「業務上必要性欠き違法」女性飼育員の配転無効

庄司英尚

庄司英尚

テーマ:判決・判例紹介

先日、判例とかはどうやって覚えていくのか?という
相談があったのですが、バタバタしていて
頭が整理されていないこともあって
うまく答えられませんでした。

冷静に考えてみたら、やはり大事なポイントというのは
いろいろな本を読んでいると何度も登場してくるので
感覚で何となくわかってくるようになるのではないかと
思っています。

私も判例ばかりを研究しているわけではないので
大事なものだけは押さえるようにしていますが結構知らない
ことも実はたくさんありますし、たくさん覚えていれば
いいというわけではありません。重要なものをとにかく
理解しておけばいいです。

私の場合社労士試験のときに結構覚えていたものが今、役に立って
いるものもあります。時代が変化しても変わらないものは
意外と多く、そのベースの考え方があれば、お客様への
相談にも徐々に答えられるようになります。

センスという言葉で片付けるわけではありませんが
やはり受け止める感度というか、意識も大切なことはいうまで
もありません。次回にいかすように脳にそして体に染み込ませる
くらいでいるといいのかもしれません。

だから判例を暗記するのではなく、深く掘り下げて考え、こういう背景があって
こういう要件があったから、裁判所はこういう結論を出して、それがその後に
基準となっているんだというゆるい感じで頭の片隅に残しておくと
次回、3年後でもそういえばこんな判例あったなあと探すことができるように
なり、それが仕事にもいきるようになるのです。

判例については、いろいろありますが、今回はちょっとした
配置転換をめぐるトラブルに関するニュースを読みましたので
早速、配置転換に関する判例を確認しておきます。

配置転換に関しては、東亜ペイント事件が参考になります。

最高裁の判決でその後の判決も気になるところではありますが
まずはこの事件は押さえておきたいところです。

配置転換が無効と判断される場合

・当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合

・当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき

・労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき

上記の理由による配置転換は、権利の濫用として無効としています。

今回の飼育員の女性の2人を配置転換命令に関する訴訟でも
配置転換を無効としており、その理由を業務上の必要性を欠いて
いるとしています。

読売オンラインより

「業務上必要性欠き違法」女性飼育員の配転無効

東京都江戸川区にある「自然動物園」の飼育員だった女性2人が事務職などに配転させられたのは不当だとして、同園を運営する公益財団法人「えどがわ環境財団」(江戸川区)に配転命令の無効確認などを求めた訴訟で、東京地裁は26日、配転を無効とする判決を言い渡した。


 松山昇平裁判官は「業務上の必要性を欠き、違法」と述べた。

 判決によると、2人は2011年10月、同僚の男性職員について「後輩や来園者に対する態度がひどい」などと財団側に報告。すると、翌12年4月1日付で、飼育業務とは関係のない事務職や別の施設への異動を命じられた。判決は、「男性職員を孤立させて飼育班内の人間関係を悪化させているという誤った認識に基づき、配転が決定された」などと指摘した。


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専門家

庄司英尚(社会保険労務士)

株式会社アイウェーブ(アイウェーブ社労士事務所 併設)

プロフェッショナル集団として学び続け、サービス業であるということを忘れず、何事にも全力で取り組みお客様の悩みを解決し、最終的には業績アップに貢献できるよう日々努力します。

庄司英尚プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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