始期付解約権留保付労働契約とは 社会保険労務士の腕の見せ所
『新入社員が単位不足で卒業できなかった』ということで、
どのように対応するか、悩んでいる人事担当者もいることと思います。
毎年、この時期に弊社には必ずある相談ですが、今年は、昨年より
も多く、弊社にも3倍くらいの相談がありました。
今回のような相談内容に対して、絶対にこれが正しいという答えはありません。
その会社が、中小企業か大企業か? ベンチャー企業か歴史ある企業か?
会社の体質や人材に対しての考え方などをふまえて、私のほうでもアドバイス
しますが、会社としてどうしたいのかということを大切にすべきです。
もちろん過去の社内での事例があればそれが基準にはなりますが、卒業できない
理由の詳細も確認しないといけません。
単純に単位の不足? 不足する単位はいくつ?卒業できるのはいつ?
学校にはどのくらい行かなければならない?などなど。
会社も本人の希望を確認しないといけません。
あとは会社の意向もふまえて、さまざまな角度から、専門家として話をしますが、
法律だけではないことも多く、やはり過去の経験からの話をすると説得力を増すことができます。
その会社の現状にあわせたベストな答えを導かなければなりませんので、ちょっとした難しい因数分解
のようではありますが、ゼロベースで考える、そもそも新卒社員採用方針の根底にあるもの
を忘れないようにしないといけません。お客様の会社のためにどのようにするのがいいのかを
その会社の社員以上に本気で真剣に考えないといけないわけです。
いずれにしてもまずは雇うか雇わないかということを決める。
まず大原則ではありますが、卒業できないということであれば
入社要件を満たさないわけですから当然に採用しないというのは、
大手企業であれば当たり前のことですし、内定取り消しというより、
本人から辞退してくることもあります。
本人が入社希望するのであれば、9月で卒業できるなら
9月まで待って9月から正社員採用するというのも1つの方法です。
それでは他の新入社員とのバランス、4月入社のサイクルが
崩れて研修などが組みにくいなどの問題もあるとすれば来年の4月
に無条件(再度入社試験なし)で入社させるという選択肢もあります。
9月に卒業できるのであれば、そのタイミングで雇うけど
それまでは、アルバイト勤務(時給)というのも1つの方法です。
そうはいっても9月に卒業できないかもしれないですし
将来のことは約束できない(現に3月卒業出来る予定
が単位不足で卒業できなかったという事実があるわけですから)
し、そのあたりの条件も含めた有期契約を結ぶというのも1つの方法です。
厳しい方だと、単位がとれないような人は自己管理ができていないというか
努力ができないわけですから、今後の仕事ぶりも想定できるし、会社に
迷惑をかけるような人は、採用しないとはっきりおっしゃる人もいるようです。
もちろん、正社員としてそのまま受け入れて、基本給を少し下げておく、
あるいは授業を受けに行った分については欠勤控除する
ということでも大丈夫です。
あとは現場に配属された際に、学校に行くので欠勤があることを前提に
温かく受け入れてもらえることも大切で、人事評価もそのことは除いて
判断しないと本人のモチベーションにも影響がありますので頭に
入れないといけません。
学校に行くのはわかっていても現場のリーダーは、頭の中で整理できない
ことも多いようで、きつくあたったりすることもあります。現場に対して
人事からも根回しというかお願いを忘れないことです。
大卒であることを新卒社員の要件にしている会社であれば、卒業できていない
わけですから、本来は正社員雇用はできないはずです。仮に雇ったとしても
初任給なども高卒扱いとして取り扱わないといけないでしょうし、公平性に
欠けるということで会社の方針のブレを嫌う人たちも組織の中には
たくさんいるので慎重に決定すべきです。
給与面(時給、月給、そして契約社員、アルバイトなどの身分の問題、
位置づけそして他の新入社員とのバランスも大切です。
社内で悪しき慣習を一度設けることも良くないと判断する人もいますし、
他の同期にも影響があるので不採用と判断し、来年また同じように応募して
受けていただくということも考えられます。(こういう意思決定をする経営幹部も
過去にはいました)
とにかく会社側の意向というのはある程度決まっているとはいってもさまざまな視点
でのアドバイスをすることがこの仕事の難しさです。意思決定の参考になる話を
するわけですから責任重大です。
法律面だけではない、常識的な考え方や今後の企業経営、
現状の組織や職場の風土などを常に考えていないといけないですし
2、3年前のインターネットに書かれていることなど時代の変化から
考えれば決して今の時代にはあわない、またその人の思い込みによる
少ない経験からの解説など参考にならないことも多いです。
だからこそ、私もいろいろな経験をお客様から学ばせていただき
それを1つ1つ分析して、どういう決定をされたのかということも含めて
企業側のトレンドや考え方の変化も学ぶことができるので、それが次回以降に
活かすことができます。
お客様には日々感謝です。
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