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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

生物ー心理ー社会モデル

2020年12月13日

テーマ:公認心理師試験重要キーワード

コラムカテゴリ:スクール・習い事

第2回公認心理師試験
問78生物心理社会モデルについて、適切なものを1つ選べ。
①スピリチュアリティを最も重視するモデルである。
②クライエントを包括的に理解する上で有用なモデルである。
③医療技術の高度化を促進するために考案されたモデルである。
④生物生態学的モデルへの批判を背景に生まれたモデルである。
⑤クライエントの健康や疾病に責任を持つのは医療従事者とみなすモデルである。


生物心理社会モデル(Bio-Psycho-Social model)とは、1977年にロチェスター大学の精神科医であったG,L.Engelが提案した精神医療のモデルです。これは現任者講習のテキストにも出てきましたし、京都コムニタスの教材も含めて、様々な教材で言及されていますので、押さえておいた方が良いトピックです。簡単に言うと、これはクライエントの実像を捉えるために、多角的に見ることです。それまでの医療分野では、病気に対して生物学的(身体)なことだけを治療対象とする生物医学モデルが用いられていましたが、その代わりに提案されたのが、生物心理社会モデルです。このモデルが主張された背景には、従来の生物−医学モデルの視点だけだと、偏りが生じ、例えば、会社で受けるストレスからくる苦痛の緩和といった、社会的背景を考慮に入れないといけないケースへの対応が難しくなったことが挙げられます。また生活習慣病や痛みに対するケアや心理社会的なストレスによる疾患など、医学が取り扱う問題が多様化し、生物学的な視点の考え方のみでは限界や偏りが生じ、対応が難しくなってきたこともあります。以上から正答は②です。「包括的」という言葉がポイントです。

生物的要因とは、神経、細胞、遺伝子、細菌やウィルスなどが問題の要因として挙げられ、これらに対して、医師や看護師、薬剤師や理学療法士などのスタッフを中心に、薬物療法や手術、リハビリなど生物医学的アプローチが行われます。心理的要因は、認知、信念、感情、ストレス、対人関係、対処行動などが問題の要因として挙げられ、これらに対して、公認心理師、臨床心理士などの心理学を専門にしたスタッフが、心理療法やカウンセリング、心理教育を行い、患者(クライエント)の認知の変容や感情のコントロールの仕方、ストレスへの対処、対人関係や環境に適切に対応できるように心理学的アプローチを行います。社会的要因は、家族や地域の人々のソーシャルネットワーク、生活環境、貧困や雇用などの経済状況、ジェンダーや人種や文化、教育などが含まれます。社会福祉士や精神保健福祉士、児童福祉士などのスタッフが、社会復帰のための訓練、入退院時の各種手続きのサポート、福祉事務所などの公的機関の紹介等の福祉サービスの提供など社会福祉的アプローチを行います。



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