68.6% 「奨学金の返済を負担に感じている」
少し前に、「社員に友人などを紹介してもらい入社が決まった場合には、報酬を支払う社員紹介制度を検討していますが、注意すべき点などを教えてください」というお問い合わせがありましたのでこちらにもご紹介したいと思います。
検討されている社員紹介制度は、そもそも法律に抵触する可能性がないのかということから考えて、そのあとに問題点などを考えていかないといけません。
職業安定法第40条では、「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。」 と定めており、報酬を与えるような制度はあまり望ましくなく、グレーの部分もあります。
しかしながら、実際に多くの現場ではこのような法律の定めはわからないままま運用していることが多いので、導入する場合でもその制度自体の法的リスクについて考えたうえで実行するのがよいでしょう。
なお報酬を支払うことは、その詳細が賃金規程に定めてあれば、良いという説もありますが、常識的な範囲を超える額だったりすると問題になります。あくまでも実態でみないといけません。私は個人的には、賃金規程に記載したとしても、そのような報酬を与えることは法的主旨に反すると考えています。
また仮に導入しても報償金目当てでそちらに力が入ってしまい、本業の仕事がいいかげんになる可能性がありますのでそのあたりは注意が必要です。よくトラブルになるのは、入社してすぐ辞めたり、解雇になった場合でも支給するのかどうかということも重要な問題です。
この制度については、税務上の扱いをどうするか、また社会保険の報酬に該当するのかなどいろいろな点が問題として残りますので制度の導入に際しては、厚生労働省をはじめとして、管轄の労働局、労働基準監督署、年金事務所、税務署などにも具体的なケースとして相談をし、慎重にすすめていくのがよいと思われます。
この質問は、人事労務に携わる人が多角的な視点(倫理、経営上、現場の運用面、社会保険上、税務上、職業安定法上)で物事を考えられるかという点でとてもいい質問材料だと思っています。
なかなかこのような視点で考えられるプロが少ないので、弊社もさまざまなケースに学び、より質の高いサポートをしていけば顧客満足を高められると思っています。
もちろん、法律が大事なのはいうまでもありませんが、実際の企業経営の視点で考えることは大切です。また安易に1つの役所の1担当者に答えを聞いてそれを鵜呑みにしたりすると痛い目にあうことがあります。
縦割り行政の弊害といってもいいのですが、それぞれの言うとおりにしていくと矛盾することもたくさんあったりしますので、そのあたりには十分注意したいものです。
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株式会社アイウェーブ
庄司社会保険労務士事務所
代表取締役/所長
庄 司 英 尚(社会保険労務士)
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