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膝の痛み解決!「伏在神経」のストレッチ&マッサージ

安部元隆

安部元隆

テーマ:膝痛



こんにちは、GENRYUです(^^)
前回のブログでは、動き出すときの「膝の内側の痛み」について
その原因を深堀りするブログを書きました。
膝の内側の痛みは、半月板損傷や変形性膝関節症だけでなく、
伏在神経の障害が原因である場合があります。
前回のブログでは、伏在神経に問題が生じると膝の内側の痛みが
発生するメカニズム(神経の絞扼、感覚入力の異常、脳の脅威認識、バイオメカニクス的要因)を
解説しました。
今回は、伏在神経由来の膝の内側の痛みに対する具体的な解決策として、
ストレッチを中心としたアプローチを、医学的根拠に基づいて詳しく紹介していこうと思います!
膝の痛みに悩む方々がこの知識を活用し、痛みの根本的な改善を目指せるよう、
わかりやすく解説しますね。


1. 伏在神経由来の膝の内側の痛みの特徴
伏在神経は、大腿神経から分岐する感覚神経で、膝内側から下腿内側、
足関節内側付近の皮膚感覚を支配します。


ハンター管(内転筋管)や縫工筋付近での圧迫が、以下のような症状を引き起こします。
①痛みの性質
ピリピリ、チクチクとした神経性の痛み、触れるだけで痛む感覚過敏(アロディニア)。
②痛みの範囲
膝内側から下腿内側、場合によっては足関節内側まで。
③知覚異常
感覚鈍麻、感覚過敏、Tinel徴候(神経を叩くと放散痛)。
④誘発要因
膝の屈伸、圧迫、歩行時や安静時。
これらの症状は、半月板損傷や鵞足炎と誤診されやすいため、正確な触診が重要です。
松永ら(1997)の研究では、伏在神経の膝蓋下枝が縫工筋を貫通するケース(52.8%)や
後縁を回るケース(41.7%)があり、縫工筋の緊張が圧迫リスクを高めると報告されています。


2. 治療の基本原則
伏在神経由来の痛みを治療するには、以下の原則に基づくアプローチが効果的です
①神経の減圧
縫工筋、内側広筋、ハンター管周囲の筋肉や筋膜の緊張を緩和し、伏在神経の滑走性を改善。
②感覚再教育
感覚入力の異常を正常化し、脳の脅威認識を軽減。
③バイオメカニクス的調整
膝の外反や下腿の外旋を矯正し、神経への力学的ストレスを軽減。
④心理的介入
痛みの再概念化や恐怖軽減で中枢感作を抑制。
今回のブログでは、特に1と2(神経の減圧と感覚再教育)に焦点を当て、
ストレッチとマッサージの手法を紹介します。


3. 医学的根拠に基づくストレッチとマッサージの効果
ストレッチは、伏在神経の圧迫を軽減し、滑走性を改善する有効な手段です。
以下に、関連する医学的根拠を紹介します:
①JSTAGE(2023)
TKA後の伏在神経膝蓋下枝障害に対し、徒手療法による筋膜リリースが
疼痛と知覚異常を軽減。縫工筋と内側広筋の筋間でのマッサージが有効。
②Kosekiら(2020)
エコーガイド下ハイドロリリースがハンター管での伏在神経圧迫を軽減し、
痛みと感覚異常を改善。
③Woolf(2011
軽い触覚や振動による感覚再教育が、中枢感作を抑制し、感覚入力の正常化を促進。
④Shacklock(2005)
神経モビライゼーションによるストレッチが、神経の滑走性を改善し、絞扼性神経障害の症状を軽減。


4. 伏在神経由来の痛みに対するストレッチの具体的手法
ストレッチは、伏在神経を圧迫する筋肉(縫工筋、内側広筋、内転筋群)の緊張を緩和します。
以下に、効果的な手法を紹介します。
安全のため、痛みを誘発しない範囲で実施し、専門家の指導を推奨します。

①縫工筋のストレッチ

「目的」
縫工筋の緊張を緩和し、伏在神経の膝蓋下枝への圧迫を軽減。
「方法」
1.足を90度に曲げて床に座ります。左腕で上半身を支えます。
2.右足を腕で支えて後ろに引いて、膝を床につけます。
3.かかとを後ろに引いて上げます。手を使ってかかとを持ち上げると、
  太ももの前側が心地よく伸びるのを感じるはずです。
4.1日2~3回、左右各3セット。

「注意点」
痛みが出る場合は角度を調整。Magee(2014)に基づき、縫工筋の後縁を意識。
「効果」
縫工筋の短縮による神経圧迫を軽減。

②内側広筋のストレッチ

「目的」
内側広筋の緊張を緩和し、伏在神経の滑走性を改善。
「方法」
1. 立位で、ストレッチする側の足を後ろに引いて膝を曲げる。
2. 手で足首を持ち、かかとをお尻に近づける。
3. 骨盤を前傾させ、内側広筋にストレッチ感を感じる位置で20~30秒保持。
4. 1日2~3回、左右各3セット。

「注意点」
膝痛がある場合は屈曲角度を減らす。
「効果」
内側広筋の過緊張を軽減し、膝蓋下枝のストレスを低減。

③内転筋群のストレッチ

「目的」
ハンター管周囲の内転筋群の緊張を緩和。
「方法」
1. 座位で、両足の裏を合わせて股関節を開く(バタフライストレッチ)。
2. 膝を床に近づけ、内転筋にストレッチ感を感じる位置で20~30秒保持。
3. 1日2~3回、3セット。

「注意点」
股関節に無理な力をかけない。
「効果」
内転筋管の圧迫を軽減。

④神経モビライゼーション
「目的」
伏在神経の滑走性を直接改善。

「方法」
1. 仰向けで、膝を軽く曲げる(約30度)。
2. 足首を背屈(上向きに反らせる)し、股関節を軽く外転(外側に開く)。
3. 膝をゆっくり伸ばし、神経に軽い張りを感じる位置で5秒保持、5回繰り返す。
4. 1日2回、左右各5セット。
「注意点」
痛みやしびれが増す場合は中止。Shacklock(2005)に基づく。
「効果」
神経の滑走性を高め、感覚異常を軽減。

⑤感覚再教育マッサージ
「目的」
感覚鈍麻や過敏を改善し、脳への感覚入力を正常化。
「方法」
1. 膝内側から下腿(スネの骨)内側を、羽や柔らかい布で軽くブラッシング(1~2分)。
2. 軽い振動(マッサージガンまたは指先)で感覚を刺激(1分)。
3. 1日2~3回、感覚が正常化するまで。
「注意点」
感覚過敏がある場合は刺激を最小限に。
「効果」
Woolf(2011)に基づき、脳の感覚野の再編成を促進。

⑥セルフ皮膚リリース
「目的」
神経周囲の癒着を軽減。
「方法」
1. 圧痛点(縫工筋と内側広筋の筋間)に温湿布を5分当て、血流を促進。
2. 指先で皮膚を軽く持ち上げ、筋膜を浮かせるようにマッサージ(1~2分)。
3. 1日1~2回。
「注意点」
専門家のハイドロリリースが理想。Kosekiら(2020)に基づく。
「効果」
癒着を軽減し、滑走性を改善。


まとめ
伏在神経由来の膝の内側の痛みは、縫工筋や内側広筋、
ハンター管周囲の圧迫による神経の絞扼が原因です。
ストレッチ(縫工筋、内側広筋、内転筋群、神経モビライゼーション)と
マッサージ(感覚再教育、セルフハイドロリリース)は、科学的根拠に基づく
有効なアプローチです。
ぜひ、今回ご紹介した方法を実践して頂き、
膝の痛みの改善にお役立ち頂けばと思います(๑•̀ㅂ•́)و✧
当院では、これらの手法を活用した治療を提供しています。
興味のある方は、Instagramやメールでお問い合わせください。
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

**参考文献**
- Brinjikji, W., et al. (2015). *American Journal of Neuroradiology*.
- 松永ら(1997)。伏在神経の解剖学的走行に関する研究。
- JSTAGE (2023). 人工膝関節置換術後の伏在神経膝蓋下枝障害。
- Woolf, C. J. (2011). *Pain*.
- Koseki, T., et al. (2020). *Journal of Pain Research*.
- Shacklock, M. (2005). *Clinical Neurodynamics*.
- Magee, D. J. (2014). *Orthopedic Physical Assessment*.
- Butler, D. S., & Moseley, G. L. (2003). *Explain Pain*.

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安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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