こんな方をなくしたい!なぜ、私の痛みは治らないの?
こんにちは、GENRYUです(^^)
前回に引き続き、脳ってどんな働きをしているの?「大脳」の「大脳基底核」編
こちらのテーマでお届けします。
前回のコラムでは、「大脳」の3つの分類である
「大脳皮質」「大脳髄質」「大脳基底核」の中の「大脳髄質」について特徴をまとめました。
「大脳髄質」を一言でいうと、「脳の中の高速道路」の役割でしたよね!
ここまではOkでしょうか?
それでは今回は、いよいよ「大脳」の最後、
「大脳基底核」の働きについて深ぼっていきたいと思います。
ボリュームが多いですから、しっかりついてきてくださいね!
■大脳基底核の分類
「大脳基底核」は大脳の深い場所にあり
「被殻」「尾状核」「視床下核」「淡蒼球」「黒質」から構成されています。
これらは運動調節、認知機能、感情、動機づけ、学習など多岐にわたる機能を司っていて、
メッチャ大切な役割を果たしています。
「脳の教科書から引用」
■大脳基底核の主な役割
大脳基底核は、大脳皮質から運動情報を受け取り、視床という場所を介して
大部分の情報を大脳皮質にある運動野に戻して
自分で意識して行う運動(随意的運動)をスムーズに行うために、
「筋緊張」や「姿勢」など、「意識にのぼらない運動のコントロール」に
寄与してくれています。
また、「運動学習」や「眼球運動」にも関わっているんです。
■主な構成部分と役割
大脳基底核は、以下の重要な部分で構成されています:
1.線条体(せんじょうたい)(尾状核と被殻で構成)
線条体は大脳基底核の主要な構成要素で、被殻と尾状核から構成されます。
運動の調節、姿勢の維持、筋肉の緊張調整に関与しながら、
意思決定や報酬予測にも重要な役割を果たします。
①運動制御
歩行と姿勢の維持: 線条体は、歩くときの歩幅や速度、そして姿勢を保持する能力に寄与します。
例えば、階段を上る、走る、またはバランスを取る動作。
手の動き: 物をつかむ、食事をする、書く、タイピングするなどの精密な手の動き。
②運動学習
新しいスキルの習得: 自転車に乗る、ダンスを学ぶ、あるいは新しいスポーツを始める。
これらのスキルは線条体を通じて強化される手続き的記憶によって習得されます。
反復的な行動の改善: 例えば、楽器の練習や職業上の手技の向上。
③認知機能
習慣の形成: 毎日のルーチン、例えば朝の歯磨きや通勤ルートの自動化。
注意の焦点化: 仕事や勉強中に特定のタスクに集中する能力。
④感情と動機付け
報酬の追求: ゲームやソーシャルメディアを使うときの快感や満足感。
線条体、特に腹側線条体は報酬系の一部として機能します。
感情の調整: 怒りや喜びなどの感情反応を調節し、社会的な相互作用を助ける。
⑤眼球運動
視線移動: 読書中にページを読むための眼球運動や、車の運転中に交通状況を監視する。
⑥行動の自動化と抑制
行動の開始と停止: 必要なときに行動を開始したり、
適切でない行動を抑制したりする能力。
例えば、こぼれそうな液体を見つけて手を伸ばす動作や、衝動的な行動を抑えること。
⑦意思決定
選択と評価: 日常生活での選択、例えば何を食べるか、
どの映画を見るかといった決定に影響を与えます。
これには報酬やリスクの評価が含まれます。
2.淡蒼球(たんそうきゅう)
淡蒼球は、大脳基底核の出力部として機能し、運動の開始と停止を調節します。
また、ドーパミンを線条体に送ることで興奮を抑制し、視床への出力を調整します。
①運動の開始と停止
歩行の制御: 淡蒼球は歩き始めることや、停止することを助けます。
例えば、信号が青に変わったときに歩き始めたり、赤に変わったときに立ち止まる。
動作の抑制: 不必要な動きを止める能力。
例えば、何かをこぼさないように手を止める、または衝動的な行動を抑制する。
②運動の調整
姿勢の維持: 立っているときや座っているときのバランスを保つ。
例えば、電車の中で揺れに合わせて姿勢を調整する。
筋肉の緊張と緩和: 筋肉の緊張を適切にコントロールすることで、滑らかで効率的な運動を可能にします。例えば、物を持ち上げるときの手の力加減。
③眼球運動
視線の移動: 本を読むときや運転中に視線を移動させる精密な動き。
淡蒼球は視線がどのように移動するかを制御するのに重要です。
④手の動き
精密な作業: 書き物、食事の際のフォークやスプーンの使用、
ボタンをかけるなど、細かい手の動きを調整します。
大まかな動作: 物を投げる、掃除をするといった大規模な動作でも淡蒼球の役割があります。
⑤運動学習とスキル
スキルの強化: 例えば、料理の技術やスポーツの動きを練習し、
改善するプロセスに淡蒼球は関与します。
⑥感情と行動
感情の調整: 淡蒼球の一部は、感情の表現や制御にも間接的に関与していると考えられています。
例えば、ストレスや怒りの際に運動を制御することで、身体的な反応を調整します。
3.黒質(こくしつ)
黒質はドーパミンを産生し、線条体に供給することで運動機能の調整に寄与します。
黒質はドーパミンを生成する神経細胞を含み、これが運動の開始、流暢さ、
および精密さに大きく影響します。
①運動の開始
歩行の開始: 歩き始めるための最初の一歩を踏み出す能力。
例えば、ベッドから起きて歩き出すとき。
動作の発動: 椅子から立ち上がる、ドアを開けるといった動作を始める。
②運動の流暢さと速度
歩行のリズム: 通常のペースで歩くこと、または急いで歩くことを可能にします。
手の動きのスムーズさ: 文字を書く、食事をする、物を掴むなど、手の細かい動きを滑らかに行う。
③姿勢とバランスの維持
姿勢の調整: 立っているときや座っているときの体のバランスを保つ。
例えば、バスや電車の中での揺れに反応して姿勢を保つ。
運動の精密さ: 物を精密に操作する能力。例えば、料理の際にナイフを使う。
④運動学習
新しいスキルの学習: 自転車に乗る、楽器を演奏する、スポーツを始めるなどの
新しい身体的なスキルを習得する際、黒質のドーパミン系が学習プロセスをサポートします。
⑤感情と動機付け
報酬と快感: 黒質の一部は、特に腹側被蓋野から来るドーパミン神経が、報酬系に関連します。
例えば、ゲームで何かを達成したときの喜びや、贈り物をもらったときの幸せ感。
動機付け: 目標達成や報酬への動機付けを高める。例えば、仕事のタスクを完了する意欲。
「病理と日常生活への影響」
パーキンソン病: 黒質のドーパミン産生神経の喪失が主な原因で、
運動の開始が困難になり、震えや筋肉の硬直(筋強剛)、動作の遅さ(徐動)などが生じます。これにより、例えば歩くこと、着替えること、食事をすることが難しくなります。
運動意欲の低下: 黒質の機能が低下すると、行動を開始する意欲や動機付けが減少することがあります。
4.視床下核(ししょうかかく)
視床下核は脳の視床下部に位置し、体内の恒常性(ホメオスタシス)の維持、
感情、行動、食欲、睡眠、性行動など、さまざまな生理機能と関連しています。
①食欲と食事
食欲の調整: 視床下核は満腹感を感じるときや空腹を感じるときに働き、
食事のタイミングや量を制御します。
例えば、昼食の時間に腹が減ったと感じるのは視床下核の活動によるものです。
食事行動の開始と停止: 食事を始めるきっかけや、
十分に食べたと感じて食事をやめるタイミングも視床下核が関与します。
②体温調節
冷房や暖房の使用: 寒いときに上着を着る、暑いときにエアコンを付けるといった行動は、
視床下核が体温調節のために促します。
③睡眠・覚醒サイクル
睡眠の誘導: 夜になると眠くなるのは、視床下核にある睡眠を促進するニューロンが活性化するため。
逆に、朝起きるのも視床下核の影響下で起きる覚醒プロセスの一部です。
昼夜リズム: 視床下核は体内時計(概日リズム)の中心として、
日中のアクティビティと夜間の休息のバランスを保つ。
④感情とストレス反応
ストレスへの反応: ストレスを感じたときの身体的な反応
(例えば、心拍数の増加や発汗)は、視床下核がホルモン分泌を制御することで引き起こされます。
感情の調整: 視床下核は感情の表現や制御にも関与し、
例えば強い喜びや怒りを感じたときの反応に影響を与えます。
⑤性行動と生殖
性欲: 性行為に興味を持つ、またはそれを避ける行動は、
視床下核を通じて調節されるホルモンによって影響を受けます。
生殖行動: 繁殖活動や母性行動も視床下核がコントロールするホルモン分泌に依存しています。
⑥水分摂取
水分補給: 口が渇いて水を飲む行動は、視床下核が体内の水分バランスを監視して促します。
⑦行動の動機付け
報酬と動機付け: 視床下核の一部は報酬系に関連しており、
日常生活での目標達成や快楽を追求する行動に影響を与えます。
【まとめ】
大脳基底核は、僕たちの日常生活のあらゆる場面で活躍する「脳の中のスーパーコントローラー」です。
運動制御、学習能力、感情表現など、多岐にわたる機能を持つこの重要な構造があるからこそ、
僕たちは複雑な動作や新しい技能の習得、感情のコントロールを行うことができます。
日々の生活の中で、意識的に新しいことにチャレンジしたり、
運動を取り入れたりすることで、この素晴らしい脳の機能を維持・向上させることができます。
僕たちの脳の中で、黙々と重要な仕事をこなしている大脳基底核。
その存在を理解すること、いかがだってでしょうか?
普段、何気ない日常生活や行動を送れることの中には、
この「大脳基底核」がしっかり関与してくれていたんだと気づいて頂けたのではないでしょうか!
では、次回のコラムでまた一緒に「脳」のことを勉強していきましょう(*^^*)