新卒社員(内定者)が単位がとれず、卒業できなかったら?
おはようございます。
社会保険労務士の庄司 ひでたかです。
今日は、解約権留保付労働契約についてです。
採用内定の取り消しなどの事例はニュースにも
なりますが、決して他人事ではなく、事業主側も
注意しないといけません。新卒だけではなく中途社員
でも、トラブルの可能性は大いにあります。
さて就活の時期も、大手企業などが時期をずらすなどの
対応をしていることから、いろいろ環境が変化しています。
またリーマンショックや東日本大震災により雇用環境は
大きく変わりました。そんな中で聞いたことがある
かもしれない「解約権留保付労働契約」という言葉。
「始期付解約権留保付労働契約」ともいいます。
今日は簡単にその意味だけを理解していただければと思います。
解約権留保付労働契約とは、ざっくりいって 「採用内定状態」
のことだと思ってください。
採用内定は、解約権を会社が留保した特別な労働契約が成立した
ということであります。解約できるのは、例えば卒業できなかった
ときなどの特別な内定取消事由がある場合だけ解約権を行使すると
いうことなんです。
だから誓約書などをもらっていて、それを安易に内定取消としますと
本人から就業の機会を奪われたということで賠償請求され、解雇と
同じことですからそれなりの解雇予告手当相当に請求を受ける
ことがあるわけです。
この採用内定の法的性格については多くの議論がなされてきていまして、
一概にひとことで片付けることはできませんが、過去の最高裁の判例がベースに
なっています。
最高裁は「企業からの募集に対し、求職者が応募したのは労働契約の申込であり、これに対する採用内定通知は、右申込に対する承諾であって、求職者の誓約書の提出とあいまって、・・就労の時期を大学卒業直後とし、それまでの間、誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権留保付労働契約が成立したと解するのが相当である」(大日本印刷事件 昭54.7.20)
会社が誓約書を受領した段階で、労働契約が成立するという考え方を示しています。
難しい話は、さておき社会保険労務士がどのようにこのようなトラブルから守る
か、そして採用フローを工夫できるかということです。
知識がある社会保険労務士(社労士)及び人事コンサルタントはいるかもしれません。
でも実務上、経験がどれだけあるかにより対応力も変わってきます。
ためしに「解約権留保付労働契約について、話を聞きたい」と面前でいきなり聞いて
みましょう。ほとんど答えられない専門家もいるでしょう。
さらに「それで何をすればいいのか?」と聞いてもアバウトな答えしか
かえってないことも多いでしょう。
社会保険労務士は、紛争がおきてしまったら、かなり厳しいのは事実です。
なにしろ裁判になったら代理権がありませんから、仕方ないですが、
私の場合は、その前の予防や、トラブルの入口の際に声をかけてもらえれば最適な解決法
を提供できます。ここは、差がつくところであって、腕の見せ所であると私は、思っています。
今日もコラムを読んでいただきありがとうございました。
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株式会社アイウェーブ
庄司社会保険労務士事務所
代表取締役/所長
庄 司 英 尚(社会保険労務士)
東京都中央区日本橋人形町2-32-4
人形町ロータリービル2F
URL: http://www.iwave-inc.jp
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
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