就業規則 モデル 旅館業の就業規則の特徴 【知らないと損する就業規則のイロハ】 その14
先日、社内の担当者からうちの社長は就業規則を各事業所に
交付しないで見せないようにしているという相談を受けまして
今回はその解説をさせていただきたいと思います。
就業規則を周知しないということ
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最高裁も最近の判決で,周知手続を経てはじめて就業規則の効力は発生す
ると判示しました(フジ興産事件・最二小平成15年10月10日)。
もちろん絶対に効力がないといえるかは難しいのであり、会社としては周知して
いたつもりであったが、従業員がどこにあるかよくわからずただ見ようとして
いなかったとなるとそれは会社としては努力不足ではあるけど最低限の周知は
していたという判断がされるかもしれません。
直前に規程の内容を変更し、周知されていないのは無効であるといえます。
一方でこの周知については労働基準法106条その他厚生労働省令で規定
する方法での周知に限るというわけではないことを示している判例もあります。
ちなみに労働基準法106条厚生労働省令で規定する方法とは次に掲げる方法とする。
1.常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
2.書面を労働者に交付すること。
3.磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、
各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
個人ごとに配布は無理でもいつでも見たいと思った時に見れる状態に
なっていればいいということで管理職の引き出しの中とか、本社に来れば
すぐに見れるからというのはダメということです。
建物単位でみるという労基規則もありますのでしっかりリスク回避のためにも
周知義務は果たすようにしてください。
どのような周知があれば就業規則の効力が発生するかについては、
労基法90条が定める過半数代表への意見聴取の際に過半数代表に
示されていれば足りるとする最高裁判決(朝日新聞事件)がありますので
考え方としては理解しておきたいところです。
またほかの判例では労働基準監督署への届け出義務を怠っていた
就業規則であっても原則それは効力を有するということになるので
誤解されませんようにお願いします。
金庫にしまってある就業規則、直前になって労使トラブル対応のために
変更した就業規則などによる懲戒などは危険です。
早めに対応して安心した労務管理を実践していくためにも基本となる
このような知識はおさえておかないといけません。