肩を動かすと腕の前面に痛みが出る時の対処法。
こんにちは、GENRYUです(^^)
夜、眠ろうとしたときに肩が疼いて眠れない...
「肩の夜間痛」は、日常生活に影を落とす厄介な症状です。
日中は気にならないのに、なぜか夜になると痛みが強まる。
この不思議な現象の裏には、体の仕組みや病態が隠れています。
このブログでは、肩の夜間痛を引き起こす4つの主要原因
・腱板損傷
・凍結肩
・肩峰下滑液包炎
・巻き肩による神経圧迫
こちらに焦点を当て、それぞれの痛みが生じるメカニズムを医学的根拠に基づいて
徹底解説します。肩の構造や夜間特有の条件がどのように関与するのか、
科学的な視点から深堀りしていこうと思います。
肩の夜間痛とは?夜に痛みが強まる3つの共通メカニズム
肩の夜間痛は、睡眠中に肩が疼いたり、ズキズキしたりする状態を指します。
特に夜に悪化する理由は、体の生理的変化と姿勢にあります。
以下に、すべての原因に共通する3つのメカニズムを詳しく説明します。
1.血流低下と痛み物質の蓄積
睡眠中は筋肉の活動が低下し、肩周辺の血流が通常の20-30%減少します
(Physiological Reviews, 2001)。
この血流低下により、炎症や組織ダメージで生じる痛み物質、
具体的には乳酸、ブラジキニン、プロスタグランジンE2が
十分に洗い流されず、局所に蓄積してしまいます。
これが痛覚神経(C線維やAδ線維)を化学的に刺激し、持続的な疼きを引き起こします。
実験では、血流減少が痛み感受性を2倍に高めると報告されています(Pain, 2010)。
2.寝姿勢による機械的圧迫
横に寝て肩を下にすると、肩甲上腕関節の内部圧が通常の2倍以上に上昇します。
(Journal of Biomechanics, 2009)。
この圧迫は、損傷した組織や炎症部位を直接刺激し、機械的疼痛を誘発してしまいます。
肩の構造上、上腕骨頭が肩峰に近づくことで、狭窄したスペースがさらにストレスを受けます。
3.神経感作(中枢感作)の増幅
慢性的な痛みが続くと、脊髄後角でシナプスが強化され、脳が痛みを過剰に感じる「中枢感作」が
進行します(Neuroscience, 2012)。
夜間は外部刺激(音や動き)が減り、この過敏性が前景に出るため、
疼きが強調されます。
研究では、慢性疼痛患者の夜間痛が神経系の感作と強く関連するとされています。
これらの共通メカニズムが、夜間痛の土台となります。
では、具体的な原因ごとに、どのように痛みが生じるのかを見ていきましょう。
夜間時痛を引き起こす具体的な原因
1. 腱板損傷:傷ついた腱が夜に疼きを誘発するメカニズム
「メカニズムの詳細」
腱板(Rotator Cuff)は、肩甲骨と上腕骨をつなぐ4つの筋肉
(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱の複合体で、肩の安定性と動きを支えます。
腱板損傷では、以下のように夜間痛が発生させます。
①組織ダメージと炎症
過使用や加齢で腱に微小断裂が生じると、炎症反応が起動します。
サイトカイン(IL-6、TNF-α)やプロスタグランジンE2が放出され、
腱周囲の痛覚神経を刺激します。
腱の変性が進行すると、コラーゲン線維が乱れ、炎症が慢性化してしまいます。
②夜間の機械的圧迫
側臥位で患側を下にすると、上腕骨頭が肩峰に押し付けられ、
損傷した腱が圧迫されます(肩峰下インピンジメント)。
この圧迫は、腱の血流をさらに制限し、虚血性疼痛を誘発してしまいます。
肩峰下スペースの狭窄が、痛みの強度を増やします。
③血流低下の影響
睡眠中の血流減少で、炎症物質が除去されず蓄積してしまいます。
化学的刺激が神経終末に持続的に作用し、ズキズキした疼きに変わります。
「医学的根拠」
Journal of Bone and Joint Surgery American (2004):
腱板断裂患者408例を調査し、68%が夜間痛を報告。
MRIで腱の部分断裂や完全断裂が確認され、夜間痛は機械的圧迫と血流低下の相乗効果と結論。
Journal of Orthopaedic Science (2014):
夜間痛患者の血中CRP(炎症マーカー)が有意に高く、炎症の関与が裏付け。
American Journal of Sports Medicine (2009):
腱板損傷の実験モデルで、圧迫が炎症性サイトカインの産生を2倍に増やすと報告。
「特徴的なポイント」
腱板損傷の夜間痛は、肩の外側に集中し、特に横に寝ると悪化します。
50代以上で発症しやすく、腕を上げたときの鋭い痛みと連動します。
2. 凍結肩:関節包の硬化と炎症が夜に疼きを引き起こす
「メカニズムの詳細」
凍結肩(肩関節周囲炎)は、肩甲上腕関節の関節包
(肩甲骨の関節窩と上腕骨頭を包む線維性構造)が炎症を起こし、硬くなる状態です。
夜間痛のメカニズムは下記の通りです。
①関節包の炎症
初期に滑膜が腫脹し、炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α)が分泌。
これが関節包内の痛覚受容器を刺激し、疼きが発生。
通常1-2mmの関節包が5-10mmに肥厚し(Arthroscopy, 2007)、血管が圧迫される。
②血流低下と化学的刺激
夜間は副交感神経が優位で血流が低下。サイトカインや代謝産物が滞留し、
化学的疼痛が増幅。
実験では、血流減少が炎症性疼痛を2倍に高めるとされています(Pain, 2010)。
③機械的ストレス
硬化した関節包は弾力性を失い、睡眠中の微小な動き(肩のわずかな回転)で内部圧が急上昇。
この圧力が神経終末に伝わり、機械的疼痛を誘発。
④中枢感作の進行
慢性的な炎症が脊髄でシナプスを強化し、脳が痛みを過剰に感じる。
夜間の安静でこの過敏性が強調され、疼きが持続。
「医学的根拠」
Journal of Shoulder and Elbow Surgery (2011):
凍結肩患者の関節包生検で、マクロファージと線維芽細胞の増殖を確認。
夜間痛は炎症と血流低下の結果と報告。
Arthroscopy (2007):
関節鏡検査で関節包の線維化と血管新生が観察され、夜間痛との強い相関が証明。
Annals of the Rheumatic Diseases (2008):
凍結肩の夜間痛が中枢感作と関連し、痛覚閾値が低下することが実験で確認。
「特徴的なポイント」
凍結肩の夜間痛は、肩全体が固まった感覚を伴い、どの寝姿勢でも疼きます。
40-60歳に多く、安静時でも痛みが続くのが特徴です。
3. 肩峰下滑液包炎:腫れた滑液包が夜に疼きを増す
「メカニズムの詳細」
肩峰下滑液包は、上腕骨と肩峰の間に位置するクッションで、摩擦を軽減します。
炎症が起こると、夜間痛が顕著になります。
そのプロセスは以下の通りです。
①炎症の発生
過使用や腱板損傷で滑液包が腫脹し、内部圧が上昇。
滑膜内の自由神経終末が刺激され、炎症性メディエーター
(プロスタグランジン、ヒスタミン)が分泌。
②夜間の圧迫
側臥位で肩を下にすると、腫れた滑液包が肩峰に押し潰される。
内部圧の上昇が機械的疼痛を引き起こし、炎症がさらに増悪。
③血流低下の影響
睡眠中の血流減少で、炎症物質が除去されず蓄積。
化学的刺激が神経に持続的に作用し、疼きが強まる。
「医学的根拠」
American Journal of Sports Medicine (2006):
超音波で滑液包の腫脹が確認され、夜間痛は圧迫と炎症の複合効果と結論。
患者の70%が夜間痛を報告。
Journal of Orthopaedic Research (2013):
滑液包炎患者の夜間痛が血流低下と関連し、炎症マーカーが高いことが証明。
Journal of Shoulder and Elbow Surgery (2010):
滑液包液の分析で、炎症性サイトカイン(IL-6など)が検出され、圧迫で痛みが増悪。
「特徴的なポイント」
肩峰下滑液包炎の夜間痛は、肩の外側に集中し、腕を上げると痛みが連動。
腱板損傷と併発しやすく、夜に疼きが強まります。
4. 巻き肩による神経圧迫:姿勢が神経を刺激するメカニズム
「メカニズムの詳細」
巻き肩(前肩)は、肩甲骨が前傾・外旋し、姿勢が崩れた状態。
この姿勢が神経を圧迫し、夜間痛を引き起こします。
①神経の圧迫
腋窩神経(C5-6由来、三角筋を支配)が肩峰下で締め付けられる。
筋皮神経(腕神経叢由来)も胸郭出口で軽度圧迫される場合あり。
肩甲骨の異常位置が神経の通り道を狭窄。
②夜間の虚血
睡眠中の不自然な姿勢(肩が浮く、腕が下がる)で神経が持続的に圧迫され、
軸索内血流が阻害。虚血状態で神経が過敏になり、疼きや放散痛が発生。
③筋緊張の助長
僧帽筋や菱形筋が緊張し、神経圧迫を増強。
筋からの二次的な炎症反応が加わり、痛みが慢性化。
「医学的根拠」
Clinical Orthopaedics and Related Research (2015):
姿勢不良が腋窩神経の軽度絞扼を引き起こし、夜間痛と関連する症例が報告。
Journal of Electromyography and Kinesiology (2018):
巻き肩患者の肩甲骨位置異常が神経ストレスを増やすことがEMGで確認。
Physical Therapy (2016): 神経伝導検査で腋窩神経の遅延が観察され、
姿勢が夜間痛の要因と結論。
「特徴的なポイント」
巻き肩の夜間痛は、肩から腕に放散し、猫背やデスクワークで悪化。
不良姿勢が背景にある場合に顕著です。
夜間痛のメカニズムを支える肩の構造と生理学
①肩甲上腕関節の役割
肩の夜間痛は、主に肩甲上腕関節(glenohumeral joint)で発生します。
この関節は、肩甲骨の関節窩と上腕骨頭が接する球関節で、関節包に包まれています。
腱板や滑液包が安定性を支え、広い可動域を実現しますが、構造的な脆弱性が痛みの原因に。
②夜間特有の生理学的変化
・血流動態
睡眠中の血流低下は、肩の微小循環を制限し、炎症部位の修復を遅らせる。
・神経系の反応
夜間の副交感神経優位が、痛覚神経の閾値を下げ、疼きを感じやすくする。
・筋活動の低下: 筋ポンプ作用が減少し、代謝産物の除去が滞る。
まとめ
肩の夜間痛は複雑なメカニズムで生じてきます。
腱板損傷、凍結肩、肩峰下滑液包炎、巻き肩による神経圧迫が主な原因になります。
それぞれで炎症、機械的圧迫、血流低下が絡み合い、夜に疼きが強まります。
まとめると、
①腱板損傷: 傷ついた腱が圧迫と炎症で疼く。
②凍結肩: 硬い関節包が血流低下と神経感作で疼く。
③滑液包炎: 腫れた滑液包が圧迫と化学刺激で疼く。
④巻き肩: 神経圧迫と虚血が疼きを誘う。
これが夜間痛が生じてしまう複雑なメカニズムになります。
症状が続いている場合は問題を放置せず、整形外科で精査してくださいね。
次回のブログでは、これらの原因に応じた対処法を詳しくお伝えしていきますので、
楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅁ•́๑)✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)