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安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

結帯動作(背中に手が回すなど)はなぜ出来なくなってしまうのか?(概論編)

安部元隆

安部元隆

テーマ:肩痛



こんにちは、GENRYUです(^^)

肩に痛みが生じている方々の問題として、
手が挙がらずに生活に支障をきたす挙上動作(服の着脱、洗髪・洗顔、物を取るなど)が
制限されるケースが多い一方、
「結帯動作(背中に手を回す動作で、着物の帯を結ぶ動作や下着の着脱、
ズボンの後ろポケットに物を入れる動作など)」にも問題が生じている方が非常に多いです。
さらに、挙上動作は改善してきても、「結帯動作」だけが出来ず、
肩が拘縮(固まって)しまっている方が非常に多く見受けられます。
そこで今回、この「結帯動作」に焦点を当て、
なぜ「結帯動作」ができなくなってしまうのか?という問題を
深堀りしていこうと思います。


「結帯動作」を制限させてしまう疾患
「結帯動作」は肩関節周囲炎、凍結肩、変形性肩関節症、腱板断裂性関節症、
腱板断裂など様々な疾患でみられる制限の一つです。
結帯動作の制限が生じると、肩関節の動かしづらさや疼痛、仕事やスポーツなどの動作、
日常生活にも悪影響を及ぼすことが報告されています。
では、よく制限されてしまう結帯動作にはどのようなものがあるのでしょうか?
「結帯動作」の具体例
 ・後ろのポケットから物を取り出す、ポケットに手を入れる
 ・服を着る、服を脱ぐ
 ・ブラジャーの着脱
 ・背中をかく
 ・背中を洗う 
なかでもブラジャーの着脱は母指の先が背骨(胸椎の7~8以上)まで到達しないと
余裕をもってその動作が行うことができないと報告されています。


「結帯動作の分解」
結帯動作は以下の主要な動きから構成されます:
「肩甲上腕関節」
伸展(肩を後ろに引く)
内旋(肩を内側にねじる)
内転または外転(肩を内側、外側に動かす)


「肩甲骨」
前傾(肩甲骨を前方に倒す)
下方回旋(右肩甲骨:時計周りに下向きに回転する動き)
    (左肩甲骨:反時計周りに下向きに回転する動き)


さらに、結帯動作には動作パターンが2つ存在します:
・内転パターン:肩関節を内転させて手を上方に挙げる
・外転パターン:肩関節を外転させて手を上方に挙げる
これらの動作は脊柱や肩甲帯の動きに依存し、
特に第12胸椎(Th12)より上の動きを出すためには、「肩甲骨の動き」が重要となります。
これだけの動きが一つ一つ出来ないと、「結帯動作」が出来ません。
単に背中に手を回すという動きは、このような細かい運動の組み合わせで成り立ちます。


「結帯動作ができなくなる要因とは?」
肩関節は人体で最も可動域の広い関節の一つであり、複数の方向への動きが可能です。
この複雑さゆえに、多くの筋肉、靭帯、関節包が関与し、それぞれが動作の制限因子となり得ます。
例えば、デスクワークや長時間のスマホ使用により日常的に肩を使わない可動域が出てくると、
その部分が固くなってしまい、制限因子になってしまいます。
結帯動作が制限される主な因子をピックアップしていきます。
1. 筋肉の硬さと拘縮
 関節の動きを支える筋肉が硬くなったり拘縮すると、可動域が制限されます。
 特に肩関節では、棘下筋、烏口腕筋、小円筋などが結帯動作に関与しており、
 これらの筋肉の硬直や拘縮が動作を制限します。
 また、筋スパズムも動作の自由度を低下させる要因となります。
・棘下筋
 伸展および内旋時に伸張されるため、棘下筋の硬さや拘縮が動作を制限します。
・烏口腕筋
 伸展および内旋時に伸張されるため、烏口腕筋の硬さも制限因子となります。
・小円筋
 内旋時に伸張されるため、小円筋の硬さが結帯動作の制限に寄与します。



2. 関節包の拘縮
 関節包が硬化したり癒着することで、関節の動きが制限されます。
 肩関節では後下方関節包の拘縮が内旋や伸展の可動域を狭め、
 結帯動作の困難さを引き起こします。
・後下方関節包
 肩甲上腕関節の後下方関節包の拘縮が内旋可動域を制限し、結帯動作を困難にします。


3. 肩甲骨の動きの制限
・肩甲骨の前傾や下方回旋の動き
 これが制限されると、結帯動作全体の可動域が狭まり、動作が困難になります。
 また、肩関節の伸展や内旋がスムーズに行えなくなります。
 僧帽筋や前鋸筋の機能不全も肩甲骨の動きに影響を与え、結果として結帯動作が制限されます。


4. 神経的要素
・神経系の障害や圧迫も動作の制限因子となります。
 肩関節周囲の筋肉が神経によって制御されているため、
 神経の滑走障害や圧迫が疼痛を引き起こし、動作を制限することがあります。


5.靭帯の影響
・肩周囲の靭帯の影響
 肩周囲の靭帯、特に烏口上腕靭帯は、結帯動作の制限因子として重要な役割を果たします。
 烏口上腕靭帯は肩関節の安定性を保つために重要な靭帯であり、
 その緊張や拘縮が肩の伸展動作を制限することがあります。



「まとめ」
制限因子が多く生じる原因は、肩関節の複雑な構造と多方向の動き、
筋肉や関節包・靭帯の硬さ・拘縮、肩甲骨の動きの制限、神経的要素、
そして炎症や慢性的な負荷など、複数の要因が相互に影響し合っているためです。
これらの因子が複合的に作用することで、肩関節の可動域が制限され、
日常生活における結帯動作が困難になるのです。

今回は、このようになぜ「結帯動作」が制限されてしまうのか?について
深堀りしてきました。
次回は、その具体的な対策を解説していこうと思いますので、
楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅁ•́๑)✧

それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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