派遣元責任者の要件
今国会で審議予定の労働者派遣法改正案で打ち出された製造業派遣の原則禁止について、製造現場で働く派遣社員のうち55.3%が「反対」と回答し、「賛成」は13.5%にとどまることが、東大社会科学研究所のアンケート調査で明らかになりました。
また派遣社員に限定した質問で、「労働者派遣法が改正されて製造業務で派遣社員として働くことができなくなった場合に失業する可能性は?」という質問には、「かなりある」が53.1%、「ある程度ある」が26.0%となり、両者を合わせると79.1%と約8 割が、失業リスクを指摘しています。
製造業派遣の改正だけでなく今回の派遣法の改正案に私は、賛成しておりませんので、このような現場で働く当事者の声を受けて、見直しをかけていただきたいと思っています。
現場を知らない人たちが法案をつくっているのはどうかと思いますし、ここのところの円高影響により海外移転を検討している企業が増えていることも心配です。
いずれにしてもこのアンケートからもわかるように派遣社員たちの雇用不安が増すばかりでは、何のための改正かわかりません。
企業側がすべて悪いという考え方をまずは捨てなければなりませんし、一部の悪質な企業や過激なマスコミの報道の一部分を信用しているようではいけません。
製造業の現場では、繁忙期と閑散期の差が激しく、将来までの予測が難しく、常用で雇用することは、企業には無理で、その雇用調整を派遣でカバーしているのが基本です。
直接雇用に切り替わっても、派遣時代より大幅に賃金が下げられて契約される現場も多く、こんなことなら派遣のほうがいいという人がたくさんいるわけです。
派遣のほうが自分で働き方を選べるのでいいという人も多いし、実際にこのような制度が柔軟な働き方を阻害すると思うので、私たちももう少し視野を広げて一緒になって考える必要がありそうです。