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「反り腰」を引き起こす股関節屈筋を伸ばすオススメストレッチ(医学的根拠あり)

安部元隆

安部元隆

テーマ:反り腰

こんにちは、GENRYUです(^^)

前回のコラムでは、「反り腰」を惹起する「下位交差症候群」について解説しました。
今回のコラムでは「下位交差症候群」により縮んで固まっている股関節屈筋(股関節を曲げる筋肉)の
ストレッチ方法をご紹介します。


前回の補足として、
「現代人の生活スタイル」
座りがちな生活習慣や長時間の着席は、股関節屈筋(股関節を曲げる筋肉)の短縮や
弱化につながる可能性があります。
さらに、短縮した股関節屈筋と大殿筋の活動低下の関係がMills ら (2015)によって確立されています。
これは正常な股関節の運動に重要な影響を及ぼす可能性があり、股関節屈筋が硬くて弱く、
股関節伸展筋の活動低下により、股関節伸展可動域が減少し、骨盤前傾が増加すると考えられます。
Mills らは、股関節伸展モーメントが発生しているにもかかわらず、
大殿筋と大腿二頭筋の活動比も低下していることを発見しました。
つまり、股関節を後方へ引く「大殿筋」だけでなく、「大腿二頭筋」の筋活動も
低下してしまうということです。
スポーツをする人の場合、これによりハムストリングスの筋肉への要求が増加し、
筋肉を痛めたり断裂したりしやすくなる可能性があります。
活動量の少ない人の場合、硬くて弱い股関節屈筋が腰椎前弯の増加や
骨盤前傾の増大に大きく影響し、腰痛の問題や歩行の変化を起こしやすくなる
可能性があることが報告されています。


1. 股関節伸展制限の原因とアプローチ
股関節伸展制限は、主に以下の要因で発生します:
腸腰筋(iliopsoas)の短縮: 長時間の座位姿勢により、股関節屈筋が硬くなりやすい。
大腿直筋(rectus femoris)の緊張: 膝関節と股関節にまたがる筋肉で、これが硬くなると伸展が制限される。
関節包や靭帯の硬化: 加齢や運動不足による可動域の低下。
ストレッチの目的は、これらの筋肉や組織の柔軟性を高め、可動域(Range of Motion, ROM)を改善することです。研究では、持続的なストレッチが筋や腱の粘弾性特性を変化させ、可動域を増加させることが示されています(例: Magnusson et al., 1996, Journal of Applied Physiology)。


2. 効果的なストレッチ方法
以下に、股関節伸展制限を改善するための具体的なストレッチを紹介します。各方法は、
医学的エビデンスに基づき、筋肉の伸張と関節の可動域拡大に効果的とされています。
(1) 腸腰筋ストレッチ(Lunge Stretch)
方法:
片足を前に踏み出し、膝を90度に曲げる(ランジポジション)。
後ろの脚を伸ばし、骨盤を前方に押し出すようにして股関節を伸展させる。
姿勢を保ちながら、30秒間キープ。反対側も同様に行う。
ポイント: 骨盤が前傾(後傾位)しないよう背筋を伸ばし、前方の膝がつま先を超えないように注意。
効果: 腸腰筋をターゲットにし、股関節屈筋の柔軟性を向上。研究(例: Winters et al., 2004, Physical Therapy)では、このストレッチが股関節伸展角度を有意に改善することが報告されています。

出典: González-de-la-Flor ら、BMC Musculoskelet Disord。 (2024年)

(2) 大腿直筋ストレッチ(Quad Stretch)
方法:
立位で片手で壁や椅子を支え、反対の手で同側の足首を持つ。
かかとをお尻に近づけるように引き寄せ、膝を軽く後方に引く。
骨盤を前傾させ、30秒キープ。反対側も行う。
ポイント: 膝を揃え、背中が丸まらないように注意。
効果: 大腿直筋の伸張により、股関節伸展時の制限を軽減。静的ストレッチが筋の長さを増加させる効果は、Blazevich et al., 2014(Medicine & Science in Sports & Exercise)で裏付けられています。


(3) トーマステスト修正ストレッチ
方法:
ベッドやテーブルの端に仰向けに寝て、片方の膝を胸に引き寄せる。
反対の脚を自然に垂らし、股関節が伸展するようにする。
垂らした脚が床に近づくよう、20~30秒キープ。
ポイント: 腰が反らないよう腹筋に力を入れる。
効果: 腸腰筋や大腿直筋の短縮を評価・改善する手法として知られ、臨床現場でも使用される(Harvey, 1998, Manual Therapy)。



3. 医学的エビデンスと効果の裏付け
ストレッチの持続時間: 研究によると、1回30秒以上のストレッチを複数セット行うことで、
筋の柔軟性と関節可動域が改善する(Bandy et al., 1997, Physical Therapy)。
短時間のストレッチ(15秒以下)では効果が限定的。
頻度: 週3~5回のストレッチが推奨され、持続的な実施で有意な可動域向上が確認されている(Decoster et al., 2005, Journal of Athletic Training)。
メカニズム: ストレッチにより筋紡錘やゴルジ腱器官が刺激され、筋の緊張が緩和。これにより、神経筋制御も改善する(Sharman et al., 2006, Clinical Biomechanics)。


4. 注意点と補足
ウォームアップ: ストレッチ前に軽いジョギングや腿上げを行い、筋温を上げると効果が高まる(Samson et al., 2012, Journal of Strength and Conditioning Research)。
痛みの管理: ストレッチ中に鋭い痛みを感じた場合は中止し、専門家に相談してください。
個別対応: 股関節伸展制限の原因が変形性股関節症などの病的要因の場合は、
理学療法士や医師の指導が必要です。


5. 実践例(1日のルーティン)
ウォームアップ: 5分間の軽い歩行または腿上げ。
腸腰筋ストレッチ: 左右各30秒×2セット。
大腿直筋ストレッチ: 左右各30秒×2セット。
トーマステスト修正ストレッチ: 左右各30秒×1セット。
クールダウン: 軽い股関節回しや深呼吸。


以上が、股関節伸展制限に対する効果的なストレッチ方法とその医学的根拠です。
これらを実践することで、柔軟性が向上し、日常生活やスポーツでの動作がスムーズに
なってくると思います。
ぜひ、習慣化して頂き、股関節の伸展制限を一緒に改善させていきましょう(๑•̀ㅁ•́๑)✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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