診断書の費用負担、会社それとも従業員?
アベノミクスの新3本の矢に「介護離職ゼロ」が盛り込まれ、介護全般に対する
関心が高まりを見せています。国会では、介護休業等の拡充を含む改正育児・
介護休業法案が提出され、無事平成28年3月31日に可決されました。
育児休業は今までいろいろ対応してきたけど、介護は、今までなかったし
準備期間もないから大変という声をお聞きしますが、まずは大前提として経営者
及び人事担当者が知っておきたい家族の介護対応のための労務管理に関する知識
をご紹介しておきます。
そもそも国が定めている介護休業とは何か? というところからになりますが
介護休業とは、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するために休業を
取得することができる制度です。対象となる家族1人につき、要介護状態に至る
ごとに1回取得することができ、取得が可能な期間は、所定労働時間を短縮する
制度と通算し、93日までとなっています。なお、要介護状態とは、負傷、疾病
又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を
必要とする状態のことを言います。
もう1つ、大事なものとして介護休暇というものがあります。
介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行うために、
1年に5日(対象家族が複数の場合は10日)まで、介護その他の世話を行うために
休暇を取得することができる制度です。
ここで言う「その他の世話」とは、対象家族の通院等の付添い、対象家族が介護
サービスの適用を受けるために必要な手続きの代行、その他の対象家族に必要な
世話を指しています。労働者からの取得の申し出があった場合には取得させる
必要がありますが、賃金については無給でも構いません。
このように介護休業と介護休暇という法律での規定はありますが、まだまだ知ら
れていませんし、従業員にとっては十分なものではありません。
今回の法改正で介護休業に関しては93日を限度として、対象家族1人につき3回
まで分割して介護休業を取得できるようになりましたが、今後も法改正が進み
働きやすい職場環境になっていくことが求められていますが、やはり企業側の努力も大事
であることはいうまでもありません。今回の改正でさまざまな労働時間などに制限もでき
ましたが、やはり金銭面や精神面での負担は大きいものです。
貴重な重要なポジションを担っている課長がある日介護離職なんてことにならないよう
事前に対応を練っておかなければなりません。