厚生年金 70歳になったときの手続き 「厚生年金保険70歳以上被用者該当・不該当届」を提出
つい先日同日得喪の仕事をしました。同日得喪失って何のこと? という方も多いと思います。
そんな私も実務経験10年以上ですが、意外とそういうケースは私のお客様では少なかった気がします。定年退職しても賃金は下がらずに再雇用というのが結構多いですね。
10年やっても経験しないことや知らないことはたくさんありますし、私以外の他の人でも仮に事業会社1社での人事労務の実務経験が2年くらいなどというのはまだまだ大先輩から見ればひよっこなのかもしれません。毎日が学びの連続ということを強く実感しています。とにかく奥が深いもので、新たな発見を楽しんでおります。
今回は、同日得喪とは? そしてその同日得喪実務の奥深さについてお届けしたいと思います。
同日得喪とは?
特別支給の老齢厚生年金の受給権者が定年を迎えて、一旦退職し、1日も空けることなく引き続き同じ事業所で再雇用された場合は、賃金は下がっていても実際的には使用関係は中断していないので、被保険者の資格も継続するのが普通ですが、これを特例で被保険者に有利になるように喪失と同時に取得の手続をすることができる制度のことをまとめて同日得喪といいます。
この方法を使うと、通常であれば社会保険料の変更のタイミングは、原則として給料や給料の体系が変わってから4ヶ月目でなければ、変更になりませんが、すぐに保険料を下げることができます。
通常は、固定的賃金が下がった場合には、月額変更届で対応するわけですが、そうすると4ヶ月たたないと等級は変更になりません。
定年時の再雇用は特別に被保険者に不利益にならないようにし、保険料の負担の軽減をしているのと同時に、年金の受給についても支給の調整に有利なるように国も配慮してくれているわけです。
少しだけでも在職老齢年金がもらえるほうが全額停止になるよりはましということもありますのでこのあたりはよく仕組みを理解しておきたいところです。
またこの取り扱いは、従来は定年時ということが原則でしたが22年9月より改正により範囲が適用拡大されています。
改正内容
特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者が、
①定年制の定めのある事業所において定年退職以外の理由で退職後継続再雇用された場合
②定年制の定めのない事業所おいて退職後継続再雇用された場合
も対象となりました。とても嬉しい改正です。
しかしながら定年の場合と同様に空白が1日も空くことなく同じ会社に再雇用されることが要件なのは変わりません。
添付書類ですが、保険者に確認するのが一番ですが、協会けんぽ(全国健康保険協会東京支部)の場合だと、再雇用契約書の写しと就業規則の該当部分の写しが必要です。もちろん喪失手続なので保険証は忘れずに添付してください。
いずれにしても高齢者の賃金設計は、奥が深く、今回の手続きも単なる取得と喪失の手続の延長と考えずに、高年齢雇用継続給付をはじめとして 在職老齢年金の設計、勤務時間や日数などの調整による賃金制度も見直しなど、とても奥が深いものです。
実際には58歳くらいからきちんと緻密な賃金設計をして、会社にとっても従業員にとってもいい選択ができれば、最高です。
このあたりのことを深く考えてご提案できることも弊社の強みであり、差別化できるので私たちを必要としてもらえるのだと思います。
結果として同日得喪の手続きを忘れずに行ったという結果だけではなく、戦略上再雇用者のモチベーション面や人事制度などを含めたアドバイスは、大きな差別化できるポイントであり、プロとして選ばれるためにはこのような努力を当たり前のように続けていかないと生き残れないのではないかと強く思った次第です。
本日もコラムを読んでいただきありがとうございました。
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株式会社アイウェーブ
庄司社会保険労務士事務所
代表取締役/所長
庄 司 英 尚(社会保険労務士)
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