労働基準監督署による是正指導 不払い残業は前年より増加
日本橋人形町で奮闘している
社会保険労務士の庄司英尚です。
固定残業代の間違った運用は、危険 ~見込み残業違反1343件 制度悪用 不払い横行
東京新聞の昨年末の記事から興味深いものが
ありましたので、企業防衛の視点から
まとめるとともに企業側が
どのように運用すればいいのかについて
まとめておきたいと思います。
今回のような監督署の調査だけでなく、
従業員から内容証明などを受けたり
することもありますが、それが悪質な法違反と
指摘されて2年分(遡及は、時効で2年まで)
の未払い残業代の支払いを求められた場合、
会社は大変なことになってしまいます。
請求されたら、それは後の祭りです。
事前に積極的に手をうっていかなければなりません。
受身ではダメなんです。先延ばししていいことは
ないのは、過去の企業を見ていればよくわかります。
うちは、固定残業代払っているから安心という企業も
その運用が正しくなければ、問題になります。
以下 東京新聞の記事から一部引用
見込みの残業代をあらかじめ給与に盛り込む「固定残業代」を
悪用したサービス残業(残業代未払い)の違反が昨年、東京や
愛知など十都道府県で計千三百四十三件あったことが、本紙の
調査で分かった。
いくら働いても見込み分の残業代しか支払わなかったり、見込み
額をあいまいにして残業代をごまかしたりしていた。
調査は企業の本支店や工場など全国の事業所数の五割以上を
占める東京、大阪、愛知、北海道、埼玉、千葉、神奈川、
静岡、兵庫、福岡の十都道府県を対象にした。
昨年一年間に残業代の不払いを禁止した労働基準法三七条
に違反した事業所のうち、固定残業代に絡んだ労働基準監督
署の是正勧告書と指導票を情報公開請求した。
開示文書を集計すると、固定残業代に絡む違反が最も多かった
のは東京で二百五十件、次いで愛知が二百二十一件、大阪が百九十三件
だった。各都道府県とも、残業代の未払い総数に占める割合は一割ほど。
愛知は二割弱と最も高かった。
(引用ここまで)
いずれにしても見込み残業代を支払う場合は、基本給と分けて
何時間分を含むのか明確に就業規則に規定し、明細にも基本給と
固定残業代を分けて支払わなければいけません。
当然仮に20時間分を見込み残業代として固定で支払っているのなら
その20時間分を超えた分は割増賃金を支払わないといけません。
労働基準監督署の調査は、パソコンの利用記録まで調べるので
すぐに労働時間は明らかにされてしまいます。
残業の許可申請から始まり、仕事の見える化、チームによる総労働時間
の削減を目指すように改革を行わなければなりません。
小手先の見込み残業手当制度を導入しても、今は、すぐに未払残業代
を求めて退職した従業員の依頼を受けた弁護士から
請求されることもたくさんありますので
1日に2時間以上の残業があるような会社は、2年分請求されたら
大変なことになることをご理解ください。
また基本給を無理やり引き下げて、固定残業代を別に出すという
形の相談もよくありますが、不利益変更になりますので
基本的には、強引にすれば無効になり、将来差額を請求される
可能性がかなりあります。
12月30日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013123002000088.html
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社会保険労務士 庄司英尚