可能ということになりますが

第10条では、
使用者が、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、
次のことが必要です

① その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
② 労働者に変更後の就業規則を周知させること。

細かいところは別としてもこのような労働契約法の
基本を知らないで俺様の会社のルールは俺が決める
などと偉そうに語り、圧力をかけて嫌なら辞めていけと
いうのはちょっと強引すぎますし、トラブルになりやすい
性格というか因子をもっているので、周りの信頼できる
ブレーンが客観的に意見できる環境がないといけない
と思う次第です。

その際に社会保険労務士を頼る場合もあれば
その他弁護士や、社内の右腕となる経営幹部だったりする人に
相談ができるかということは大事です。

長くなりましたが、労働条件の不利益変更については
判例をみるのが一番なので、今後もご紹介したいと思います。


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庄司英尚
専門家

庄司英尚(社会保険労務士)

株式会社アイウェーブ(アイウェーブ社労士事務所 併設)

プロフェッショナル集団として学び続け、サービス業であるということを忘れず、何事にも全力で取り組みお客様の悩みを解決し、最終的には業績アップに貢献できるよう日々努力します。

庄司英尚プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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