雇用保険の喪失理由 役員就任の場合
10月1日の北海道新聞によると、北大がハローワークに期限内に離職証明書を交付しなかったため失業給付が受けられなかったとして、北大の研究施設に契約職員として勤務していた女性(28)が30日、同大に約70万円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴したとのこと。
会社都合で雇い止めをして、なおかつ期限内に離職票を出せなかったということで受けられるはずの失業給付等が受けられなかったので、損害賠償を約70万円を請求したということのようです。
このような事務の怠慢などにより不利益を被ることはよくあることです。離職票は、退職して10日以内にハローワークに事業主が提出しなければならないのですが、おそらくその期限から大幅に遅れて、本人へ交付したのでしょう。そうしたところ再就職手当など24日分の給付が受けられなかったということでの提訴だと思います。
さて、記者会見した女性は「北大側の都合で自分を雇い止めにした上、離職証明書を期限内に出さなかったのは納得がいかない」というコメントをしています。雇い止めに対しては相当大きな不満があったものと思いますが、このような事案でも損害賠償される時代になったということを強く意識しておこうと思います。
社内の社会保険の担当をしていても、手続がまったくわかっていないのにその仕事をやらされてよくわからないまま仕事をしている中小企業はよくあります。誰も知っている人がいないのに、社内で業務をしようとするには少し無理があります。
また給与計算でも同じことで、社長が誰でもできると思い込んでやらせているのはいいのですが、まったく経験のない方が、源泉所得税や社会保険料や欠勤控除や割増賃金のことなどを完璧に理解するのは時間がかかります。
従業員から支給額が違うとクレームがきたり、社会保険料の等級が違うなどのクレームがくるようでは、問題です。そうなると会社に信用などありませんし、結果的に退職者の増加にもつながってしまいます。
あとは最近の事例だと育児関連の給付金の実務は、申請自体を忘れてしまっていて、給付金がもらえなくなって従業員からその同じ金額の補填を会社にするようにいわれるケースもあります。
従業員もインターネットなどを活用し、失業手当の受給の手続などには詳しくなっていますので会社の担当者も失業後の流れや再就職手当などについては要件も含めて勉強しておいたほうがよいでしょう。