心の疾患「会社に配慮義務」 最高裁「社員の申告なくとも」
メンタルヘルスの不調により、うつ病等の精神疾患にかかり現在治療中の人は、増加し2008年の厚生労働省の調査では104万人ともいわれており、社会問題にもなっていますが、企業にとっても経営に影響を与えかねない重要な問題でもあります。
大手企業はEAP機関を利用したり、産業医の常駐やカウンセリング室の設置などでこれまで対応してきていますが、やはり中小企業ではその対応に苦労しているのが現状です。
そして最近頭を悩ませているのが、このうつ病の傾向が変わってきていることです。一生懸命働いた結果心身ともに完全に消耗してしまう従来のうつ病のタイプではない、「新型うつ」といわれる人の割合が増えていることです。
その特徴としては特に若者に多く、仕事中だけうつで、帰宅後や休日は普段通り活発に活動しているという特徴があります。学問的には決まった名前はないようですが、やはり専門家は、ストレス耐性の弱さや人格の未成熟などに原因があるとみているようです。
会社を病気で休んで休職しているのにその最中に海外旅行に行っていることもあり、企業の担当者としては怒り半分でどう取り扱っていいかもわからない状態です。
先日あった質問では、
「海外旅行へ行かせることを休職期間中は制限できますか?」とか「あまりにも上司に対して自分勝手な幼稚な発言をするので、賃金を3割ぐらい減給してもいいですか?」などといったものもあります。
「新型うつ」は、通常のうつ病とはまったく違う特徴をもっているので、事前にこういうものなんだと知っておくことで、冷静な判断をし、無駄な労使トラブル(解雇や休職関連など)を防ぐ事ができます。
大体問題になるパターンは、強く叱責して、翌日から出社しなくなり連絡がとれなくなるというパターンです。心当たりがある方も多いと思いますが、慎重な対応が必要です。
やはりここでも労働契約書や就業規則の整備ができているかがポイントになってくるわけですが、企業側がこのような傾向の人が増えているということを良く理解しておくことがまずは、メンタルヘルス対策のはじめの1歩です。メンタルヘルス対策については、今後もコラムを書いていきたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いいたします。