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「未払残業代5年分」の時代が来るかもしれません。

2019年9月30日

テーマ:労務管理

コラムカテゴリ:法律関連

民法が改正され、消滅時効が原則5年になったことを踏まえて、
労働基準法上の権利についても、消滅時効をどうするのかの議論がなされています。

私自身、実務上関心が高いのは、
①賃金債権
②年次有給休暇
です。

①に関しては、未払残業代の問題と絡んできます。
例えば、未払残業代があった場合、現在は消滅時効が2年のため、
最大2年前までさかのぼって支払いを命じられることがあります。
ところが、これが民法と同じく5年おちうことになると、
最大5年前までさかのぼることになり、企業への影響は大きくなります。

②に関しても、現在は翌年に限って年休も繰り越されるのは、
この時効2年間との関係からですが、同じように5年になるのか。

この議論をしているのは、労働政策審議会労働条件分科会ですが、
先日の議事録を見ると、

①に関しては、賃金請求権を2年にしておく合理性が乏しいので、
労働者保護のためにも一定の見直しが必要との意見でまとまっています。
つまり、2年以上になる可能性はほぼ100%でしょう。
それが5年になっるかどうかは今後の議論待ちです。

一方、②の年休については、
年休はあくまで期間中に取得することが目的で、取得率の向上のためにも
①と同じように考えなくてよい、という意見でまとまっています。
すなわち、こちらは現状のまま、になる可能性が高いです。

賃金請求権が2年以上になることはほぼ間違いないと私は考えています。
未払残業代の問題を発生させかねない労働時間管理に不安がある企業は、
早めに整備しておかなければいけません。

この記事を書いたプロ

三谷文夫

労使ともに幸せになるための労務管理のプロ

三谷文夫(三谷社会保険労務士事務所)

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