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岸井謙児

カウンセリング歴35年、経験と信頼のカウンセリングのプロ

岸井謙児(きしいけんじ) / 臨床心理士

カウンセリング・オフィス岸井

コラム

世の中はジャングル!? <困った人・迷惑な人の対処法 最終回>

2021年12月19日

テーマ:こころの問題

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: アンガーマネジメントセルフセラピーストレスチェックシート

このコラムで触れた対応法は、あくまでも相手の行為がハラスメントや犯罪には至らない場合の対応です。これが一線を越えるようなひどいハラスメントや人権や人格を激しく傷つけるような場合は、きちんと立ち向かわなければいけません。もちろん個人で行うのではなく、理解者・味方と共に法律を背景に立ち向かうことが大切となります。今回のコラムではそこのところまでは触れていません。)



さて3番目は「戦わない」原則。

3つ目の原則は「戦わない」こと

「戦わない」という一点で言えば、①まずこちらの気持ちを落ち着かせる努力をする。それによって相手の攻撃性を鎮めていく
②あるいは相手の攻撃性をそらす ③さらには対等の関係に持ち込む などの方法があります。
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◇◇◇自分の気持ちを落ち着かせて、相手の気持ちも落ち着かせる具体的な方法◇◇◇
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様々な方法がありますが、ここでは相手に嫌味や皮肉、あるいは批判・攻撃をされているその時にすぐに取り組める方法としてはやはり「腹式呼吸」が一番手っ取り早く効果があると思います。

「腹式呼吸」
「鼻から数秒息を吸い込んで、しばらく息を止めた後、口から少しずつ息を吐き出す」という方法です。数秒と言うのは5秒程度でよいと思いますが、吐き出すときはその倍以上かけてゆっくりと、そして「必ず最後まで吐き出す」ことがコツです。「息を吐き出し切る」ことで副交感神経が働いて、気持ちや身体を落ち着かせてくれます。できれば「最後まで息を吐き出し切る」時に、息と一緒に肩の力を抜いていくことができればなお効果的でしょう。その場で相手に気づかれないようにそっと行うことができます。

不思議なものですが、二人の人間が感情的に接近している時、お互いが刺激し合ってますます炎上していきます。感情と言うのは自他の境界線を越えて伝染していくものなのです。そうであるのならば、逆に「落ち着き」と言うものを意図的にこちらから相手に伝染させていくことも可能です。行くら相手が怒っていても、こちらが「『おちつき』と言う『気』を送る」ことによって伝染させることは可能なのです。少し時間はかかるかもしれませんが、「議論と喧嘩は怒った方が負け」なのです。
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◇◇◇相手の攻撃性をそらす方法◇◇◇
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次に<相手の攻撃性をそらす>には、①話を変える ②ユーモアな切り返し の方法があります。どちらも説明すれば簡単なのですが、いざその場でこなせるようなるには、最後にも言いますが、事前のトレーニングが必要です。

①話を変える
区切りのいいところで「なるほど。ところで・・」「話は変わりますが・・」「そう言えば・・・」「それはそれとして・・・」と話の内容を変えていく方法です。この話の接ぎ穂を上手く使えば不自然でなく話を変えていくことができます。

②ユーモアで煙に巻く
これはもうその時々のひらめきですが、ある程度自分で使えそうなフレーズを事前に用意しておくことも良いですよ。ただし皮肉の切り替えしに皮肉で応じるというのはよくありません。「戦いモード」になってしまいかねません。相手にもよりますが、批判されたら「ほんとに困ったもんですね」などと自虐ネタで応じるは良いかもしれませんね。これについても最後に触れます。

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◇◇◇相手と対等の関係に持ち込む方法◇◇◇
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<相手と対等の関係に持ち込む>には、③逆に話を聴いていく ④きっぱりと「私メッセージ」を伝える などがあります。

③話を聞いていく
たとえば嫌味や皮肉を言われたときは、「私なにか失礼なことをしましたか?」『そんなこともわからないのか』「申し訳ありません。具体的に教えていただけませんか?」などと突っ込んでいくことや、『あなたは良いわね、お気楽で』「ということは○○さん、よほど大変なんですね。何が一番大変ですか?」などと対等な関係で聞いていくことです。案外、自分のしんどさをグチグチと話してくれるかもしれません。

④きっぱりと私メッセージ

いわゆるアサーション・トレーンングなどで使われる「私」を主語としたフレーズで自分の気持ちを伝えるというやり方。腹が立った時は「私はそう言われると傷つきます」、的外れな批判をされたときは「私にそう言われても困ります」などの言い方をしてみましょう。


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・・・最後に・・・相手の視野から消え、関係を消滅させること

長くなりましたが、「逃げない・こびない・戦わない」ためには、まず自分の相手に対する反応、つまり「逃げてはいないか?」「媚びてはいないか?」「怒りに振り回されていないか?」という問いかけを自分自身にすることが必要です。

そして「逃げずに堂々と胸を張って相手に正対する」練習、「相手に媚びずに冷静に受け答えをする練習」、「攻撃されたときにどう切り返せばよいか、事前にいくつものフレーズを考えておく練習」を心がけましょう。

たとえば『あなたはいいわね。お気楽で。私なんかこんなに大変なのに。』などと皮肉っぽく言われたらどういう答え方のフレーズが思いつくか、リストアップしていきます。
「お気楽にみえますか。そうですか。ところで話は変わりますけど、○○さんが今はまっているドラマって何ですか?」と話を変えるようなフレーズや「へ~○○さんはお疲れなんですね。特に今、何に一番手こずっているんですか?」などと話を聴いていったり、「ホントにお気楽ですよ。変わってあげたいぐらいです」とユーモアで切り返すフレーズなどを最低でも5つ、できれば10ぐらいを考えてみましょう。頭の練習にもなりますし、自然に口を突いて出てようになればしめたものです。

そして最後に、クマの対処法に学んだ最後の仕上げは「ちょっとずつ、ちょっとずつ後ずさりして、相手の視野から消え、最終的に相手との関係を消滅させること」です。逃げ出すのではなく、媚びるのでもなく、戦うのでもなく、相手の方からこちらの存在を忘れるまで関係を薄れさせること。相手がこちらのことを「そういえば、あんな奴いたよな」と思うぐらいに関係が薄れれば、再びターゲットになることもなく、もう危機は過ぎ去ったと言えるでしょう。


さぁ今日から「トイレに2分間こもって自信満々のポーズの練習」をして、「礼儀正しい敬語の使い方を勉強」しながら、「嫌味皮肉や批判に上手く切り返すフレーズ」を相手の顔を思い浮かべながら考えてみましょう! 練習あるのみ!

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