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コラム
地縁型事業の限界―観光産業に見る日本の産業構造の問題点―Ⅳ
2018年1月12日
客側の立場に立ったものなどほとんどない業界側の都合で業界側が決めた「横並びルール」によってズレていく客(利用者)との意識。
さらに、こういった状況に関して、この著者は以下のように指摘しています。
― そもそも「客が来るから店を開く」という発想自体がおかしくて、いかに客にきてもらえるかという「知恵出し」を放棄してしまっているわけです。
夜も開いて、夜来てもらえる営業企画を考えよう、朝も開けて商売になるにはどうするか、ということにはならないわけです。
これには、地方の観光産業が地縁型事業であり、家族型事業であるという側面が強くあります。
地縁型事業だからこそ、もし横並びルールを逸脱し、地域でにらまれると営業が行いにくくなる。
「ムラ社会システム」を壊してまでリスクは負いたくない。
さらに家族型事業だから、無理してまで業績を伸ばすのではなく、一定の規模を維持できればそれで十分という思考になりがちです。
何より、黙っていても、有名な観光拠点があるために、一定の集客を実現できる立地の土地・不動産を保有して営業していればどうにかなる、という恵まれた観光地ほど、この傾向は強いのです。―
ここに書かれている「知恵出しの放棄」という指摘は、先述の「成功体験依存症」によってもたらされる症状の一つと言えましょう。
なおかつ最も根の深い症状の一つと言ってもいいのではないでしょうか。
この「成功体験依存症」という病からなかなか抜け切れないでいる原因には、そこに至るまでの一つのパターンが影響しています。
それは
「偶然その立地がよかったので成功した。」
「偶然選んだ商材が当たったのでうまくいった。」
というように「偶然性」に依拠しているという点です。
つまり、「苦労して勝ち取った」或いは「選び取った」というよりは、たまたまそうなったからうまくいった、というケースがほとんどなのです。
とくに有名観光地の場合、商材の良し悪しはあまり関係なく、昔からの立地の良さによってこれまでうまくいってきたにすぎないのです。
「知恵出しの放棄」というよりも、もともと知恵を出す習慣も必要性もなかったので、どうやったら智恵が出せるかわからない、といった状況なのでしょう。
しかしながら、現代のビジネスが、そんな心構えで済むはずもないのは言うまでもありません。
これはイギリスの有名観光地
日本と似たような状況でしょうか。
つづく
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