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コラム
リコー出向訴訟「人事権乱用」で無効 男性社員2人勝訴
2013年11月12日 公開 / 2014年7月31日更新
日本橋人形町で奮闘する
社会保険労務士の庄司英尚です。
本日は、ヤフーニュースでもリンクされ大いに話題になっている
リコー出向訴訟についてです。
研究職の2人が子会社出向命令で精神的被害を受けたとして
リコーを提訴したという話です。
東京地裁では、人事権の乱用として出向命令は無効としたので
これは今後も大きな問題となりそうです。
判決では、「出向命令は(経営上必要な)固定費削減が目的とは言い難く、原告の自主退職を期待して行われた。人選の合理性も認められない」と指摘。
こうなると控訴するリコーも大変ですが、世間一般で似たような企業は
程度の差ほどあれ、かなりたくさんあります。
出向は、業務命令といってもまったく必要性がなかったり
まったく畑違いの関連ない職場などになるとそれは
行き過ぎとみなされることもありますし(研究職から梱包の単純作業)
そうはいっても企業側の事情もあり、決して単純なものでは
ないと思いますので客観的にどうかという視点は大事でしょう。
そもそも出向とは、労働者が採用された企業の従業員としての地位を
保持したまま、子会社や関連会社などにおいて、相当長期間に
わたり労務を提供する人事異動のことを言います。
労働契約関係が維持されるので労働条件がかなり下がる場合
出向命令権があるといえ企業も注意しないと出向命令権濫用で
訴えられてしまいます。
出向命令権については過去かなりたくさんの判例がありますが
これらの判決を見る限り、今回のリコー出向訴訟でも同じような
押さえておくべきポイントがあります。
出向の権利濫用とみなされ、無効となるもの
労働契約法14 条では
「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、
当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情
その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる
場合には、当該命令は、無効とする。」とします。
権利濫用に当たるかどうかは、業務上の必要性の有
無、出向先の労働条件、人選の合理性、労働者の生活
状況などが考慮の対象となります。判例では、業務上
の必要性と比べて、労働者に極端に不利益が生じる場
合には、権利濫用とされていますので今回もあてはめて
考えてみるとわかりやすいと思います。
先日は、ミクシィの人事異動でちょっとした騒動がおきましたが
今後も人事異動や配置転換をめぐるトラブルは増加することになるでしょう。
実際に退職勧奨に応じない場合、配置転換をすることが多いのですが
そこがまた研修部屋という名にはなっているが実態は追い出し部屋という
こともあると聞いています。退職強要はしないのですが、さすがにそこまで
行くとあきらめる人も増えて自主退職する人も少しずつでてくるので
そこが狙いなのでしょう
いろいろな会社がありますが有名企業においての出向に関して
このような判決が出るのは詳細がわからないとはいえ
びっくりしております。
以下引用
毎日新聞
<リコー出向訴訟>「人事権乱用」で無効 男性社員2人勝訴
「子会社への不当な出向命令で精神的被害を受けた」などとして、大手複写機メーカー・リコーの男性社員2人が同社を相手取り、出向命令の無効確認などを求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であった。篠原絵理裁判官は「人事権の乱用」として出向命令の無効を言い渡した。リコーは判決を不服として即日控訴した。
訴えていたのは、研究開発業務に従事していた48歳と51歳の男性社員。リコーは2011年9月、経営環境悪化を理由に2人に子会社への出向を命令。東京都内の配送センターで梱包(こんぽう)などの単純作業をさせた。
判決で篠原裁判官は「出向命令は(経営上必要な)固定費削減が目的とは言い難く、原告の自主退職を期待して行われた。人選の合理性も認められない」と指摘。リコーは「当社の主張が十分理解いただけず非常に残念」とコメントした。
◇出向命令は「自主退職を期待」
リコーの出向を巡る訴訟の判決は、「人員削減を目的とした出向は認められない」との姿勢を明確に打ち出した。
近年、退職勧奨に応じないと畑違いの職種への配置転換や出向、転籍をさせるケースが増えている。賃金水準が変わらなければ、退職を強いている実態が見えにくくなる。しかし、全く違う業務を強いられる労働者にとっては、退職を迫られる状態が続く。
判決は、出向命令を「自主退職を期待して行われた」と判断、人事権の乱用に当たり無効とした。また、技術者として長年働いた原告が、全く関係のない物流業務への出向を命じられた点も考慮された。最近は、キャリア形成が職業人生の中核を占めるようになっているからだ。こうした判断は、リストラであれば何をやっても許されるという風潮に警鐘を鳴らしたと言える。【東海林智】
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