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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

臨床心理士指定大学院入試の英語長文が読めるようになるには

2023年10月19日

テーマ:英語力を高める勉強方法

コラムカテゴリ:スクール・習い事

長文が読めるという尺度を実は誰も知らない

先日、京都文教大学に出講に行った時に学生さんから授業後に「長文が読めるようになる方法」について聞かれました。はっきりは聞きませんでしたが、多分3回生の人だと思います。直球かつとても大切な疑問です。私たちは「長文が読める」とはどのようなことかについて、正確な尺度で話しあったことなど、実際はほとんどないでしょう。実際、よく大学で出張講義をするのですが、「当ててもいいですか?」と聞くと、ほぼ全員が後ろの方の席で下を向きます。随分前に文教で出張講義を始めたころ、急に当てると、後からアンケート(スプレッドシート)で、かなりの剣幕で怒りのクレームがきました。問題は、一人の力だけで読めないと、恥ずかしいというイラショナルビリーフがあることです。

ご存知、大学院入試で英語長文読解は必須です

周知のように、大学院受験において英語は必須科目です。なぜ英語が問われるのか、という疑問もよく受けるので、大学の先生方に数えきれないくらい聞きましたが、その回答は多種多様です。回答例としては、①英語が世界共通言語だから②昔からテストに英語があるから③自分たちがわかる外国語も英語だから④努力の度合いを測るのに英語がちょうどいいから⑤最低、英語くらいはできないといけないから・・
私のメモに残るものを大きく分けるとこんなところです。
テストの尺度は、

①英語ができる人を採る。
②英語が最低限度できれば採る。
③英語ができなければ採らない。
④他ができても英語ができなければ落とす。

こんなところですが、これらは全部尺度が異なります。
①がある意味一番わかりやすいのですが、こういった考え方だとTOEICのスコアを英語のテストの代わりにするような試験になっていく傾向が強くなります。②③④は学校独自の考え方ですので、それぞれに対応する必要がありますがたいていは長文読解のスキルが問われます。

まずは文法

まず身につけなければならないのは文法です。したがって、勉強を始めるときにまずすることは自分の文法力チェックです。漠然と「だいたいできる」と思わずに、具体的に現時点で何がわかっていて、何がわかっていないか、あるいはわからないことがわからないか、自分の状態を正確に確認することから始めることが大事です。不適切なのは、この確認作業をせずに「何もできません」、「全くわかりません」と言うことです。あるいは安直に「単語力」のせいにすることです。
なんだかんだ言っても、中学と高校で6年は学んできたはずですので、ある程度の知識はあると考える方が妥当です。ではどのように確認すればよいかというと、例えば、文(S+V)が正確にわかるか、動詞の過去形と過去分詞の区別がつくか、あるいは区別をつける習慣があるか目的語が英語的にわかっているかどうか。(日本語にしたときに「〜を」「〜に」と訳すという理解だけでは不適切です)このような確認作業をまず行い、その上でどのような勉強をすればよいかを確定することが妥当です。この作業をすると「何がわからないかがわからない」状態から一歩前進します。ある程度、自分の状態が把握できたら、どこから始めればよいかがある程度は見えてきます。そうすると簡単な長文を読む練習をすれば良いのか、それとも短めの文から読めば良いのか、もう専門的な論文を読めば良いのか、もう少し文法力を身につければ良いのかがわかってきます。

単語は大事だが単語力では決まらない

この時大事なことは、なんとなく「単語力がない」という言葉に逃げ込まないことです。単語力は受験に限らず、英語学習者にとって永遠のテーマです。確かに単語力はあるに越したことはありません。たくさん知っていて困ることはありません。しかし、自信を持って「私は単語力があります」と言える人など、そう滅多にはいません。それからすると、単語力に自信を持てるようになることは、受験勉強で考えた場合、まず無理と見た方が妥当でしょう。ですから単語は「目標を定めて、できるだけたくさん覚える」と割り切る方が適切です。文法がわかる。辞書があればどんな英文でも読める。という状態になれば、あとはしっかり単語を覚えれば良いと思います。単語に関して少しテクニックを言えば、「ベーシックイングリッシュ」というものがあるのですが、そこでは850語が設定されており、これらは優先的に勉強しておくと良いと言えると思います。『東大英単』も良いですが、ベーシックイングリッシュは少し系統が違っていて、幅広い意味を持つよく言えば使い勝手の良い単語に重点があります。例えばinfantは心理学でも、医療看護系でも必須単語ですが、生まれて間もない赤ちゃんから、言語獲得できている子どもまで幅広く示せます。vehicleなどもそうでしょう。輸送機関全般で宇宙船までこの単語を使えます。こういった単語の使い方を知ろうとする意識が重要なのですが、それを教えてくれます。infantが出てきて、辞書をすぐに引いて「幼児」と当ててしまうと、あたらずも遠からずの状態で読んでしまい、具体的な映像が頭の中で機能しません。英語で文法以外に重要なのは内容理解ですが、文字を映像に変換することは内容理解のスタートラインです。漠然と単語を辞書で引くよりは、単語のイメージ化の練習をしましょう。
しかしそれでも自らが考える不合格要因として、圧倒的に多いのが、「英単語不足」です。それだけ、単語を覚えないといけないという空気が中高教育で強いのだと思います。しかし、時々、中学生くらいで、TOEICで満点近く取る人がいますが、そういった人は、ほとんどの場合、単語だけの特別な勉強はしていないようです。わからない単語がに出会うと、安直に辞書を引くのではなく、同じ単語を使っている文例をたくさん見て、わかる文脈から単語の意味をつかむのだそうです。中学生でこれができる人は、日本の英語教育を受けていないのではないかと想像してしまいます。

どんな本を読むべきか

そんなこんなで、ここのところ、雑誌やら書籍やらで英語上達テクニック系の本をたくさん(20冊くらい)読みました。とても良いと思ったのはこれです。

ふと気づけば、当塾に大量に英語本はあります。1年前の引っ越しで古いものはかなり処分しました(多分本棚一つ分くらい)。最近、とても気になることとして、変な言い方ですが、まともな本が増えたような気がします。まともな本とは、英語を身につけるには、結局驚くほど努力するしかない、ということを書いてある本を指します。昔は「勉強してはならない」とかわけのわからないことを書いてある本が多かったのですが、最近はそういううまい話はないという風に読者もわかってきていますので、努力の方法に特化した形の本が増えました。それでもあまりにもたくさんの英語本があり、日本人の英語に対する関心の高さと同時に劣等意識の強さも伺えます。確かに日本語と英語では言葉の成り立ちがそもそも違いますので、印欧語族圏の人間と比べると、最初から差があることは否定できません。日本語は膠着語ですし、印欧語族は屈折語で単語が変化して意味を変えます(曲用)。しかし、それでも日本人は適応力が高く、その英語力は、それほど悲観するほどのことはないともあわせて思います。TOEICでも上位層は他の国と比べて遜色はありません。ただ、思うに、大学生以上になると、明らかに英語の指導がなくなることに不幸があると思います。だから英会話学校に行こうという機運が高まるのだと思います。本当は大学でどんな学部であっても毎日英語があっていいと私は思います。1回生や2回生でちょろっと英語の単位をとったくらいで何の役にもたっていないことくらい学生が一番知っています。しかし、その時期に英語を学ぶ厳しさをたたき込まれていると、後からもっとうまくいくはずなのです。
当塾では、授業外指導で、毎日、指導者と英語を読み合わせをしたり、わからないところを質問するということを続けてきました。他者と一緒に読んで、修正を受けていくと、効果は抜群に高いと思います。仏教学は、サンスクリットやパーリという難易度の高い言語を読みますが、一人で読むよりも、先生や先輩と読むことで、上達は早くなります。しかし、日本では、英語について、この習慣がほとんどないように思えます。これを1回1時間半年続けるだけで、まったく変わります。当塾でも、3ヶ月くらいで別人のように伸びた人はたくさんいます。要は「語学は一人でしないといけない」と、指導するのが嫌な教員に習うと不幸が始まるのです。別に一人でしないといけないルールはありません。まず飽きずに教えてくれる人を探すことが一番大事です。
12月に学生が有志で大学院入試の勉強会をするところがあり、そこにちょっとお邪魔して、いくつかアドバイスをしてこようと思っています。私はフットワークは軽いですので、お呼びいただけると、すぐに伺いますので、遠慮なくお問い合わせください。


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