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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

近未来のキッチン

2018年10月5日 公開 / 2018年10月16日更新

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物


コンロが無くなる

近未来とは既知の技術で、人々が発想さえ変えれば、実現できる世界です。
流し台やコンロ台がシステムキッチンに代わってから40年ほどが経過しようとしています。流し台・コンロ台とセパレートタイプの厨房機器が一般的だった時代に、システムキッチンは画期的でした。隙間にゴミが詰まらない等々のメリットはありましたが、調理する事自体の基本的な作業は何も変わりません。流し台・コンロ台を並べていても、出来る料理は同じです。
近未来は調理方法が変わります。今の食生活を考えても、調理に手間を掛けるのは夕飯くらいで、朝昼は殆どシステムキッチンを使いません。使ったとしてもお皿を洗ったり、沸かしものをするくらいです。取り立てて調理を行う事はありません。コンロよりも電子レンジの方が活躍しています。
これは、レトルト食品が多種多用に分化し、年々売上高を伸ばしている事からも推察出来ます。このまま、この状態が進行して行けば、平日の夕飯もレトルト食品で済ます時代がやって来ます。手料理を作るのは、日曜日の夕飯だけとか、趣味の領域に移行していくでしょう。
そうなれば、煮炊きするコンロは不要になり、湯沸かしはポット、温めは電子レンジが取って変わります。システムキッチンのコンロは、ガスコンロもIHヒーターも3口が主流ですが、IHヒーターの1口に縮小し、余ったスペースに電子レンジが納まる様になります。将来の調理の主役は電子レンジになります。

専用冷凍庫が出来る

レトルト食品も、保存が利くメリットを最大限利用して、より安く、より多様化して行くでしょう。
現在の冷凍庫は冷蔵庫のオマケの様な存在ですが、これからは冷蔵庫と分離して専用の冷凍庫が出来るでしょう。
もしかしたら、冷凍庫と電子レンジが一体になってシステムキッチンの中に組み込まれるかもしれません。
電子レンジ・冷凍庫・食洗器がシステムキッチンの多くを占め、コンロ・流し台は隅っこに追いやられます。
また、様々な調理器具がシステムキッチンと一体化して行くでしょう。炊飯器やトースター、ジューサー・ミキサー、等々です。
食洗器はだた食器を洗うに留まらず、食器を収納する場所に変化します。その為既製のカップボードは無くなっていくでしょう。
昔の食生活は食卓まで、御櫃や魔法瓶を運んでいました。これも食生活の変化やダイエットの影響からか、御櫃を食卓まで運ぶ習慣が無くなりました。逆にパントリーの無いキッチンでは保管場所に困り、ただでさえ狭い調理台の上を占拠する結果となっています。
結果キッチンをすっきりさせようと考えると、無用の長物となりつつあるシステムキッチンを活性化する為、炊飯器やポットはキッチンに組み込まれてしまうのです。

その気になれば、全て既知の技術で出来るお話しです。人々の意識が現状の閉塞感に甘んじるか、変革を求め新しいモノに魅力を見い出せるかで、未来の姿は変わっていきます。
現状ではあり得ないキッチンの様子ですが、社会の流れを客観的に眺めていれば、前述した様なキッチンの未来像が見えて来ます。

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