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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

近未来のリフォーム(増築編)

2018年10月12日 公開 / 2018年10月16日更新

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 畳 掃除畳 張り替え

広くするだけでは快適にならない

近未来とは、既知の技術で、人々の意識を変えるだけで、実現する世界です。人々は慣習や思い込みで、従来通りと云う呪縛から抜けられないでいます。

この様な家に住んでいたとします。部屋はそこそこ広いのですが、部屋が片付きません。この問題を手軽に解消しようと思えば、収納ケースなり、収納棚なり家具を買ってきて、そこに整理して収納する事です。多くの家はそうされていると思います。
ただそれにも限界があります。家具に収納するのも限界がありますから、一杯になれば、また新たな家具を求める様になります。こうして、部屋の中の壁面いっぱいに家具が並べられるようになって行きます。最初に買った家具の中にあるはずのモノでも、探すのが面倒で、同じものと何度も買ったりする事もあります。
すなわち、家具の中にあるモノは、頻繁に使うモノは別として、仕舞いっ放しで後は忘れられて行くモノを収納する、云ってしまえば、体裁の良いゴミ箱と化していきます。そんなゴミ箱が許容量に達しますと、「リビングが狭い!」となり、増築されて行くのです。
誰もが思いつくのは、下の様な増築です。

完成した当初は、スペースが広がったのだから満足です。しかしこれも時間の問題で、発想を変えなければ、その後も際限なくモノは増え続けます。そのうち家具がまた増えだします。溢れかえる、使いもしない荷物の中にリビングは埋没していきます。
この状態は、増築する以前にも増して、住環境が悪くなる事を意味します。リビングを広くしたつもりが、単にゴミ箱の容量を大きくしたにすぎず、且つ部屋が大きくなった分、部屋の中でも暗い部分が生まれます。これではとても良い住環境とは言えません。
増築の時に何を間違えたのでしょうか。

リビングが狭いのだから、リビングを増築したいと云う気持ちはよく分かります。でも、これが思い込みなのです。
「リビングが狭くても、モノを置かなければ、広いじゃないか。」と発想を切り替えるべきなのです。増築しなければならないのは、リビングではなく収納スペースなのです。増築した際に、暗い場所になってしまうであろう処を、収納スペースにすればよいのです。収納スペース全体に棚を設け、探さなくても見るだけで、どこに何があるか、把握できる様にすれば、同じものを二度三度買う無駄も無くなります。
リビングは狭くても、モノを置かなければ快適です。御殿と呼ばれる家を建てた、大物歌手が一番心が落ち着くと好んで生活したのが、四畳半の茶の間だったという話は有名です。リビングは広くても居心地の悪いリビングもあるのです。

増築する時は、単にリビングを広げるのではなく、何故広いリビングが必要なのか、自問してみましょう。殆どがリビングに家具が溢れているからと云う結論になるはずです。
増築するのはリビングではなく、収納スペースを増築しましょう。少し発想を変えるだけで、近未来が見えて来ます。

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