テニス肘を改善する方法(実践編)

こんにちは、GENRYUです(^^)
今回は、テニス肘(正式名称:上腕骨外側上顆炎)や肘を曲げた際に痛みが出る症状について、
その原因を医学的観点から調査し、医学論文に基づいた情報も含めて解説していきますね。
すべての症状に効果的というわけではありませんので、注意点をよくご理解頂いてから、
実践されてみてくださいね。では、早速やっていきましょう。
1. テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の概要と原因
テニス肘は、肘の外側に位置する上腕骨外側上顆に付着する筋腱、
特に短橈側手根伸筋の腱が過剰に使用されることで生じる疼痛性の疾患です。
テニスという名前が付いていますが、テニスをする人だけでなく、
手首や腕を繰り返し使う動作(例: 家事、デスクワーク、重労働)でも発症します。
「主な原因」
①繰り返しの負荷(オーバーユース): テニスのバックハンドストロークや、
手首を伸ばす動作(伸展)を繰り返すことで、短橈側手根伸筋腱に微小な損傷が生じます。
これが炎症や変性を引き起こし、痛みを誘発します。
②筋腱の変性: 近年の研究では、テニス肘の痛みは単なる炎症ではなく、
腱の変性(腱症)が主因であることが示唆されています。
具体的には、腱組織内でコラーゲン線維の乱れや血管新生(異常な血管の増加)が見られます。
③加齢: 30~50代で発症率が高い理由として、加齢による筋力低下や腱の柔軟性低下が関与します。
「肘を曲げた時の痛みとの関連」
テニス肘では通常、手首を伸ばす動作(例: 物を持ち上げる、タオルを絞る)で
痛みが顕著ですが、肘を曲げる動作(屈曲)でも痛みが出ることがあります。
これは、肘周辺の筋肉や腱が緊張状態にあり、動作時に外側上顆にストレスがかかるためです。
2. 医学論文に基づく原因の詳細
以下に、テニス肘の原因に関する医学論文からの知見を紹介します。
①Nirschlらの研究 (1979)
Nirschl RPによる初期の研究では、テニス肘は「腱付着部における微小断裂と
その修復過程の障害」が原因とされています
(Nirschl RP, "The etiology and treatment of tennis elbow," J Sports Med, 1979)。
この研究では、繰り返しの機械的ストレスが腱の変性を引き起こし、
炎症よりも組織の劣化が主な病態であることが強調されています。
②血管新生と神経過敏 (Bisset & Vicenzino, 2015)
Bisset LMとVicenzino Bの総説(Br J Sports Med, 2015)によると、
テニス肘では異常な血管新生とそれに伴う神経線維の増加が痛みの慢性化に関与します。
これにより、安静時にも痛みが持続するケースが説明されます。
肘を曲げる動作で痛みが出る場合、この神経過敏が影響している可能性があります。
③筋力バランスの崩れ (Fleming et al., 2020)
Flemingらの研究(J Orthop Res, 2020)では、手首伸筋群の筋力不足や
過剰使用がテニス肘の発症リスクを高めると報告されています。
肘を曲げる動作で痛みが出る場合、前腕の屈筋群と伸筋群のバランスが
崩れている可能性が示唆されます。
3. テニス肘以外の肘の痛みの原因
肘を曲げた時に痛みが出る場合、テニス肘以外の疾患も考慮する必要があります。
以下に代表的なものを挙げます。
①ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
テニス肘が肘の外側に痛みを引き起こすのに対し、ゴルフ肘は肘の内側(上腕骨内側上顆)に
痛みを生じます。手首を屈曲させる動作(例: 重い物を持ち上げる)や
肘を曲げる動作で悪化します。原因は、手首屈筋群の過使用による腱の損傷です。
②橈骨神経障害(橈骨神経管症候群)
橈骨神経が圧迫されると、肘の外側や前腕に痛みが生じます。
テニス肘と症状が似ていますが、神経性のしびれや筋力低下を伴う場合があります。
肘を曲げる動作で神経がさらに圧迫されると痛みが誘発されることがあります。
③関節内病変(滑膜ヒダ症候群など)
肘関節内の滑膜ヒダが挟まることで痛みが生じる場合があります。
肘の屈曲・伸展で引っかかり感や痛みが特徴的です。
④変形性肘関節症
加齢や外傷による関節軟骨の摩耗が原因で、肘を動かすたびに痛みが出ます。
屈曲時に骨が擦れることで痛みが悪化することがあります。
4. 肘を曲げた時の痛みのメカニズム
肘を曲げると痛みが出る場合、以下のメカニズムが関与している可能性があります:
筋肉・腱の緊張: 肘を曲げると、前腕の筋肉(特に伸筋群や屈筋群)が収縮し、
すでに損傷した腱にさらなるストレスがかかります。
神経の刺激: 肘周辺の神経(橈骨神経や尺骨神経)が圧迫され、屈曲時に痛みが誘発されます。
関節の不安定性: 靭帯損傷や関節内の異常がある場合、肘の屈曲で
構造的なストレスが増加し、痛みを引き起こします。
5. ストレッチのご紹介
肘ストレッチの流れ
手順:準備姿勢(例:右肘に痛みがある場合のパターン)
右の親指を軽く曲げます
右の手首を掌屈(手のひら側に曲げる)します。
肘を伸ばした状態で固定し、肩を内旋(内側にねじる)させます。
肩を外側に約30°動かします。
右の肩甲骨を下に下げます。
首を左に倒します。
注意点:
ここまで来ると、上腕三頭筋の周り、前腕の後ろ、おそらく手や親指まで、
緊張感のようなものが走るのを感じるはずです。
この際、緊張感はMAX10段階だとすると、3段階程度の負荷が加わるようにし、
それ以上の負荷をかけないでください。
また、この一連の流れを行っている時に、何か変な感じや痛みを感じたり、
強い振動を感じたりしたら、止めて休憩してください。
動作:
ここまで説明してきた姿勢が「スタートポジション」です。
このテンションと姿勢を維持したまま、①〜⑥の動きを繰り返して行っていきます。
各動作が終わったら、スタートポジションに戻り、次の動作を行ってください。
①頭を天井に向かってゆっくり5回押し上げていきます。
②首を左右に5回倒していきます
③肩を外旋(外ねじり)と内旋(内ねじり)を5回繰り返します。
④肘の曲げ伸ばしを5回繰り返します。
⑤手首の掌屈(手のひら側に曲げる)と背屈(手の甲側に曲げる)を5回繰り返します。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の主な原因は、手首伸筋群の過使用による
腱の微小損傷と変性であり、肘を曲げた時の痛みは筋腱の緊張や神経過敏が
関与している可能性があります。また、ゴルフ肘や神経障害、関節内病変など
他の要因も考慮する必要があります。
今回ご紹介したストレッチの実践を続けても痛みが改善しない場合は、
医学論文から、炎症よりも腱の変性や血管新生が痛みの主要因
である可能性もありますので、整形外科での詳細な評価をお勧めします。
上記を踏まえて、今回ご紹介したストレッチを実践して頂ければ幸いです(๑•̀ㅁ•́๑)✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)



