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安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

『第2弾』【保存版】決定的な「あとひと伸び」を獲得せよ!肩関節外転制限を解き放つ「2ndポジション外旋」と前下方・胸郭へのアプローチ②

安部元隆

安部元隆

テーマ:肩痛



こんにちは、GENRYUです(^^)
今回は、前回の「1stポジション外旋(前上方組織)」に続き、
第2弾として、肩関節外転制限の鍵を握る「2ndポジション外旋」と、
それに関与する「前下方組織」および「肩甲胸郭関節」への
アプローチについて解説します。
前回は、肩関節屈曲運動の「初動」を制する、1stポジション(下垂位)での
外旋可動域の重要性についてお伝えしました。
前上方組織のストレッチ、試していただけたでしょうか?
第2回となる今回は、動作のステージを一つ上げて、
「肩関節外転(腕を真横から上げていく動き)」の制限に焦点を当てます。
臨床現場では、「腕が途中までは上がるけれど、
90度を超えたあたりで肩が詰まる」
「最後のひと伸びが足りず、耳まで腕がつかない」といった訴えをよく耳にします。
この「途中からの制限」や「最終域での詰まり」を解消する鍵を握っているのが、
「2ndポジション(90度外転位)での外旋可動域」と、
その土台となる「肩甲胸郭関節(肩甲骨と胸郭)」の動きです。
なぜ、腕を横に広げた状態での「外旋」が重要なのか?
肩甲骨の動きをブロックしている「真犯人」は誰なのか?
早速やっていきましょう。



第1章:肩関節外転運動のメカニズムと「2nd外旋」の役割
まずは、肩関節外転運動がどのように行われているか、
その複雑な連動(カップリングモーション)を再確認しましょう。


1. 外転運動における「連動のルール」再考
肩関節外転は単に上腕骨が外側に開いていく動きではありません。


①肩甲上腕関節(GHJ):
上腕骨は外転に伴い回旋運動を伴います。
諸説ありますが、一般的に大結節のインピンジメント(衝突)を避けるため、
初期〜中期にかけては外旋(または中間位保持)が必要となり、
最終域(約120°以降)に向かって相対的に内旋していく、という複雑な挙動を示します。
②肩甲胸郭関節(STJ):
肩甲上腕関節(GHJ)の動きを受け入れる土台として、
肩甲骨はダイナミックに動きます。
具体的には「上方回旋」「後傾」「外旋」の3つの動きが必須となります。

この連動がスムーズに行われることで、はじめて腕は真横から耳の横まで、
きれいに上がっていくのです。

2. なぜ「2ndポジション外旋」が制限因子になるのか?
では、今回のテーマである「2ndポジション(肩関節90度外転位、肘90度屈曲位)」
での外旋可動域が、なぜ重要なのでしょうか?

2ndポジションは、投球動作のコッキング期(テイクバックの頂点)
に代表されるように、肩関節の前方組織に強い伸張ストレスがかかる肢位です。
この肢位で外旋が制限されるということは、肩甲上腕関節(GHJ)の
前方〜下方を支える組織群が短縮・癒着していることを意味します。
具体的には、以下の組織が関与します。
* 肩甲下筋(特に下部線維)
* 前下関節上腕靭帯(AIGHL)を含む関節包下部

もし、これらの組織が硬く縮こまっていると、どうなるでしょうか?
外転運動が90度付近に達したとき、本来であれば上腕骨頭は関節窩の中を滑り、
転がりながら上方へ移動していくはずです。
しかし、前下方の組織が「突っ張り棒」のように骨頭の動きを制限してしまうため、
骨頭は正常な軌道を描けず、関節窩に対して押し付けられたり、
上方へ突き上げられたりしてしまいます。
これが、90度付近での「詰まり感」や「痛み」、そして
それ以上の挙上制限の根本原因となります。
つまり、「2ndポジションで十分に外旋できるだけの柔軟性(組織の長さ)がなければ、
スムーズな外転運動は完遂できない」という事になるんです。



第2章:ターゲット組織の解剖学的・運動学的深層
外転制限の要因となる「肩甲上腕関節の前下方組織」と、
土台となる「肩甲胸郭関節(肩甲骨・胸郭)の制限因子」について、
解剖学的に深掘りします。
❶肩甲上腕関節(GHJ)の番人:肩甲下筋(特に下部線維)

肩板(ローテーターカフ)の中で唯一、前方に位置する肩甲下筋は、
強力な内旋筋であると同時に、関節の前方安定性を担う重要な筋肉です。

* 起始:肩甲下窩(肩甲骨の裏側全体)
* 停止:上腕骨小結節、および関節包
* 機能的な特徴:
上部線維と下部線維で機能が異なります。
* 上部線維:1stポジション(下垂位)での内旋作用が強い。
* 下部線維:外転位になるほど、その走行が水平に近づき、
関節の「前方安定化」に強く貢献します。
また、関節包の下部にも付着を持つため、この線維の短縮は、
外転位での外旋制限(2nd外旋制限)の主因となります。
五十肩や投球障害肩などでは、炎症の波及や反復するストレスにより、
この肩甲下筋(特に下部線維)が防御的に緊張したり、
線維化して硬くなったりすることが非常に多いのです。

❷ 肩甲胸郭関節(STJ)の強力なブレーキ:小胸筋と大胸筋
次に、土台となる肩甲骨の動きを制限する因子です。
外転に必要な「後傾・外旋」を阻害する最大の要因は、胸の前にある筋肉の短縮です。

①【小胸筋(Pectoralis Minor)】
「肩甲骨のブレーキ」とも呼ばれる、臨床上極めて重要な筋肉です。
* 起始:第3〜5肋骨
* 停止:肩甲骨の烏口突起
* 作用:肩甲骨を「前傾・内旋・下方回旋」させる。
また、強制吸気時には肋骨を引き上げる。
デスクワークなどで猫背姿勢が続くと、小胸筋は常に短縮した状態になります。
この状態で固まってしまうと、肩甲骨は「前傾・内旋」位にロックされます。
外転運動時に肩甲骨が「後傾・外旋」しようとしても、
短縮した小胸筋が烏口突起を前下方に引っ張り続けるため、
まるでアンカー(錨)を下ろした船のように、肩甲骨は動けなくなってしまいます。
また、小胸筋の下には腕神経叢や鎖骨下動静脈が通るトンネル(小胸筋下間隙)があり、
小胸筋の短縮はこのトンネルを狭くして「胸郭出口症候群」の原因にもなり得ます。
可動域だけでなく、神経・血管系への影響も考慮すべき重要な筋肉です。
②【大胸筋(Pectoralis Major)】
表層にある大きな筋肉ですが、特に下部線維(腹部パート)や肋骨起始部が短縮すると、
上腕骨を内転・内旋方向へ引っ張ると同時に、肩甲骨の自由な動きを制限する要因となります。

❸ 土台の土台:胸郭(上位肋骨)の可動性
肩甲骨は胸郭(肋骨)の上に乗っています。
土台である胸郭自体が硬ければ、肩甲骨もスムーズに動けません。
肩甲骨が後傾・外旋するためには、その下にある肋骨(特に上位肋骨)が連動して
「後方回旋」し、胸椎が「伸展」する必要があります。

猫背で胸椎が後弯し、肋骨の動きが固まっている状態では、
いくら肩甲骨周りの筋肉をほぐしても、構造的に「肩甲骨の後傾・外旋可動域」は
制限されたままとなります。




第3章:実践!解剖学的ストレッチ&運動療法アプローチ
それでは、これらの解剖学的背景に基づいた具体的なアプローチを紹介します。
コンセプトは
①「土台(胸郭・肩甲骨)を解放し、
②その上で肩甲上腕関節(肩甲下筋)を伸ばす」
という順序です。
土台が動かない状態で無理に肩甲上腕関節を捻ろうとしても、
代償動作が出るだけで効果的なストレッチにならないからです。
今回は、あなたご自身で行えるセルフストレッチと運動療法を中心に解説します。

アプローチ①:土台を解放する「小胸筋・大胸筋ストレッチ」
まずは、肩甲骨を前傾・内旋位にロックしている胸筋群をリリースし、
肩甲骨が動ける状態を作ります。
【壁を使った小胸筋ストレッチ(ピンポイント狙い)】
小胸筋を効率よく伸ばすには、大胸筋(特に鎖骨部・胸肋部)の影響を避け、
肩甲骨を後傾方向に誘導する必要があります。

1. ポジション:
壁の角や柱の横に立ちます。
2. セット:
患側の前腕(肘から手先まで)を壁につけます。
この時、肘の高さは肩よりも高く(約120〜130度外転位)設定します。
これが小胸筋を狙うコツです。(低いと大胸筋が優位になります)
3. ストレッチ
* 壁につけた前腕を支点にして、ゆっくりと体を前進させ、胸を開いていきます。
* この時、「肩甲骨を背骨に寄せる(内転)」のではなく、
「肩甲骨の下角(下の尖った部分)を肋骨に押し付けるようにして、
肩甲骨全体を後ろに傾ける(後傾)」意識を持つことが最重要です。
* 烏口突起(鎖骨の外下にある出っ張り)のあたりから胸の深部にかけて、
じわーっと伸びる感覚があれば正解です。20〜30秒キープします。
4. 注意点: 腰を反らせたり、首を前に突き出したりする代償動作が出ないよう注意します。



アプローチ②:土台を動かす「胸郭・肩甲骨モビライゼーション」
筋肉が緩んだら、実際に土台である胸郭と肩甲骨を連動させて動かす練習を行います。
「胸椎伸展」や「肩甲骨後傾・外旋」の要素を取り入れたエクササイズです。
【ストレッチポールを使った胸郭拡張エクササイズ】
1. ポジション:
ストレッチポールの上に、背骨に沿わせるように縦に乗ります(背臥位)。
膝は立てておきます。
2. 基本姿勢:
ポールに乗ることで、重力により自然と両肩が下がり、
胸が開かれます(大胸筋・小胸筋の受動的ストレッチ)。
また、胸椎の伸展も促されます。
この状態で深呼吸を繰り返すだけでも効果があります。
3. 肩甲骨運動(床磨き運動):
* 両手を天井に向かって「前ならえ」します。
* 肘を伸ばしたまま、両手をゆっくりと頭の上の方へ万歳していきます(屈曲・外転)。
* この時、「手の甲や前腕で床をこするように」しながら、
できるだけ広い範囲で腕を動かします。
* 床に腕を近づけようとすることで、重力を利用して
「肩甲骨の後傾・外旋・内転方向」への動きが強力に促されます。
痛みが出ない範囲で、ゆっくりと大きく動かします。




アプローチ③:本丸を攻める「肩甲下筋ダイレクトストレッチ(2nd外旋)」
土台が整ったところで、いよいよGHJの前下方組織(肩甲下筋下部線維など)を
ターゲットにした2nd外旋ストレッチを行います。
代償動作をいかに封じるかが最大のポイントです。
【壁を使った2nd外旋ストレッチ(代償封じ)】
1. ポジション:
壁に向かって、または壁の横に立ちます。
2. セット:
患側の腕を横に上げ(肩外転90度)、肘を90度曲げます(ガッツポーズのような形)。
前腕と手のひらを壁にしっかりとつけます。
3. ストレッチ:
* 壁につけた前腕を支点にして、体幹をゆっくりと壁とは反対方向へ捻(ねじ)っていきます。
* これにより、相対的に上腕骨が肩関節で強く外旋されます。
肩の奥深くの前側が突っ張る感覚があれば正解です。

4. 【最重要】代償動作の抑制ポイント
* 肩甲骨の前傾・挙上:
ストレッチ感から逃げるために、肩がすくんだり、
肩甲骨が前に被さってきたりしがちです。
「肩を下げ、胸を張った状態をキープ」したまま行うよう強く指導します。
* 体幹の伸展・回旋:
腰を反ったり、体ごと回ってしまっては意味がありません。
体幹はまっすぐ保ち、純粋に肩関節での動きを引き出します。



まとめ:第2回のポイント
今回は、肩関節外転制限の改善、特に「90度以降の詰まり」や
「最終域の制限」を打破するための鍵として、「2ndポジション外旋」と
「前下方・胸郭組織」へのアプローチを深掘りしました。
【重要ポイントの整理】
* 外転運動には、肩甲上腕関節(GHJ)の適切な回旋と、
肩甲胸郭関節(STJ)(肩甲骨)の「上方回旋・後傾・外旋」の連動が不可欠。
* 2nd外旋制限の主因は、
肩甲上腕関節(GHJ)の前下方組織(肩甲下筋下部線維など)の短縮である。
これが突っ張り棒となり、骨頭の滑りを阻害する。
* 肩甲骨の動きをロックする最大の要因は、「小胸筋」の短縮による
「肩甲骨の前傾・内旋固定」である。
* アプローチの鉄則:
「まず土台(胸郭・小胸筋)を解放し、次に肩甲上腕関節(肩甲下筋)を伸ばす」。
「実践テクニック」
* 小胸筋ストレッチ:
肘を高く上げ、「肩甲骨を後傾させる」意識で行う。
* 胸郭エクササイズ:
ストレッチポールなどを利用し、重力で胸を開きながら肩甲骨の大きな動きを引き出す。
* 2nd外旋ストレッチ:
肩がすくんだり、肩甲骨が前に逃げたりする代償動作を徹底的に封じて行う。
「あと少し腕が上がりきらない」という症状に対し、
肩甲上腕関節(GHJ)ばかりを無理に動かそうとしていませんか?
一度立ち止まり、土台である肩甲骨が小胸筋によってロックされていないか、
胸郭の動きは十分か、そして2ndポジションでの
肩甲上腕関節(GHJ)前下方組織の柔軟性は保たれているかを評価してみてください。
急がば回れ。土台を丁寧に整えることが、結果的に
最も効率よく劇的な可動域改善をもたらす近道となるはずです。
次回は、シリーズ最終回。肩関節の動きの総仕上げとなる、
屈曲・外転最終域での制限因子、「3rdポジション内旋」と
「後方組織」へのアプローチについて深掘りしていきますので、
楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

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安部元隆
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安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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