NTT、契約社員にも手当支給へ 同一賃金の指針先取り
一般的に普通の会社は、通勤手当としてその通勤にかかる実費相当分を支払っていると思います。
しかしながら、世の中にはいろいろな会社がありまして、ある会社では、通勤手当は支給していませんでした。
社会人3年目のA君は、はじめて転職活動をして、内定が出たのでその会社に入社しようと思って面談していたときに、書面で書かれた労働条件をみてびっくりしたわけです。
そのときの言葉が、タイトルのとおり。
A君「通勤手当が支給されない会社なんてあるんですか?」
人事担当者「弊社は、通勤手当は出していません」とこたえると、
A君「それでは、実際に通勤にかかる費用は自分の給料から持ち出しになってしまうし、それって法律違反じゃないですか?」とちょっと不満そうな様子。
人事担当者「弊社ではそういうルールなんですよ。」
A君は、「基本給から通勤費相当分(A君は1万2千円程度)を支払うわけだから、手取りは少なくなるし、今回の内定について少し検討させてください。」と話して帰っていきました。
さてここからが大事なところです。
法律では、通勤費を支払わなければならないという定めはないです。でも一般的には、実費相当分を支払っている会社がほとんどだと思います。
そうすると、こんなことが起きるわけです。「今度郊外に家を買ったんで、定期代が変わりました」といわれたら、それが毎月60,000円だったとしても払わないといけないわけです。大手企業ならともかく中小企業にはちょっと厳しいですよね。
もちろん私は、上限を設けて月に2万5千円までとか、月額3万円までとかにしたほうがいいということを会社の場所や働いている人の特性などを考えてよくアドバイスしています。
それから、みなさまもご存知のとおり、通勤費は10万円までが非課税なので、非課税枠までは実費通勤費支給などという就業規則をよくみますが、中小企業の場合にはちょっと問題のある定め方といえます。
最後に一番大事なところですが、通勤費は、社会保険の等級を決める際には、基本給などと同じように報酬になるので、基本給が同じ26万の人でも、通勤費が5千円の人と、3万円の人では、等級が2つも違ってしまい、保険料は、大きな違いが出てきて、実質の手取りも変わってくるわけです。
これは、税金と社会保険の実務の中でも一番基本的な事項であって、なおかつ中小企業の経営者にはぜひ理解していただきたいところですのでまたの機会に通勤費についてはこちらのコラムでふれたいと思います。
■参考
派遣会社は、通勤費は支給しない会社もありますし、支給する会社もあります。あとは、派遣会社に限らず、通勤費は実費支給で一律月額上限5000円という定め方をしているところもあります。
会社のカラーはいろいろなところに出てきますが、通勤手当や通勤のルールについても百社あれば百社のパターンがあります。
これまでこの仕事をしてきておそらく200社以上の通勤に関するルールを見てきていますが、ほんとうに逆に勉強になることもたくさんあって、とても楽しく仕事をさせていただいています。やはり机上ではなく、ローカル事情などは現場に行ってはじめて見えてくることがたくさんあると実感しています。