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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

小論文、面接、討論であなたの意見を言いなさいと言われたらどうすれば良いか?

2015年12月17日

テーマ:小論文対策

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

「あなたの意見を述べなさい」
という問題は、様々な局面で出されます。しかし、この問題に対処することを目的とした対策を打つ人は、実はほとんどいません。しかし、自分の意見を言うことは大学院に入れば常に問われることですので、当然身についてなければなりません。では、「あなたの意見」とは何かと言えば、それは「あなたの考え方」ということになります。つまり、何らかの未解決の問題に対して、現時点での自分の考え方を言葉にして提示するということです。この自らの考え方の提示ができるようになることは非常に重要なことです。これは、どんなプロが手を加えたとしても覆い隠すことはできないものです。私も研究計画や志望理由を作る時に、生徒の考え方を形にしていくことに最も時間をかけます。何をしたいのか、何を言いたいのか、何を発見したいのか、発見したことについて、何を見出したいのかなどなど、一人ひとり全員異なる考え方があって当然ですので、それを形にして反映することが私たちの仕事です。
それでは「考え方」をどのようにして作るのかということが重要になります。これが意外に難しいものです。個人の中でこの考え方が確立するには、時間がかかりますし、どの程度かかるのかといえばかなり個人差がありますし、場合によっては考え方など作ったことがないという人もかなりいます。考え方が形成されていく過程も重要です。特に何が正しいのか、間違っているのかという倫理観が、自分なりに整っていることが重要です。例えば、子どものうちは
「どうして人を殺してはいけないのか」
という大人への質問はよくあると思います。私も何度も受けました。この問いかけをする側には、特に知識や経験は必要ありません。誰でも問えてしまいます。歴史の本を見ても、戦争の名前ばかり出てきますし、どう見てもテロリストが英雄になっていたりしますし、何十万人を殺した人が、「祖国の建国者」であることもあります。誰でも素朴に疑問をもってしまうと思います。しかし、それでも、人を殺してはいけないことに理由などありません。殺しても良い理由もありません。だから本来議論にならないことです。「殺してはいけないものはいけない」のです。これを子どもに毅然と言えない人は、考え方ができていないと言っても過言ではないでしょう。この考え方ができていないと人を殺してはいけない理由を聞かれて、迷ったり、あるいは「場合によっては殺してよい」と言いかねないことになってしまいます。たまに「兵士だったら殺してよい」と堂々と言う人もいますが、犯罪にならないことと、殺してよいことは同義ではありません。

また、小論文では定番の臓器移植に関しても、どんな考え方があるかを提示することは重要です。賛成、反対は大した問題ではなく、どんな問題が生じるか、今後何の問題をクリアすればよいか、臓器が欲しいと願う人にどう安定供給するか、これからの課題は何か、子どもの臓器移植はどう考えるか、そもそも自分なら臓器を提供するか、あるいは臓器を脳死者からもらって生きたいか、などなど問題は山積です。特に医療従事者を目指す人は、臓器移植に反対をする人であってはならず、臓器移植の問題にいつも取り組む姿勢を持っておく必要があります。そういった問題に対して、一定の回答を出すことは、非常に難しいのですが、「現時点で明確な回答が出せない」という考え方もあります。こういった問題は、一定の知識が必要です。特に脳死移植の場合、倫理的な問題も重要ですが、法律の知識も必要です。ある程度情報を仕入れておかないと、自分の考えを作ることができない問題もあります。

基本的に、私たちが近い将来取り組むのは、答えのない問題です。答えのない問題にどのように挑むのかということが常に問われており、その問題に対して、「今できる最大の回答」を自分なりに導くことと、そのプロセスが重要になります。これから、大学院を目指す人は、こういった問題に取り組む人ということになります。ただ、現代は、日本だけにとどまらず、世界中を見渡せば、限りない数の考え方があります。私たちは可能な限り、他人の考え方を尊重し、否定することなく、その上で自分の考え方を形成していかねばなりません。


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