マイベストプロ京都
井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

僧侶のインターネット宅配

2015年12月30日

テーマ:仏教

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

大学院や編入と関係のない話ですが、昨夜、仏教系研究会の忘年会をして、頭が仏教(?)ですので、ちょっと気になる記事を見つけてしまいました。
こちらこちら
要するにネットで僧侶の派遣を発注して、アマゾンなどの企業がそれを行うというものです。これを読んだ瞬間、「とんでもない」「これぞ末法か」と思ったのですが、同時に「でもどこが問題点?」と疑問にも思いました。記事には「仏教界から「宗教行為を商品化している」との批判が上がった」と書いてありましたが、それを言い出したら、桜や紅葉で拝観料を取っているのは商品化していないのか、と当然言われてしまうでしょう。宗教的グッズを作って(おみくじなど)、それを売り出すのは、商品化以外何者でもありません。そりゃ、こういったことを考える人がいてもおかしくないでしょう・・と思わざるを得なくなってしまいました。宗教行為を商品化することを是としないことは、多分正しいのですが、実質そうはなっていないということを、仏教者はあらためて考えないといけない時に来ています。
同時に内田樹氏のブログの大学教育の終焉という記事を見ました。「手続き型合理性」「反知性主義」「人間は金で動く」「上に無批判に従う人間」「金で動く人間」「ことの理非の判断に際して自分の知性を使わない人間」こんなキーワードが突き刺さりましたが、案外、この僧侶のインターネット宅配問題もこのキーワードで説明できるのではないかと思いました。


こんな本もあるように仏教界への批判は昔からあります。しかし、仏教界から明確な反論がほとんどないのです。もちろん、鈴木隆泰先生のように一線の学者が『葬式仏教正当論』という書籍もあります。

仏典を根拠にそれを証明しようとした、極めて目的が明確な書籍です。しかし、これはむしろ例外的であり、たいていの場合において、仏教者から、一般に向けて、言葉を尽くして何が正しいのか、ということを説明していないと思います。だから「お布施●●万円です」と言わずとも、「志」という形になって、暗黙の了解のみを頼りに、僧侶が動いてしまうと、まさに「ことの理非の判断に際して自分の知性を使わない人間」になてしまうのです。実際、僧侶が依頼を受けて、葬儀の場に行って、一律3万5000円という金額が通ってしまったわけです。こういった僧侶の行為を具体的にどこがどうおかしくて、どうすべきであるのか、という問題に対して、誰も議論をしてこなかったのではないかと思います。不適切かもしれませんが、私が一番問題だと思ったのは、「仏教界」のコメントです。「全日本仏教会の斎藤明聖理事長は24日、「宗教行為をサービスとして商品にしている」と批判する談話を発表した」と記事にありましたが、「商品にすべきでない」のは誰でもわかります。しかし、それに乗っかる僧侶はたくさんいるわけで、そういった流れを「止められない」のか「黙認する」のか「否定する(もちろん根拠付き)」のか、何ら立場が示されていません。私の先輩筋にあたる釈徹宗先生は
「何に対してもコストを抑えてより良いサービスを受けたい現代人の体質が現れている。運営に苦しむお寺が多く、派遣を望む僧侶もいるのだろうが、結局は「僧侶不要」の流れに拍車が掛かる。僧侶は「人に来てもらいたい」という強い志を持って仏道を歩む必要があるだろう」
とコメントしておられますが、そもそも仏教はどの時代であっても、「現代人の体質」と二人三脚で歩んできた宗教です。ある意味適応力抜群の宗教なのです。また、僧侶宅配問題のレスポンスはありません。「仏教界」なるものがあるのならば、一度、真剣な議論が必要な時期が来たのではないかと思います。


*****************************

公式ホームページはこちら
大学院・大学編入受験専門塾 京都コムニタス
入塾説明会情報
ご質問・お問い合わせはこちら

京都コムニタス公式ブログ

自分磨きのための仏教
龍谷ミュージアム
仏教の魅力を伝えるプロ

REBT(論理療法)を学びたい方はこちら
日本人生哲学感情心理学会

この記事を書いたプロ

井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(株式会社コムニタス)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ京都
  3. 京都の出産・子育て・教育
  4. 京都の大学受験・共通テスト(センター試験)
  5. 井上博文
  6. コラム一覧
  7. 僧侶のインターネット宅配

© My Best Pro