日テレ女子アナ内定取り消し 第一回 地位確認訴訟 不利なのは?

庄司英尚

庄司英尚

テーマ:新卒採用・採用

日テレ女子アナ内定取り消し 地位確認訴訟
ですが、14日に初回口頭弁論がありました。

少し前のコラムで概要を書いたところですが、いよいよ
対決がはじまりました。

女子アナ 内定取り消し 訴訟 銀座クラブホステス アルバイトはダメ?
http://mbp-japan.com/tokyo/iwave/column/41364/

アナウンサー 女子アナ 日テレ 内定 クラブ ホステス 


日本テレビ側の代理人は出席しなかったが、請求棄却を
求めて争う姿勢を示しましたのでこれで全面泥沼訴訟に突入
することになりそうです。

争点は、どこになるのか?

ずばり 内定を取り消すほどの重大な相当の理由があったといえるのか?

会社側と応募者側の思いは、違うのでそれぞれが主張するのでしょうが
やや会社側が不利ではないかと私は過去の両者のやりとりから判断しました。

日テレ側からすると、今さら取り消しを撤回することなどできない事情もあるということです。

まず大前提として、採用内定について確認しておきましょう。

採用内定という状態は、始期付解約権留保付労働契約といって、
入社までの間、企業はその契約を解約する権利を留保して
いますが、“合理的理由”がない解約は、解約権の濫用とされ、
無効となります。


過去の判例がベースになりますので、内定取り消しに関する最高裁判例は、   
   大日本印刷事件が有名です。
   http://mbp-japan.com/tokyo/iwave/column/6848

   最高裁は「企業からの募集に対し、求職者が応募したのは労働契約の申込であり、これに対する採用内定通知は、   右申込に対する承諾であって、求職者の誓約書の提出とあいまって、就労の時期を大学卒業直後とし、それまで   の間、誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権留保付労働契約が成立したと解するのが相当である」
   (大日本印刷事件 昭54.7.20)

銀座クラブホステス勤務歴は、女性アナウンサーに求められる清廉性にふさわしくないといえるのか?

→ 時代が変化しているのだから、職業差別にもつながるような考え方は、問題とす
る気持ちもわからないわけではないが、アナウンサー職という特別な職業を
  どう判断するか? 

  あとから銀座のホステス歴が発覚したら大きな騒ぎになり、本人、会社ともに損害を受ける可能性あり
  当然会社としてはそのあたりまで考慮して判断をしたと推測できますがそれが妥当なのかということ。

  参考までに 「清廉」という意味は、心が清らかで私欲がないこと。また、そのさま。 
  
   アナウンサーに求められる清廉性に欠けるという理由は、テレビ局的に内輪の中での
  本音としては理解されるかもしれませんが、法律上では、ホステス歴があるだけで
  清廉性に欠けるというには無理がある気がします。
  差別に当たる可能性があると思われるのでは?

  一部の有識者のなかにはそういうホステスの経験はプラスになり社会勉強の1つにもなるともいえる  
  のだから清廉性に欠けるというより貴重な経験として認められるようなことだという意見をいう人も
  いますが、ちょっとそこまで言うのもどうかなと思います。

  そうはいっても女子大生もアナウンサーを目指すのであれば、そういうちょっとしたアルバイトで
  あってものちのち問題になる可能性もあるからやめておいたほうがいいと思いますし、常識的に
  考えればリスク回避として躊躇するのではないかと私は思います。

  実際に女性アナウンサーの過去のふさわしくない写真が流出して、閑職に追いやられたり
  退職したりしているということが結構あるわけで、そのようなことを知っていればアナウンサー
  として雇用するという会社側ももっと慎重に採用活動をすすめなければならなかったわけです。

  しかしながら、採用内定を出した以上は、本人は入社できる権利があり、それを取り消すだけ
  の重大な理由として、ホステスアルバイト歴が該当するのか?

  一般の皆さんはどのように考えるのでしょうか? 弊社スタッフたちとも議論してみたいですね? 
   
  さて、次に自己紹介シートにアルバイト歴を全部書かなかったことは虚偽の申告とまでいえるのか?
→ バイトの経歴まで全部書くことが要件になるのか? 一般的にはそれはありえないですね。
   ただ一般的な会社とアナウンサーという職業は別であるということです。
  それだったら会社は水商売のアルバイト歴がある人は採用できないと明確に打ち出し、そういう経歴が
  ないことをサインしてもらうようにしないといけないのか?   

  そもそもエントリーシートを書いている時期は、採用活動とすると時期が早すぎて、   
  経団連の定めに反しているので、その活動は正規の採用活動であったという
  ことを主張すると、それは問題だという考え方もあります。

  一方でそんなことはお互いにわかっていることで、採用に直結する活動だということは
  大体はわかっていてのことです。エントリーシートの形式にもよりますがちょっと
  バイト歴を全部書いてくださいと指摘があったわけではないと思うので虚偽の申告
  といえるのかどうか。ここは分かれるところです。
  
 勝手に私のほうでいろいろ分析してみましたが、いろいろコメントをする人がいます。
 結局のところ法律での考え方がベースになるということです。

 最後にちょっと違った視点で、いろいろこの事件を考えてみました。

彼女が在学している東洋英和女学院の学校サイドは
この事件をどう思っているのでしょうか?

結局、彼女は日テレには入社できてもあとが大変だし
勝訴しても入社しないでお金で解決を日テレも希望する
だろうから、その後の彼女の人生のことを考えるとどうなのか?

日テレも大変だが、今後何か似たような騒動が内部から出たら
それこそ騒がれてしまうでしょう。

関連するコラムをいろいろ拝見しましたのでご紹介しておきます。
■ 職業に貴賎はないが“事情”はある。女子アナ内定取り消し裁判、日テレは悪くない!
http://allabout.co.jp/newsdig/w/74438


日刊スポーツの記事も参考までに紹介しておきたい思います。

日刊スポーツより

日テレ、女子アナ内定取り消し訴訟泥沼化

来年4月に入社予定のアナウンサー内定を取り消された東洋英和女学院大4年生の笹崎里菜さん(22)が、日本テレビを相手に起こした「地位確認請求」訴訟の第1回口頭弁論が14日、東京地裁で行われた。日本テレビ側の代理人は出席しなかったが、請求棄却を求めて争う姿勢を示した。

 56の傍聴席が埋まり、午前11時に開廷した。だが、日本テレビ側代理人(弁護士)の姿はなかった。笹崎さんも不在で、裁判長はすぐに笹崎さんの代理人、緒方延泰弁護士に次回期日を発表した。「1月15日。被告から、12月15日までには実質主張の書面を提出したいと通知がありました」。

 一方で緒方弁護士は「12月に被告代理人の予定が入り、1月になったと聞いた。なるべく早く」と要望した。「内密に事前折衝をしたが、裁判所が内定を認める仮処分を決定しても、日本テレビさんが従わない意向を示したので、やむなく本訴した」。その上で「来年4月までに結論を」と笹崎さんの来春入社に向けて早期解決を主張し、約5分で閉廷した。

 緒方弁護士によると、11年ミス東洋英和女学院の笹崎さんは昨年9月、同局のアナウンサーセミナーに参加。就職活動しないことを条件に「採用内定通知」を受けた。だが、今年3月、内定者研修で同局の人事担当者から、誤解される男性との写真の有無を問われ、「クラブでホステスのアルバイトをしたことがある」と申告。客と店員の集合写真があることも認めた。そして、5月に「アナウンサーに求められる清廉性にふさわしくない。セミナーで提出した自己紹介シートにクラブでのバイト歴を記載しておらず、虚偽の申告だ」と内定取り消し通知を受けたと主張している。

 対して日本テレビ側は、笹崎さん側と争う姿勢を示した。次回以降に具体的な反論をするとし、同局広報IRは「当社の主張は裁判を通じて明らかにさせていただきます」とした。閉廷後、緒方弁護士は小型カメラを持つ日本テレビ関係者も含めた取材陣に対応。「(期日延期は)引き延ばしかどうかは分からない。ホステスが清廉かどうかは好みの問題。間違いを撤回してほしい」と訴えた。笹崎さんは「いい結果が出ることを祈っています。お騒がせして恐縮しています」と話しているという。

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専門家

庄司英尚(社会保険労務士)

株式会社アイウェーブ(アイウェーブ社労士事務所 併設)

プロフェッショナル集団として学び続け、サービス業であるということを忘れず、何事にも全力で取り組みお客様の悩みを解決し、最終的には業績アップに貢献できるよう日々努力します。

庄司英尚プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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