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井上博文

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井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

第2回公認心理師試験問題分析②

2020年3月23日

テーマ:公認心理師試験対策

コラムカテゴリ:スクール・習い事

問12神経細胞の生理について、正しいものを1つ選べ。
①グルタミン酸は抑制性神経伝達物質である。
②活動電位は樹状突起を通して標的に送られる。
③無髄線維では有髄線維より活動電位の伝達速度が速い。
④シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は「全か無かの法則」に従う。
⑤1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは刺激の強さにかかわらず一定である。

もう問題の意味自体がわかりにくいですが、神経生理心理学分野で、神経伝達物質の問題です。
当塾の解答では⑤です。

問13多くの人がいると、一人のときにはするはずの行動が生じなくなる傾向に関連する概念として、正しいものを1つ選べ。
①社会的促進
②集合的無知
③集団極性化
④情報的影響
⑤傍観者効果

社会集団家族心理学の分野です。これは私でも知っていました。⑤です。


問14乳幼児の社会的参照について、正しいものを1つ選べ。
①心の理論の成立後に生じてくる。
②共同注意の出現よりも遅れて1歳以降に現れ始める。
③自己、他者、状況・事物という三項関係の中で生じる。
④自分の得た知識を他者に伝達しようとする行為である。
⑤乳幼児期以降、徐々にその頻度は減り、やがて消失する。

もちろん発達心理学です。曖昧な状況において養育者の表情や態度を参照することによって行動を開始する現象が社会的参照と呼ばれ、およそ1歳頃から見られるとされています。当塾の解答は③です。

問15自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害〈ASD〉の特徴のうち「中枢性統合の弱さ」として説明できるのは次のうちどれか、正しいものを1つ選べ。
①特定の物音に過敏に反応する。
②他者の考えを読み取ることが難しい。
③目標に向けて計画的に行動することが難しい。
④細部にとらわれ大局的に判断することが難しい。
⑤状況の変化に応じて行動を切り替えることが難しい。

同じく発達心理学です。④が解答です。「中枢性統合」を知らなければ答えられません。気合いで当たるかもしれませんが。当塾の教材では、「中枢性統合仮説は、フリス(U.Frith)である。中枢性統合とは全体を把握できる能力のことであり、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害は同時に複数の情報が把握できないため、中枢性統合が弱いとする説である。」と説明されていました。


問16神経心理学的テストバッテリーについて、正しいものを1つ選べ。
①各心理検査は、信頼性が高ければ妥協性は問われない。
②Luria-Nebraska 神経心理学バッテリーは幼児用として開発された。
③固定的なバッテリーの補完としてウェクスラー式知能検査が用いられる。
④多くのテストを含む固定的なバッテリーが仮説を検証するために用いられる。
⑤可変的なバッテリーでの時計描画テストは、潜在する気分障害を発見するために用いられる。

今回テストバッテリーが4問出ました。これもやはり正確な知識が求められたのだろうと思います。最も配点が高かった心理状態の観察及び結果の分析の分野で、13%ありました。ブループリントでは8%なのに・・この問題の解答は③です。「神経心理学的テストバッテリー」て・・私には無理筋の問題です。

問17治療者自身が相互作用に影響を与えることを含め、治療者とクライエントの間で起きていることに十分注意を払うことを何というか、最も適切なものを1つ選べ。
①自己開示の活用
②治療同盟の確立
③応用行動分析の適用
④関与しながらの観察
⑤自動思考への気づき

これは昨年も出たので比較的サービス問題かもしれません。④です。


問18E. T. Gendlinは、問題や状況についての、まだはっきりしない意味を含む、「からだ」で体験される感じに注目し、それを象徴化することが心理療法における変化の中核的プロセスだとした。この「からだ」で体験される感じを表す用語を1つ選べ。
①コンテーナー
②ドリームボディ
③フェルトセンス
④フォーカシング
⑤センサリー・アウェアネス

ジェンドリン、はい「フォーカシング」ではなく、問題をよく読んで「からだで体験される感じ」ということで、③フェルトセンスが正解。よく読めばサービス問題かもしれません。

問19ライフサイクルと心の健康の関わりについて、正しいものを1つ選べ。
①人の心身の発達は、成人期でピークになると考えられる。
②女性の更年期障害は、閉経後に様々な身体症状や精神症状を来す病態である。
③青年期は、統合失調症、うつ病、社交不安症などの精神疾患の発症が増える時期である。
④各ライフサイクルにおいて対応を要する問題は、疾患の種類にはよらず年齢によって決まる。
⑤認知症は更年期に発症する病気であるため、成人期における認知機能の低下の原因としては別の疾患を考える。


これは健康、医療心理学の分野です。なんとも漠然とした問題です。要はライフサイクルの問題と言えます。これで不適切なものを選べと言われると、さらに難易度が上がりそうです。とは言え、これも正確な知識が必要です。③が正解です。

問20我が国における児童虐待による死亡事例の近年の傾向として、正しいものを1つ選べ。
①死因となった虐待種別はネグレクトが最も多い。
②虐待の加害者は実父が最も多い。
③心中による虐待死事例における加害の背景は、「経済的困窮」が最も多い。
④心中以外の虐待死事例での被害者は0歳児が最も多い。
⑤心中以外の虐待死事例での加害者は20歳未満が最も多い。

これは難問です。社会、集団、家族心理学の分野です。
当塾の解答では④でした。私は③かと思ったのですが、正確な情報をしっかりつかんでおかねばなりません。公認心理師の幅の広さを象徴するような問題です。

問21マルトリートメントについて、正しいものを1つ選べ。
①マルトリートメントは認知発達に影響しない。
②貧困はマルトリートメントのリスク要因にならない。
③マルトリートメントを受けた子どもは共感性が高い。
④マルトリートメントを受けた子どもは警戒心が乏しい。
⑤マルトリートメントを受けることは、将来身体的健康を損なうリスクとなる。

問20と同系統ですが、マルトリートメントは北海道試験にも出ました。でもこれは難問です。マルトリートメント一つとってもいくらでも問題が作ることができます。すべての選択肢が違うような気がしましたが、①から③は論外とも言えますから、選択幅は狭くなりそうですが、考えすぎると、疑心暗鬼になります。⑤が正答です。


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