足底腱膜炎の痛みを改善する「足部アーチエクササイズ」

こんにちは、GENRYUです(^^)
前回のブログでは、「足底腱膜炎」の病態と「足底腱膜炎」と「踵の痛み」の
発生機序について説明しました。
まだ、ご覧になっていない方は、先に前回のブログからご覧くださいませ。
さて今回は、その「足底腱膜炎」に効果的な対処法を説明していきますね。
今回ご紹介するのは、「アルフレッドソンプロトコル」というエクササイズになります。
「アルフレッドソンプロトコル」は、足底腱膜炎やアキレス腱炎などの
腱障害に対して効果的とされるエクササイズプログラムで、
特に腱の修復と強化を目的としたものです。
元々はスウェーデンの整形外科医であるHåkan Alfredsonによって、
アキレス腱炎の治療のために開発されましたが、その原理が足底腱膜炎にも
応用可能なことから注目されています。
このプロトコルは、単なるストレッチではなく、筋肉と腱に負荷をかける
「エキセントリック(遠心性収縮)運動」を中心としたアプローチが特徴です。
以下に、足底腱膜炎に対するアルフレッドソンプロトコルの概要とそのメカニズム、
医学的背景を詳しく説明します。
アルフレッドソンプロトコルとは?
アルフレッドソンプロトコルは、基本的にはアキレス腱を対象とした
エキセントリックトレーニングですが、足底腱膜炎にも応用される場合があります。
足底腱膜炎では、足底腱膜(かかとから足指の付け根までを結ぶ強靭な組織)が
過剰なストレスや微細な損傷によって炎症や変性を起こしている状態が特徴です。
アルフレッドソンプロトコルは、この腱組織に適度な負荷をかけることで、
修復プロセスを促進し、組織の強度と柔軟性を向上させることを目指します。
足底腱膜炎に適応する場合、通常はふくらはぎの筋肉(腓腹筋やヒラメ筋)と
足底腱膜に連動する動きを取り入れます。
これは、足底腱膜がアキレス腱と機能的に密接に関連しているためです。
具体的には、かかとを下げる動作を通じて腱に負荷をかけるエクササイズが中心となります。
アルフレッドソンプロトコルの基本的な手順
足底腱膜炎向けにアレンジされたアルフレッドソンプロトコルの一例を以下に示します
(アキレス腱版をベースに調整されています):
「準備 」
階段や段差(ステップ台など)の端に立ち、両足のつま先を段差に乗せ、
かかとを浮かせた状態にします。
姿勢を安定させるため、手すりや壁に軽く手を添えることが推奨されます。
「動作」
ステップ1(コンセントリックフェーズ): 両足を使ってつま先立ちになり、
かかとを段差より高く持ち上げます。この段階では、腓腹筋とヒラメ筋が収縮し、
足底腱膜にも軽い張力がかかります。
ステップ2(エキセントリックフェーズ): 痛みのある側の足に体重を移し、
ゆっくりとかかとを段差より下に下ろします。
この時、ふくらはぎの筋肉が伸ばされながら負荷を受け、足底腱膜にも
制御された伸張ストレスがかかります。
下ろす動作は約3〜5秒かけてゆっくり行うことが重要です。
「回数と頻度」
1セット15回を1日2〜3回(合計30〜45回)行います。
通常、6〜12週間の継続が推奨されます。
軽い痛み(VASスケールで2〜5程度)を感じる範囲で行うのが効果的とされており、
過度な痛みがあれば負荷を調整します。
「注意点」
動作中は膝を軽く曲げた状態(ヒラメ筋を強調)と伸ばした状態(腓腹筋を強調)の
両方を試し、どちらが効果的か調整します。
急激な動きや反動は避け、コントロールされた動作を心がけます。
「医学的根拠とメカニズム」
アルフレッドソンプロトコルの効果は、いくつかの医学論文や研究で裏付けられています。
以下にそのメカニズムを説明します:
①腱の再生と強化
エキセントリック運動は、腱組織に微細な損傷を与えつつ、
その修復を促すコラーゲン生成を刺激します。
Alfredson自身の研究(例: American Journal of Sports Medicine, 1998)では、
アキレス腱炎患者がこのプロトコルで痛みの軽減と機能回復を達成したことが
報告されています。
足底腱膜炎でも同様に、腱の変性部分が適切な負荷で再構築されると考えられています。
②血流の改善
足底腱膜炎では、慢性的な痛みが血流不足や組織の低酸素状態と関連している
ことがあります。
エキセントリック運動による筋ポンプ作用で血流が増加し、
炎症の解消や修復が促進されることが示唆されています。
(Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 2004)。
③神経因性疼痛の軽減
足底腱膜炎の痛みには神経因子の関与が指摘されており、
エキセントリック運動が周辺神経の圧迫や過敏性を緩和する可能性が議論されています
(British Journal of Sports Medicine, 2014)。
臨床研究の裏付け
足底腱膜炎に対する直接的なアルフレッドソンプロトコルの研究は、
アキレス腱ほど豊富ではありませんが、類似のエキセントリックトレーニングが
有効であることを示す論文があります。
たとえば、Rathleffら(Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2015)は、
足底腱膜炎患者に高負荷エクササイズを適用し、通常のストレッチよりも高い効果を確認しました。
一般的なストレッチとの違い
通常の足底腱膜炎向けストレッチ
(例: タオルを使った足指の背屈や壁を使ったふくらはぎ伸ばし)は、
筋肉や腱の柔軟性向上に重点を置きますが、アルフレッドソンプロトコルは
以下のような点で異なります:
①負荷の積極的付与: 単なる伸張ではなく、筋肉が伸びながら力を発揮する
エキセントリック収縮を活用。
治療的痛みの利用: 軽い痛みを伴う範囲での運動が腱の適応を促す。
②長期的な強化: 柔軟性だけでなく、腱の耐久性や強度を高めることを目的とする。
注意点と限界
初期段階での適用: 急性期(強い炎症や激痛がある場合)には適さず、
安静やアイシングが優先されます。プロトコルは「亜急性期以降」に効果的です。
個人差: 効果には個人差があり、扁平足やハイアーチなどの足の構造異常がある場合、
インソールや他の治療との併用が必要なこともあります。
専門家の指導: 初めて行う場合は、理学療法士や医師の指導を受け、
正しいフォームを確認することが推奨されます。
アルフレッドソンプロトコルは、足底腱膜炎に対して、ふくらはぎと足底腱膜に
エキセントリックな負荷をかけることで、腱の修復と強化を図るエクササイズです。
医学論文でもその有効性が支持されており、特に慢性化した症例や通常のストレッチで
改善が見られない場合に有効な選択肢となり得ます。
ぜひ、今回ご紹介した方法をゆっくり実践してみてくださいね(๑•̀ㅁ•́๑)✧
ただし、正しい実施方法とタイミングが重要であり、症状に応じた調整が必要です。
このエクササイズ中に痛みが出たり、痛みが改善しない場合は、
整形外科医の詳しい診察を受けて頂くことをオススメします。
少しでもお役に立て頂けば幸いです。
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)



