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井上博文

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井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

お盆の起源2

2014年2月1日

テーマ:仏教

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

前回の続きです。
ちょうど、STAP細胞という新しい発見の報が世間を
駆け巡りました。新しい発見というのは衝撃的であると
ともに世間の期待を浴びるものでもあります。

早速、愚かなマスメディアが研究に関係のない、
プライバシー情報を流して、「リケジョ(理系女子?)」
なる意味のない下品な造語を世に送り出すという知性ゼロの報道を
出しています。国際競争力などと戯言を叫び、教育をいじり倒してきた
連中が、STAP細胞自体を勉強せずに、安直に研究者のプライバシーを暴き、
世間にさらすなどもっての外です。理系はまさに日進月歩の世界です。
新しい発見を誰よりも早く世間に公表しなければ、先を越され、
発表をした日から、競争が始まっているのです。これから特許競争や
応用競争が始まるわけで、気に入らなければ、明日手のひらを反す
メディアが研究や国際競争の足を引っ張っているのです。
この国の優秀な人材がせっかく素晴らしい発見をしても、メディアに
邪魔されて、研究に支障が出ているのではないかと危惧します。
知性ゼロの報道をするヒマがあるなら、これから巨額の研究費が
かかるわけですから、研究費の投資でもしたらいかがかと思います。

メディアの腐敗度合に比べて、日本の研究者は若い人でもどんどん優秀な人が
出ています。こういった方々が、もっと衝撃的な研究を進めていくことが
この国にとっても大きな利益になります。
ただし、それは理系分野に限ったことではありません。私は、理系、文系
関係なく、素晴らしい研究成果は即効的かつ普遍的に人々に有益だと
考えています。その意味では、お盆の本来の意味にたどり着くことも
十分な利益性を有していると考えられます。

「今まで覚えたこと全部でたらめだったら面白い」
これが前回の最後でしたが、『盂蘭盆経』はインド生まれであった
ということが辛島先生の研究で明らかになりました。
辛島先生がこれ以外の詳細な点で明らかにされたことは、
①盂蘭盆の「盆」は単にトレイのお盆ではなく、中国語では、「お椀」「鉢」を意味する。
古来の仏教では出家者は生産活動を放棄して、乞食(こつじき)といって
ご飯を一般人からもらうことで食事をしますが、出家者の持ち物として
三衣一鉢といって衣と鉢を持ちます。特に鉢は、ご飯をもらいに行くとき
(托鉢という)に必要な道具です。
②盂蘭盆の盂蘭の方はというと、結論だけ言えば、インド語の
odana(オーダナ)の音写語であり、オーダナとは自恣(じし)といって
安居(インドにおける雨季の僧侶の集団定住生活)の最終日の儀式で
お供えされる米飯のことを指している。
③つまり、盂蘭盆とは自恣の日に出される米飯を入れる鉢となる。
自恣は仏教圏の人々にとっては大切な日で、こに日に僧侶をもてなす
習慣は仏教圏では通常のことです。
④これがお盆の行事であって、これは日本特有のものではなく、
実は現在も、この行事であれば、東南アジアであれば、我々日本人と同様
それほど格式張らずに一般に広まった行事ごととして残っています。

だとすれば、お盆は、実は仏教圏内であれば、形は違えどどこの国でも
継続して行われてきた儀式であり、行事であったことが示されたわけです。
日本特有のものでも、中国で生まれたものでもなかったということです。
実際はもっと詳細かつ緻密な論証がなされていますので、関心ある方は
『大法輪』2013年10月号掲載の辛島先生の論文
「「盂蘭盆」の本当の意味―千四百年の誤解を解く―」を参照してください。

これは衝撃的発見であるとともに、今後、この意味でのお盆の儀式が
世界で残っていることになるため、より詳細な比較が必要となります。
STAP細胞のように生き馬の目を抜くような競争はないかもしれませんが、
価値は変わりません。研究の価値とは金銭だけで測れないものです。
こんな素晴らしい研究を、私も死ぬまでに一回くらいしてみたいものです。


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