勤怠不良の従業員の扱いはどうする?
会社更生手続き中の日本航空が実施しているパイロットと客室乗務員を対象にした希望退職の最終募集で、期限の9日までに目標としていた計270人に百数十人足りなかったとのことで、雇用契約を一方的に解除する「整理解雇」に踏み切るという発表がありました。
年収の高い人に辞めてもらえるように希望退職者を募集するわけですが、会社の希望に反して若い人(年収が安い人)のほうがあっさりやめてしまい会社の思惑通りには、すすんでいないことが多いのは、今回に限らずどの会社も過去に経験しているところです。
さて、よく聞くこの「整理解雇」という言葉、ご存知ですか? 簡単にいうと経営のやむを得ない事情により労働者を解雇することをいいます。
普通の解雇同様に、整理解雇についても解雇権濫用の法理が適用され、解雇権の濫用になるときは、その整理解雇は無効になります。
整理解雇の場合、解雇権濫用になるか否かの基準として、以下の4要件が判例上確立されています。
(1)人員整理による解雇の必要性があること
(2)従業員の解雇を回避する努力をしたこと
(3)被解雇者の選定が合理的であること
(4)解雇手続が適法であること
以上、4つの要件が必要であり、これらの要件の1つでも欠けるときは、解雇権の濫用として、当該整理解雇が無効とされることになります。
リーマンショック以降、この四要件の適用が以前に比べてゆるくなっている傾向があると感じます。時代の移り変わりと共に考え方も変化していると考えるのが妥当なのかもしれませんし、裁判官も手続面や被解雇者の選定が合理的かどうかなどについては重視する傾向が強くなっているという専門家の声も聞いております。
一方で11月4日には機長や副操縦士ら87人が、白紙の乗務スケジュールを渡されて退職を強要されたとして、日航にこうした行為をやめるよう求める仮処分を東京地裁に申し立てるなど、強制的な退職に強く反発しており、今後、対立はもっと激しくなることが予測できます。
いずれにしてもこの整理解雇を強行するということになると、4要件的にみると今回の場合は被解雇者の選定が合理的であるかどうかというのが、どう判断されるかがポイントになると思います。