心の疾患「会社に配慮義務」 最高裁「社員の申告なくとも」

庄司英尚

庄司英尚

テーマ:メンタルヘルス・うつ病対策

少し前になりますが、大変気になっていた
最高裁の決定が出ていますので記録として
残しておきたいと思います。

この事件については、有名すぎるのでいろいろ
下記を参考にしてもらえるといいのですが、
争点がいろいろありました。

東芝訴訟:「激務でうつ病」認め解雇無効 東京地裁判決
http://iwave.blog73.fc2.com/blog-entry-227.html

長時間の勤務でうつ病発症 東京地裁、東芝元社員の労災認定
http://iwave.blog73.fc2.com/blog-entry-448.html

その中の1つに今回の争いもありました。

過重労働で鬱病になった場合、過去の精神科
通院歴などを会社側に申告していなかったことが
社員側の過失に当たるかが争われたもの。

今回、会社側に申告されていなくても安全配慮義務は
あるということが結論として出たのでそれはそれで
受け止めなければなりません。

基本的な考え方として理解することが
大切であり、個別のケースでいろいろ内容は変わってくる
ということで、1つの事件として勉強材料にしておきたい
と思っています。

日経新聞より

心の疾患「会社に配慮義務」 最高裁「社員の申告なくとも」

会社員が過重労働で鬱病になった場合、過去の精神科通院歴などを会社側に申告していなかったことが社員側の過失に当たるかが争われた訴訟の上告審判決が24日、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)であった。同小法廷は「メンタルヘルスは申告がなくても(会社側に)安全配慮義務がある」と判断し、過失相殺などを理由に損害額の2割を減額した二審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。

 訴えていたのは東芝の元社員で埼玉県深谷市の重光由美さん(47)。解雇無効と損害賠償を求めて提訴し、解雇無効は二審で確定している。

 東芝側は(1)精神科への通院歴などを申告しなかったため、会社側が鬱病の発症回避などの対応を取れなかった(2)業務を離れても鬱病が完治せず、もともと重光さん固有の問題があった――などと主張。重光さん側の過失を理由に損害額を減額できるかが争点だった。

 同小法廷は、重光さんの当時の業務について「負担は相当過重だった」とした上で、通院歴や病名について「プライバシーに関わり人事考課にも影響しうる情報で、通常は知られずに働き続けようとする」と指摘した。

 会社側について「労働者からの申告がなくても、労働環境などに十分な注意を払うべき安全配慮義務を負う」と判断。重光さんが体調不良を上司に伝え、1週間以上の欠勤を繰り返していたことから「(会社側は)過重な業務と認識しうる状況だった」とした。

 鬱病が完治しない状況についても「通常想定される以上の脆弱性があったとは言えない」と認定。賠償額を約690万円と算定した二審判決を破棄し、計算し直すため高裁に差し戻した。

 判決によると、重光さんは大学卒業後に東芝に入社し、工場で液晶生産ラインの開発などを担当。プロジェクトリーダーを務めていたが、2001年4月に鬱病と診断され休職。前年に神経症との診断を受けたが、会社には伝えていなかった。会社は04年9月、休職後に職場復帰しなかったとして重光さんを解雇した。

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庄司英尚(社会保険労務士)

株式会社アイウェーブ(アイウェーブ社労士事務所 併設)

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