時事通信社事件 年次有給休暇の時季変更権 労働基準法29年社会保険労務士試験
みなさんこんにちわ
社会保険労務士の庄司英尚です。
今日は、お客様から質問があったものを一部脚色して
特別にQ&A形式でお答えしたいと思います。
従業員の方も気になるところかと思いますが
ぜひ参考にしていただければと思います。
■ Q 今回、従業員が仕事上で入力ミスをして多大な
損害を会社に与えたので本人へ会社から損害賠償請求
をしたいと思っていますが可能でしょうか?
■ A 詳細の内容を聞かないとわかりませんが、従業員が
通常の仕事の過程において注意しながら入力業務を行って
いた際のミスについては、従業員に損害賠償請求するこ
とはできません。
仕事をしていればミスは少なからずおきるものですし、
それを従業員に全部負担を負わせては、おかしなこと
になります。企業は、経済活動を行い、利益をあげる
ために従業員を雇用しているわけですから、利益の部
分だけを会社が得て、リスクの部分(損害)だけを従業
員に押し付けることはどう考えても不公平であり、その
ようなことでは従業員は安心して働くことができなくな
ってしまいます。
もちろん故意または重過失によるものである場合、当然
損害賠償請求することは可能です。
それでも全額を損害賠償請求するということは難しく、公平
に分担するという考え方に基づきます。過去の裁判例をみても
企業が負った損害額の半分程度、あるいは4分の1またはほとん
ど認めなかったものもありさまざまです。
今回のケースと比較的似ている判例をみていくと、N興業事件は
参考になりますのでご紹介させていただきます。
売上代金の請求書作成を怠ったことによる損害(800万円)につき、
過重労働の存在、再発防止措置の不十分さ等を考慮して賠償額
を約4分の1(200万円)とした。
(東京地判平15.10.29 労判867-46)
減額の幅は、裁判例によると労働者が行った加害行為の態様、労働
者の地位・職責・労働条件、加害行為の予防や損失の分散(保険の
利用等)についての使用者の対応のあり方等の諸事情を考慮して判断
されます。
なお基本的なところになりますが、労働基準法第16条では、
使用者に対して、「労働契約の不履行について違約金を定め、又は
損害賠償額の予定をする契約」を締結することを禁止していますので
あわせて押さえておきましょう。
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