Mybestpro Members

安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

股関節を曲げると痛くて辛い...制限因子をしっかり突き止めることが大切(概論編)

安部元隆

安部元隆

テーマ:股関節痛



こんにちは、GENRYUです(^^)

股関節が曲げると痛くて曲がりづらい...
このお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか?
今回は、この問題の原因について深ぼっていきたいと思います。

股関節の正常可動域
股関節はどこまで曲がれば正常か、ご存知でしょうか?
規定では、125°曲がれば正常と言われています。
ただ、ここには落とし穴があり、ここを理解しておかいないと
股関節を強引に曲げようとして、かえって股関節周囲の組織を痛めてしまうケースがあります。
まず知っておいて頂きたいのが、
「股関節単体だけでは、正常可動域の125°は曲がらない」という事実です。
では、股関節単体だけではどのぐらい動けば良いのでしょうか?
文献では、70.4±9°といわれています。
ここからわかることは、股関節を曲げるという行為は、
股関節単体で動いているわけではなく、他の要素も加わっているということです。
では、他にどの要素が加わっているのでしょうか?
そこで大事になってくるのが、「骨盤+脊柱の動き」です。
ここまでの流れをまとめると、こういうことになります。
股関節の正常可動域=125°
(内訳)
・股関節単体の動き=約70°
・骨盤+脊柱の動き=約63°
つまり、股関節を曲げて痛むが出る場合、
股関節だけの問題ではなく、骨盤および脊柱の動きを見落としてしまうと、
いつまでたっても「痛みは改善しない」ということになります。


さらに紐解く股関節の問題
ここまでの流れはご理解頂いたでしょうか?
股関節を曲げて痛みや可動域制限がある場合、
・股関節単体の問題
・骨盤+脊柱の問題
この2つの視点から考えることがとても大切になってきます。
では、もう少しだけ深ぼっていきたいと思います。


股関節単体の問題
股関節屈曲(曲げる)時の制限因子についてまとめていきます。
より詳細な股関節屈曲制限因子について解説します。
1.関節包
①後方関節包
関節包は線維層と滑膜層の2層構造になっています。線維層はコラーゲン線維を豊富に含み、
 関節の安定性に寄与します。滑膜層は滑液を産生し、関節の摩擦を軽減します。
後方関節包は、特に深層部分が厚く、股関節の安定性に大きく貢献しています。
屈曲時には、後方関節包の下部線維が最も緊張するとされています。
関節包の硬さは、線維芽細胞によるコラーゲン線維の産生と
 分解のバランスによって決まります。炎症や不動状態が続くと、このバランスが崩れ、
 関節包が硬くなりやすいです。


2.筋肉
①大殿筋
股関節の最も強力な伸展筋です。
上部線維は外転、下部線維は内転にも作用します。
屈曲時には、大殿筋全体が伸張されますが、特に下部線維の柔軟性低下が制限因子となりやすいです。
大殿筋の柔軟性低下は、骨盤後傾を招き、腰椎の負担を増加させる可能性があります。
②ハムストリングス
膝関節を伸展した状態での股関節屈曲(SLRなど)では、
  ハムストリングスが強く伸張され、制限因子となります。
③中殿筋・小殿筋(後部線維)
中殿筋と小殿筋は、主に股関節の外転に作用しますが、前部線維は内旋、
 後部線維は外旋にも作用します。
屈曲時には、後部線維が伸張され、制限因子となることがあります。
④梨状筋
仙骨前面から大転子に付着する深層外旋六筋の一つです。
坐骨神経の走行に影響を与えることがあり、梨状筋症候群の原因となることがあります。
股関節屈曲・内旋位で梨状筋が硬いと、坐骨神経を圧迫し、下肢への放散痛を
 引き起こすことがあります。


3.神経
坐骨神経、大腿神経、閉鎖神経などが股関節周囲を走行しています。
これらの神経が圧迫されたり、滑走性が低下したりすると、股関節の動きに
  制限が生じることがあります。
神経の滑走性低下は、筋膜の硬さや癒着などが原因で起こることがあります。





4.皮膚
股関節後面の皮膚は、屈曲時に大きく伸張されます。
  逆に股関節前面の皮膚は、屈曲時にしっかり縮む必要があります。


骨盤+脊柱の制限因子
股関節屈曲には、骨盤の後傾が必要です。
骨盤後傾の制限因子をみていきましょう。
1.筋肉
①股関節屈筋群(腸腰筋、大腿直筋など)の短縮・硬さ
腸腰筋は腰椎および腸骨(骨盤の一部)から大腿骨(太ももの骨)に付着します。
 この筋肉が硬くなると、大腿骨を前方に引き上げると同時に、
 腰椎を前方に引っ張る(前弯を増強する)作用と、骨盤を前傾させる作用があります。
 したがって、腸腰筋の短縮・硬化は、骨盤前傾を強める方向に作用します。
 しかし、多くの場合、腸腰筋の短縮は、大腿直筋など他の股関節屈筋群の短縮と同時に起こりやすく、
 結果として腰椎の過剰な前弯と骨盤の前傾を引き起こします。
 大腿直筋は、下前腸骨棘(骨盤の前側)から脛骨(膝下)に付着します。
 この筋肉が硬くなると、股関節の屈曲(太ももを上げる)と
 膝関節の伸展(膝を伸ばす)の作用があります。
 大腿直筋の短縮・硬化は、骨盤を前傾させる方向に作用します。 
 これらは、長時間の座位姿勢や、股関節を深く曲げる動作の不足などが原因で、
 股関節屈筋群(腸腰筋、大腿直筋など)が短縮・硬化すると、骨盤が過度に前傾し、
 腰椎の過剰な前弯を引き起こすことがあります。この状態が続くと、
 身体はバランスを取ろうとして、腰椎を後弯させ(腰を丸め)、骨盤を後傾させることで
 代償しようとします。
 この結果、股関節屈筋群の短縮が、間接的に骨盤後傾の原因となることがあります。



②多裂筋の柔軟性低下
多裂筋は、仙骨、腰椎、胸椎、頸椎の棘突起から起こり、2~4椎骨上方の棘突起に停止します。
 主な作用は、脊椎の伸展(反らす)、側屈(横に曲げる)、回旋(ねじる) です。
 両側の多裂筋が同時に収縮すると、脊椎を伸展させ、腰椎の前弯を増強します。
 片側の多裂筋が収縮すると、脊椎を同側に側屈させ、反対側に回旋させます。
 多裂筋が短縮すると、以下のメカニズムで骨盤前傾が起こりやすくなります。
 腰椎前弯の増強: 多裂筋は腰椎の棘突起に付着しているため、短縮すると腰椎を前方に引っ張り、
 前弯を増強します。腰椎の前弯が増強すると、それに伴って骨盤も前傾します。
 仙骨の動き: 多裂筋の一部は仙骨にも付着しているため、多裂筋の短縮は
 仙骨を前傾(ニューテーション)させる方向に作用します。
 仙骨の前傾は、骨盤全体の前傾を引き起こします。


これらの制限因子は、単独で存在するだけでなく、複合的に関与している場合がほとんどです。
制限因子を特定し、それに応じた適切な治療介入を行うことが重要です。
問題は痛みが出ている場所を揉むだけでは解決しないので、
全体像をしっかり捉え考えていく必要があります!

次回からこれらの具体的な改善方法をご紹介していきますので、
楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅁ•́๑)✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

整体とトレーニングによる美容とアンチエイジングのプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大分
  3. 大分の美容・健康
  4. 大分のマッサージ
  5. 安部元隆
  6. コラム一覧
  7. 股関節を曲げると痛くて辛い...制限因子をしっかり突き止めることが大切(概論編)

安部元隆プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼