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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

作業服を着た営業マン

2013年3月25日 公開 / 2018年2月13日更新

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

昨日自宅にいるとドアホンがなり応対に出てみると作業服を着た人が立っています。
用件を伺うと、ご近所で外壁の塗り替え工事をしている者だが、お宅の外壁は酷いと言う。どこがどう酷いのだと尋ねると、全てが悪くもう耐用年数が来ているから、今のうちに塗り替え工事をしないと、大変な事になりますと言う。

これが、かの有名な飛び込み営業かと思いつつ、人には聞いていたが応対するのは初めてなので、どんな営業をするのか観察することに。

地元中心に外壁塗装の仕事を何十年としているが、これほど傷んでいる家は無いそうで、窓下隅の汚れを指して、これが内部に水が廻っている証拠だと言う。放っておけばどうなるのか尋ねると、中の木が腐ってきて兎に角、直ちに塗装し直さないと大変な事になるのだそうだ。具体的にどう大変になるか聞くと、地震が来たら直ぐに潰れると言う。
外壁を塗るだけで地震が来ても潰れなくなるのかと聞くと、曖昧な返事しか返してこない。兎に角大変なんだそうです。
私が自分の身分を明かすと、手のひらを返したようにお金の話しをしだします。「ご主人さんならご存知でしょうが、塗装するには足場が入ります。今特別キャンペーン中で足場工事をタダにしています。特値を出しているので是非検討してください。」

この人作業服は着ていますが、汚れと傷みの区別もつかない営業マンなのです。何故営業マンが作業服を着るのでしょうか。作業服は「塗装屋です」の看板の様な役割しか持っていません。職人風に装えば実直そうで好感が持てるとでも考えているのでしょう。確かに職人さんは実直な方が多いです。何故かと言いますと自分の仕事で手を抜けば、後々クレームとなって全て自分の元に帰ってくるから、実直に仕事をするようになるのです。職人さん達は汚れた作業服にプライドを持っています。塗装屋さんなら、ペンキに汚れた作業服のシミ一つ一つが誇らしげに感じます。
営業マン。特に飛び込み営業マンはどうでしょう。契約すれば終わりの仕事です。最近はローンとかを絡ませて資金の回収も来ない様ですので、契約するまでが仕事の人です。
つまり実直さの必要のない世界の人です。ですので、自分が実直であるアピールをするかの様に汚れのない真新しい作業服を着るのです。そう考えると契約を取るためには手段を選ばず、人を騙す様な事までする様に思えてしまい、正直にその事を話してお引き取り願いました。

営業マンなら営業マンらしい服装をすれば良いのに、なんで職人さんの服を着るのか、それだけで、「私は貴方を騙すためにやって来ました」と言っている様に思えるのは私だけでしょうか?

【関連コラム】
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/19429/

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