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安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

「背中に手が届かないのはなぜ?結帯動作が制限される5つの医学的理由と改善エクササイズ」

安部元隆

安部元隆

テーマ:肩痛



こんにちは、GENRYUです(^^)
「背中を掻けない…」「服を着るのがキツい」「ブラジャーの留め具が外せない」
こんな経験、ありませんか?その違和感、肩からのSOSかもしれません。
これ、実は結帯動作という肩の動きが制限されているサインなんです。
今回は、医学研究に基づく5つの原因を解剖し、自宅でできる
改善エクササイズを深堀りしてお届けしますね!


結帯動作って何?肩と肩甲骨のチームワーク
結帯動作とは、腕を背中に回して手を組む動き。
肩甲上腕関節(GH)の内旋(腕を内側にひねる)、伸展(腕を後ろに引く)、
そして肩甲胸郭関節(ST)の前傾や下方回旋が連動します。
研究でも、この動きが日常生活の自立度を測るバロメーターとされています
(Namdari et al., 2012, Journal of Shoulder and Elbow Surgery)。
では、5つの原因と改善法を見ていきましょう!


1. 肩の裏がガチガチ!「関節包の後方タイトネス」
何が起こってるの?
肩の裏側にある関節包が硬くなると、内旋や伸展がブロックされます。
まるで「固まったゴム」のように肩を引っ張り、背中に手が届かなくなります。
特に「凍結肩(五十肩)」でよく見られるトラブルです。
医学的根拠
Neviaser & Neviaser (1987, Clinical Orthopaedics and Related Research):
後方関節包の線維性肥厚が結帯動作を制限。
Hsu et al. (2000, Journal of Orthopaedic Surgery): 癒着が背部到達を止める。
McClure et al. (2012, Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy):
伸張で内旋可動域12°改善。
Laudner et al. (2014, Journal of Athletic Training): 肩甲骨固定が効果を強化。
村木孝行 et al. (2010, Congress of the Japanese Physical Therapy Association):
持続的伸張が柔軟性を向上。
改善エクササイズ:クロスボディストレッチ+肩甲骨固定
目的: 後方関節包の硬さをほぐし、内旋と伸展をスムーズに。
手順:
①準備: 立って背筋を軽く伸ばし、肩をリラックス。椅子に座ってもOK。
②腕を横に: 制限のある腕を体の前で水平に伸ばす(肩の高さ、90°屈曲)。手のひらは下に。
③反対の手で引く: 反対の手で肘をつかみ、胸の方にゆっくり引き寄せる。腕はまっすぐのまま。
④肩甲骨を固定: 肩甲骨を背中側に寄せる(胸を張るイメージ)。肩が上がらないよう注意。
⑤伸ばす: 肩の裏側(後方関節包)に伸びを感じる位置で止める。30秒キープ、ゆっくり呼吸。
⑥戻す: 元の位置に戻し、肩を軽く回してリラックス。3セット、1日2回(朝晩)。
イメージ: 「腕を引っ張って肩の裏をじわっと伸ばす」感じ。肩甲骨の固定で効果がアップ。
ポイント
痛みが出ない範囲で、軽い伸びを。毎日続けて2週間で変化を実感。
肩が上がると効果が減るので、肩甲骨を意識してください。
あるあるポイント
「肩が詰まる感じがする…」なら、後方関節包が怪しいです。


2. 肩の前で衝突事故!「烏口下インピンジメント」
何が起こってるの?
肩の後ろが硬い(PST)と、上腕骨頭が前にズレ、小結節が烏口突起に衝突。
これが烏口下インピンジメントで、特に腕を体に寄せると動きが止まります。
医学的根拠
Burkhart et al. (2003, Arthroscopy): PSTが内旋可動域を20°~30°減らす。
Diercks & van der Hoeven (2008, Journal of Shoulder and Elbow Surgery):
結帯動作に制限と痛み。
Tyler et al. (2010, Journal of Shoulder and Elbow Surgery): PST伸張が衝突を軽減。
Reinold et al. (2009, Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy): 骨頭位置の調整に有効。
Manske et al. (2013, International Journal of Sports Physical Therapy):
30秒以上のストレッチで症状改善。
改善エクササイズ:スリーパーストレッチ(改良版)
目的: PSTを緩め、烏口下の衝突を解消し、内旋を改善。
手順:
①準備: 制限のある側を下にして横に寝る。枕で頭を支え、背筋を軽く伸ばす。
②肩を90°に: 制限のある腕の肩を90°屈曲(肘が床と垂直)。肘も90°に曲げる。
③前腕を下げる: 反対の手で前腕を軽くつかみ、床に向かってゆっくり押し下げる。
 肩の裏に伸びを感じる。
④肩を固定: 肩が前に動かないよう、体を軽く後ろに倒して固定。肩甲骨は自然に。
⑤キープ: 伸びを感じる位置で30秒キープ、深呼吸を続ける。痛みが出ない範囲で。
⑥戻す: ゆっくり腕を元の位置に戻し、肩を軽く回す。3セット、1日2回(朝晩)。
イメージ: 「肩の裏をじんわり伸ばして、衝突をほぐす」感じ。肩の位置をキープが大事。
ポイント
軽い伸びで十分、痛みが出たら少し戻して。毎日続けて2週間で違いを実感。
肩が前に出ると効果が減るので、注意してくださいね。
あるあるポイント
「背中に手を回すと肩の前が痛い!」なら、衝突が原因かも。



3. 肩甲骨がサボり中?「肩甲骨の運動異常」
何が起こってるの?
肩甲骨が動かないと、肩関節をサポートできず、背中に手が届かない。
結帯動作では肩甲骨が前傾や下方回旋で調整しますが、サボると肩が孤立します。
医学的根拠
Ludewig & Reynolds (2009, Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy):
肩甲骨の運動異常が制限を。
Kibler (1998, Journal of Shoulder and Elbow Surgery): 猫背が背部到達を妨げる。
Cools et al. (2008, American Journal of Sports Medicine): 前鋸筋の活性化で協調性向上。
Kibler et al. (2003, American Journal of Sports Medicine): 僧帽筋強化で結帯動作改善。
McClure et al. (2004, Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy):
肩甲骨安定化が制限軽減。
改善エクササイズ:肩甲骨安定化エクササイズ
(1) プッシュアップ・プラス(膝つき)
目的: 前鋸筋を鍛え、肩甲骨の前傾をスムーズに。
手順:
①準備: 床に膝をつき、両手を肩幅に広げて置く。背筋をまっすぐ、肩はリラックス。
②腕を伸ばす: 肘を軽く曲げた状態から、ゆっくり伸ばして胸を張る。肩甲骨が背中側に寄る感じ。
③前に突き出す: 腕が伸びきったら、肩甲骨を前に押し出す(背中が丸まるイメージ)。
 胸が少し下がるくらいでOK。
④戻す: 元の位置に戻し、肩をリラックス。1回3秒で10回、1日3セット。
イメージ: 「肩甲骨を前にグッと出す」感じ。腕立て伏せの「プラス」動作がポイント。
(2) ローロウ(壁使用)
目的: 僧帽筋中部・下部を活性化し、肩甲骨の後退と下方回旋を強化。
手順:
①準備: 壁に立ち、両手を肩の高さで壁に置く。肘は軽く曲げ、背筋を伸ばす。
②肩甲骨を寄せる: 肘を少し曲げながら、肩甲骨を背中側に寄せる(胸を張るイメージ)。
③肩は耳から遠ざける。
④キープ: 寄せた状態で2秒キープ、肩が前に出ないように注意。
⑤戻す: ゆっくり元の位置へ。1回5秒で10回、1日3セット。
イメージ: 「肩甲骨で背中を挟む」感じ。壁がガイドになって動きやすい。
ポイント
肩をすくめず、毎日コツコツで1週間で変化を実感。
あるあるポイント
「肩は動くのに背中に届かない…」なら、肩甲骨がサボってるサインですよ!


4. 痛くてストップ!「疼痛による制限」
何が起こってるの?
肩の炎症やケガで痛みが出ると、体が「動かすな!」とブレーキ。
痛みが強ければ結帯動作が止まります。
医学的根拠
Neer (1972, Clinical Orthopaedics and Related Research): 痛みが内旋を制限。
Cools et al. (2008, American Journal of Sports Medicine): 痛みが筋活動を抑える。
Bang & Deyle (2000, Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy): 低負荷で疼痛軽減。
Ellenbecker & Cools (2010, British Journal of Sports Medicine): 低負荷が炎症期に有効。
改善エクササイズ:低負荷リラクゼーション
(1) ペンデュラムエクササイズ
目的: 肩の緊張を緩め、血流を改善して痛みを軽減。
手順:
①準備: テーブルや椅子の横に立ち、痛みのない側の腕をテーブルに置く。
②背筋を軽く伸ばし、リラックス。
③体を前傾: 上半身を45°前に倒し、制限のある腕を自然に垂らす。肩に力が入らないよう脱力。
④前後に揺らす: 腕を小さく(10~15cm)前後に揺らす。肩から自然に動くように、30秒間。
⑤左右に揺らす: 次に左右に同じく小さく揺らす。30秒間。
⑥円を描く: 時計回りで腕を小さく回す(直径20cm程度)、30秒間。その後反対回りも30秒間。
⑦終了: ゆっくり体を起こし、腕を下ろす。1セット約2分、1日3セット。
イメージ: 「腕をぶらぶらさせて肩をほぐす」感じ。重力に任せるのがコツ。
(2) アイソメトリック内旋
目的: 低負荷で筋を刺激し、痛みを抑えつつ内旋感覚を維持。
手順:
①準備: 立って背筋を伸ばし、壁の横に立つ。制限のある腕を準備。
②肘を曲げる: 肘を90°に曲げ、前腕が床と平行に。肩はリラックス。
③壁に当てる: 壁に肘の内側(前腕の外側)を軽く接触。タオルを挟むと快適。
④軽く押す: 腕を内側に動かそうとする(動かさない)。力は10~20%で、痛みが出ない程度。
⑤キープ: 5秒キープ、力を抜いて5秒休む。10回 × 2セット。
イメージ: 「壁にそっと抵抗をかける」感じ。筋を緊張させるが動かさない。
ポイント
ペンデュラムは小さく自然に、アイソメトリックは痛みゼロで。1日3~4回でもOK。
あるあるポイント
「背中に手を回すとズキッ!」なら、炎症が潜んでるかも。


5. 神経が引っかかってる!「神経滑走性の低下」
何が起こってるの?
肩周りの神経(腋窩神経、肩甲下神経、肩甲上神経)が筋膜や瘢痕に引っかかると、
滑りにくくなり、内旋や伸展が制限されます。「ピリピリ感」や硬さがサインです。
医学的根拠
Coppieters et al. (2001, Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy):
神経滑走性の低下が動作制限と痛みを引き起こす。
Shacklock (2005, Clinical Neurodynamics): 肩甲下神経の制限が内旋を20%低下、
腋窩神経が伸展を妨げる。
Coppieters et al. (2009, Manual Therapy): 滑走訓練で可動域10°~15°改善。
Post & Grifka (1995, Journal of Shoulder and Elbow Surgery):
肩甲上神経の解放が安定性と動きを向上。
Ellis & Hing (2008, Journal of Manual & Manipulative Therapy):
神経モビライゼーションが肩の制限を軽減。
改善エクササイズ:神経モビライゼーション
(1) 腋窩神経滑走訓練
目的: 腋窩神経(三角筋・大円筋支配)の引っかかりを解放し、伸展をスムーズに。
手順:
①準備: 立って背筋を伸ばし、肩を軽く回して温める。椅子に座ってもOK。
②腕を上げる: 制限のある腕を肩の高さ(90°屈曲)まで上げる。手のひらを下に。
③肘を伸ばす: 肘をまっすぐ伸ばし、指先を床に向ける。肩の裏側や上腕に軽い伸びを感じる。
④首を傾ける: 首を反対側にゆっくり傾ける(右腕なら左に)。腕の外側に軽いピリピリ感が目安。
⑤キープ: この位置で5秒キープ、ゆっくり首を戻す。
⑥戻す: 腕を下ろし、肩を軽く回してリラックス。10回繰り返し、1日2セット(朝晩)。
イメージ: 「腕を伸ばして神経をそっとスライドさせる」感じ。首の動きで調整。
(2) 肩甲下神経モビライゼーション
目的: 肩甲下神経(肩甲下筋・大円筋支配)の滑走性を高め、内旋を改善。
手順:
①準備: 立って背筋を伸ばし、肩をリラックス。軽く肩を回して準備。
②肩甲骨を寄せる: 両肩甲骨を背中側に寄せ、胸を張る。この状態をキープ。
③腕を背中に: 制限のある腕を背中に回し、肘を90°曲げる(結帯動作の途中のような形)。
④補助する: 反対の手で肘をつかみ、軽く上に持ち上げる。肩の内側や背中に軽い伸びを感じる。
⑤キープ: 伸びを感じる位置で5秒キープ、ゆっくり呼吸を続ける。
⑥戻す: 腕を下ろし、肩を軽く回してリラックス。10回繰り返し、1日2セット(朝晩)。
イメージ: 「肩甲骨を固定して神経を滑らせる」感じ。肘を上げるのがポイント。
(3) 肩甲上神経モビライゼーション
目的: 肩甲上神経(棘上筋・棘下筋支配)の滑走性を高め、肩甲骨の安定性と内旋をサポート。
手順:
①準備: 立って背筋を伸ばし、肩を軽く回して温める。
②腕を上げる: 制限のある腕を前方に45°上げる(肩屈曲45°)。手のひらを上に。
③肩甲骨を下げる: 肩を耳から遠ざけるように下げ、肩甲骨を下方に固定。
④内旋する: 腕を軽く内側にひねる(親指が下を向く)。肩甲骨の上部に軽い伸びを感じる。
④首を調整: 首を制限側に軽く傾け(右腕なら右に)、神経の緊張を調整。
⑤キープと戻す: 5秒キープ、ゆっくり戻す。10回繰り返し、1日2セット(朝晩)。
イメージ: 「肩甲骨を下げて神経をそっと引っ張る」感じ。内旋で棘下筋周辺を動かす。
ポイント
軽い伸びやピリピリ感はOK、鋭い痛みが出たら中断。
急に動かさず、1回1回丁寧に。毎日朝晩で2週間で変化を実感。
肩を軽く回してウォームアップしてから行ってください。
あるあるポイント
「腕を動かすとピリピリする…」なら、神経が絡んでるサインですよ!


日常生活へのリアルな影響
「背中を洗えない」「ブラジャーの留め具が外せない」
この症状に気づいたら早めにケアを!
自分でチェック!
①詰まる感じ: 関節包の後方タイトネス。
②前が痛い: 烏口下インピンジメント。
③ピリピリする: 神経滑走性の低下。


まとめ:肩の動きを科学で取り戻そう!
結帯動作の5つの原因とエクササイズ、いかがでしたか?
このように症状や原因に対応したエクササイズを行って頂けると、
少しずつ問題が解決してきますので、ぜひ継続して実践してみてくださいね(๑•̀ㅁ•́๑)✧
症状が全く改善しない、痛みが続いている時は
整形外科を受診し、原因の精査が必要になりますので、
問題を放置せずに早め早めに対処を行ってくださいね!
次回は最近問題になっている「ぎっくり背中」について深堀りしていきますので、
楽しみにしておいてくださいね!!
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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