「喫煙者は採用しない」 星野リゾートの採用ページが話題
【デモに参加すると就職に不利になるって噂は本当?】
■就職活動に不利という噂が、ネット上で勢いよく拡散
安倍内閣が進めている安保法制に反対するデモに参加すると、就職活動が
不利になるのではないかという噂が広まっています。このテーマに関しては、
1か月以上にわたっていろいろネット上で議論されて盛り上がっていましたが、
さらに勢いが増したのが市議会議員のコメントで就職活動に不利になることを
補強する形となり、さらに拡散されました。
就活をしている学生にとっては、どちらにしても気になって仕方がないところでしょうし、
実際に就活に関係ない社会人の方たちも関心をもっております。今回は、採用活動をして
いる経営者の方の生の声と法的な視点も含めて実際に就職活動に不利になるのかと
いうことを考えてみます。
■ 個人情報を集めることは違法行為になるので、できない
結論からすると、まず就職活動に不利になることはないと考えていいです。面接でそのよう
な質問もできなければ、エントリーシートに支持政党や思想信条などに関して記入させる
ことも当然できません。そのような活動をしているかどうかについて応募者全員を陰で調べたり、
調査したりする人員も予算もないというのが一般的な企業の実情です。
職業安定法が1999年に改正され、企業が求職者の個人情報を集めるのは業務
に必要な範囲に限られており、ちょっとでも間違った採用活動をしていると就職差別と
騒がれて企業側が逆に追い込まれてしまうこともあり、企業側のほうがかなり
慎重になっています。
■誰を採用するのかは自由という考え方もある
しかしながらごくまれに、企業担当者が今回のデモの詳細のこと
をよくわからず、偶然テレビに映った応募者のことを見て、今後、過激な行動
をとる可能性があるから、そういう人々とは関わりあいを持ちたくないし、弊社の組織風土
にはあわないから採用はしないという方針の会社もあります。もちろん採用しなかった理由を
開示する義務もないので、真実はわからないことになります。
確かに企業が誰を採用するのかは自由ですので、内定前であれば今回のような
理由であっても採用しないというのも企業の自由です。
過去に最高裁の判例で三菱樹脂事件というものがありますが、この事件では、学生の
思想を理由に企業が採用を拒否したことが争われ、「特定の思想信条を有する者を
雇うことを拒んでも、当然に違法とはできない」という判決が出ています。
しかしながら時代の変化とともに、企業側が思想で採用を拒む自由は、時代を追って
狭くなっていると指摘する有識者も多く、しっかりした企業であれば、デモに参加し
ていたことだけで就職活動で不利に取り扱うことはあまり考えられません。
■ 社会問題に関心が高いということは、プラス要素
知り合いの採用活動もする企業経営者に質問したところ、「行動力があって
意見がしっかりあるのはいいことなので別に不利になることはない」という
回答がありました。
私自身も今回の内容のデモに参加というレベルであれば、社会問題に
関心が高いということなので、それを考えれば企業に入社後も問題を解決
する意識も能力もあるということで、逆にプラスに考えています。
今回の噂について、時代錯誤も甚だしいという意見も多いのですが、
一方で親世代が子供たちの就職活動を心配する声がメディアにも多く
取り上げられる傾向があります。
親世代が面接を受けていた頃のイメージがそのまま残っている影響も
あるので仕方がありませんが、就職活動に関する話題は、国民全体の
関心が高く、個人の価値観の違いが大きく出るところでもあるので、
基本的な考え方だけは押さえておきたいところです。
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